アクシデント・カップル

2009年の韓国のテレビドラマ

アクシデント・カップル』(原題:그저 바라보다가[2])は、韓国KBSにて2009年4月29日から同年6月18日まで放送されたテレビドラマ。全16話。原題は「ただ見守っていて」の意[3]。韓国国内では最初の文字を取ってクバボ그바보)(そのバカ)とも呼ばれている。

アクシデント・カップル
ジャンル ロマンス、ドラマ[1]
脚本 チョン・ジニョン
キム・ウィチャン
監督 キ・ミンス
出演者 ファン・ジョンミン
キム・アジュン
チュ・サンウク
チョン・ミソン
製作
プロデューサー クォン・ゲホン
制作 KBS
放送
放送国・地域韓国
放送期間2009年4月29日 - 6月18日
放送時間水曜日、木曜日 21:55 -
回数16
公式サイト
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アクシデント・カップル
各種表記
ハングル 그저 바라보다가
発音 クジョ パラボダガ
ローマ字 The Accident Couple
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概要 編集

KBS水木ドラマの一作品。チョン・ジニョン、キム・ウィチャンの2名が脚本を、キ・ミンス朝鮮語版が演出、そしてキム・ドンネおよび番組制作会社の来夢来人(ネモンレイン)が制作を担当した[4]。当初はSix Month(シックス・マンス)という題が用いられていたが、放送開始直前の2009年4月に現在のタイトルに改められた[5]

郵便局員の男性と彼のあこがれの的である人気女優とがひょんなことから偽装結婚をすることになるが、最後には本当の愛を知り正式に結婚をするまでを描いている。主人公ク・ドンベク役を演じたファン・ジョンミンはすでに2005年公開の主演映画『ユア・マイ・サンシャイン』で青龍映画賞の主演男優賞を受賞している俳優だったがテレビドラマでは本作がデビュー作であり、ヒロインハン・ジス役を演じたキム・アジュンにとっては3年ぶりのテレビドラマ出演作となった[6]

評価 編集

「文句なしの秀作」[7]とされ、特にファン・ジョンミンの演技は視聴者から高く評価され[8]、最高視聴率で15パーセントを記録した[9]が、同時間帯に他局で放送されていた『シティーホール』に視聴率で勝る事はできなかった[9]。しかし放送局のKBSに延長希望が殺到し[10]、一時期シーズン2の制作が予定されていると発表される事態となった[10]

キム・アジュンはこの作品により2009年度KBS演技大賞優秀演技賞(女優/ミニシリーズ部門)を受賞した[11]

あらすじ 編集

国民的人気女優であるハン・ジスは政治家の息子であるキム・ガンモの恋人だったが、ガンモの父(キム議員)がソウル市長選挙に出馬するに当たってマスコミ界の重鎮チェ会長の娘スヨンとガンモは政略的に婚約することになり、ジスとガンモの関係は許されざる恋になってしまう。

キム議員が裁判官時代に不正により実兄を有罪にしたことに恨みをもつペク記者は、キム議員の市長就任を阻止すべく、ジスとガンモの恋人関係をスクープしようとしていた。

恋愛経験ゼロでいつまでも結婚できない、さえない郵便局員のク・ドンベクは、妹のミンジから映画祭のチケット2枚を貰い、郵便局のアイドル的存在だったキョンエを誘うが無視されて、一人で映画祭に行く。

映画祭が終わった後にジスとガンモは逢瀬を楽しむ予定だったが、ペク記者に尾行され、振り切るために無理な運転をして自動車事故を起こしてしまう。そこにたまたま居合わせたドンベクはガンモの身代わりになるように頼まれて、ジスのサイン9枚で代役を引き受けることになった。

サイン9枚に不安を覚えたジスはマネジャーのヨンギョンにドンベクにお金を渡すように頼むが、ドンベクは拒否する。人間関係は取引ではないと。

やがてジスとドンベクは付き合っていることにしてくれと言われる。それに疑いを持ったペク記者は、ドンベクとヨンギョンの電話を録音し、それをチェ会長に聞かせて、ジスとドンベクの関係は偽装だと訴える。

