お国と五平
『お国と五平』(おくにとごへい)は、谷崎潤一郎の戯曲。1場。谷崎戯曲の中で最も数多く上演されている演目である[1]。闇討ちされた夫の敵討ちのため、従者・五平と共に各地を放浪するお国と、虚無僧姿でずっと2人の跡をつけていた敵・友之丞(お国の元許嫁)の3人の物語。1人の女を巡って争う2人の男の三角関係で、「恋」や「悪」について応酬する議論劇となっている[1]。
お国と五平 | |
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作者 | 谷崎潤一郎 |
国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
ジャンル | 戯曲 |
幕数 | 1場 |
初出情報 | |
初出 | 雑誌『新小説』1922年6月号 |
刊本情報 | |
刊行 | 『お國と五平 他二篇』 |
出版元 | 春陽堂 |
出版年月日 | 1922年7月18日 |
初演情報 | |
場所 | 帝国劇場 |
初演公開日 | 1922年7月 |
演出 | 谷崎潤一郎 |
主演 | 河村菊枝、守田勘彌 |
ポータル 文学 ポータル 舞台芸術 |
1922年(大正11年)6月、雑誌『新小説』に掲載され、7月に谷崎本人の演出により帝国劇場で上演された[2]。単行本は同年7月に春陽堂より刊行された。
あらすじは、野州(下野国)那須野が原。マツの根方で、西国の侍の後妻お国が旅姿で、従者五平をつれて腰を下ろしている。お国は、五平とともに、友之丞を探す旅を3年間している。虚無僧が薄原から尺八を吹きながら出てくるが、それこそは友之丞であった。お国と五平はすぐさま勝負をいどみ、しかし友之丞は、自分は臆病だ、卑怯侍だ、自分は熊谷の宿で隣り合わせでお国と五平の不義を聞き知っている、その秘密と自分の生命をひきかえに助けてくれ、と理屈をながながと並べ立てて、立ち向かおうとはしない。五平はがまんできずに、不意打ちをしかけて切りつけると、友之丞は倒れながら、お国は自分にもかつて身を任せたことがある、と叫んで死亡する。お国と五平は、恋の邪魔立てと積年のかたきを討って、あやしい希望をおぼえながら、静かに称名を唱える。
おもな上演 編集
- 京都南座公演『お国と五平』
- 1930年(昭和5年)12月
- 大阪歌舞伎座公演『お国と五平』
- 1949年(昭和24年)4月
映画化 編集
お国と五平 | |
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監督 | 成瀬巳喜男 |
脚本 | 八住利雄 |
原作 | 谷崎潤一郎 |
製作 | 清川峰輔、宮城鎮治 |
出演者 |
木暮実千代、大谷友右衛門 山村聡、田崎潤 |
音楽 | 清瀬保二 |
撮影 | 山田一夫 |
配給 | 東宝 |
公開 | 1952年4月10日 |
上映時間 | 91分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
1952年(昭和27年)4月10日に公開された日本映画。製作、配給は東宝。モノクロ、スタンダード。
スタッフ
キャスト
テレビドラマ化 編集
おもな刊行本 編集
脚注 編集
参考文献 編集
- 笠原伸夫 編『新潮日本文学アルバム7 谷崎潤一郎』新潮社、1985年1月。ISBN 978-4-10-620607-8。
- 『文藝別冊 谷崎潤一郎――没後五十年、文学の奇蹟』河出書房新社〈KAWADE夢ムック〉、2015年2月。ISBN 978-4309978550。
- 中村ともえ「小説家の戯曲:谷崎潤一郎『愛すればこそ』『お国と五平』論」『人文学報=Journal of humanities』第106号、京都大学人文科学研究所、279-294頁、2015年。 NAID 120005661558。
- 『決定版 三島由紀夫全集39巻 対談1』新潮社、2004年5月。ISBN 978-4-10-642579-0。