『真説・リョーマ伝』縁起

『真説・リョーマ伝』縁起(しんせつ・リョーマでん えんぎ)は、2010年宝島社から発行された「『このミステリーがすごい!』大賞STORIES」に掲載された海堂尊短編小説

概要 編集

2010年夏に日本中を騒がせた高齢者所在不明問題に、同年のブームとなった坂本龍馬を絡めた短編小説。

ストーリー 編集

2010年、猛暑に見舞われた日本国内では、100歳を超える高齢者が戸籍住民票などの公的記録上は存在しているものの、実際の生死、または実居住地などの確認が取れなくなっている例が多数報告されており世間を驚かせていた。

浪速府知事の村雨弘毅は浪速府内に同様の事例の有無について調査を命じ、浪速市天目区役所戸籍課では三木と赤目によって戸籍の整理が行われ、150歳の双子の姉妹が戸籍上、存在していることが発覚。三木と赤目は調査のため、その姉妹宅を訪問する。

登場人物 編集

行政関係者 編集

三木敬二
浪速市天目区役所戸籍課主任。東京出身ながら浪速市の大学を卒業後に浪速市天目区役所に就職する。天目区内の高齢者の戸籍整理のリーダーとなり神良姉妹の存在を突き止め、確認のために神良家を訪問する。応対した神良タキヨが本当に150歳であるかを確かめるため、歴史オタクの知識を駆使する。
赤目
浪速市天目区役所戸籍課職員。天目区役所の風雲児を自称しているお調子者で、坂本龍馬に憧れており土佐弁を日常会話に混ぜ威勢のいいことを口にするが、権力に対しては弱腰となる。お気に入りがいる『満月と十字架』というキャバクラに通っている。
浅井
浪速市天目区役所戸籍課係長。天目区内の高齢者の戸籍整理を三木と赤目に押しつける。
高柳
浪速市天目区役所戸籍課課長。浅井や赤目を低く評価する一方、同じ東京出身者の三木の仕事ぶりを高く評価する。
村雨弘毅
浪速府知事。議会との対立も辞さない改革派の知事で、「働かざる者、食うべからず」をモットーとする。全国を騒がせている高齢者所在不明問題に対して、浪速府内での同様の案件の有無について調査を命じる。

神良家 編集

神良タキヨ
文久元年(1861年)生まれの150歳の双子の姉。寺田屋事件を目撃したと話し、後世に伝わっている龍馬・おりょう夫妻の逸話とはかけ離れた証言をする。
神良フクミ
文久元年(1861年)生まれの150歳の双子の妹。神良家に足繁く通う三木とは、一度も遭遇していない。
神良福太郎
65歳で戸籍上はタキヨ、フクミ姉妹の85歳年下の弟だが、高柳課長は生物学的に85歳年下の姉弟は不自然だと指摘する。

関連項目 編集