危機感を覚えたキム議員は、ジスとドンベクを結婚させるようにガンモに命令する。そして二人は選挙が終わるまでの半年間契約結婚することになる。ジスはドンベクに言う、「こうなったのは貴方にも責任があるんだから、無条件で結婚してください」。あらかじめ協議離婚契約書を作って。ドンベクは偽装結婚の対価として「三つのお願い」をきいてくれるように頼む。

結婚式の当日にホテルの玄関でスヨンと鉢合わせたジスはスヨンからガンモがチェ会長の新聞社の代表に就任することを告げられる。それはガンモとスヨンの結婚が近いことを意味していた。

偽装結婚に意味を見出せなくなったジスは結婚式場から姿を消して、思い出のグアムに身を隠す。ジスからドンベクにグアムに来てくれと連絡がある。今崖の上に立っていますと。偽装結婚に意義を見出せなくなったけれど、二人で決めたことだから、ドンベクの意見を聞く必要があると思ったのだ。

何も食べずにホテルのベッドに横たわるジスを見たドンベクは「一つ目のお願いです。一緒に食事をしましょう」と言う。翌朝、海岸でドンベクは、本当に不幸せなのは、今までのように「いないも同然」として自分が生きた証を残せない事だと言い、偽装結婚するかしないかはジスが決めてくれて良いと伝える。そして、「彼はまだ別れると言った訳ではない。あなたの愛はその程度なものなのか」とジスに言う。ジスはガンモが自分の元に帰ってくることを信じて、偽装結婚することに決める。

ジスがグアムにいることを知ったガンモは、二人を追いかけてグアムにいく。ドンベクにはジスの先輩です、キム先輩と呼んで下さいと言って近づく。ジスとドンベクはグアムの教会で結婚式を挙げることにして、ガンモが写真を撮ることになった。しかし、ふとしたキッカケでドンベクはキム先輩がガンモであることを知ってしまう。

ジスの自宅の2階で暮らすようになるドンベク。ジスはドンベクに「ここは舞台で、これからの生活は演技なのだ」と宣告する。しかし、一つ屋根の下で暮らすウチに二人には恋愛感情が芽生えるようになる。ジスにとってドンベクは「いないも同然」な存在から「必要不可欠な存在」になっていく。

やがてガンモによってオーストラリアに留学させられていたジスの弟サンチョルがソウルに戻ってくる。協議離婚契約書を見たサンチョルは、これが偽装結婚だと知ってしまう。その事実をペク記者に伝えようとするサンチョルをドンベクは必死で止める。ドンベクのジスへの愛を知ったサンチョルは、考えを改め、この偽装結婚を本物にしようと画策する。

一方で、ジスとドンベクが結婚したことでドンベクに好意を抱くようになったキョンエは、二人の結婚生活に疑いを抱くようになる。そして、郵便局の合唱団の練習の時に、ジスがドンベクに「これからの芝居には辛い事はないと思います。私が取り除きます」と言うのを聞いてしまう。キョンエは偽装結婚を黙っている代わりに自分を女優にするように要求する。

やがて、ドンベクはキム議員からガンモがスヨンと結婚することを告げられる。ドンベクはガンモに会いに行き、「一緒に生活しているうちに、ジスのことが好きになった」と宣言する。ジスがガンモの結婚でショックを受けることを危惧したドンベクは、二つ目のお願いを使って「私を10回笑わせて下さい」と言う。ジスは自分が笑っていればドンベクも笑うことに気づく。ドンベクは言う「ジスさんは幸せになりたいでしょ。そのためにはいつも笑顔でいて下さい。いつも笑っていて下さい」と。そして、ジスに自分の気持ちを告白する。

やがてジスはスヨンからガンモと結婚することを知らされる。ドンベクは「絶対的に悪いことなんて存在しないんだ」とジスに告げる。

一方で、ジスの母親(糖尿病で失明し車椅子生活)が韓国の療養所にいる事を知ったペク記者は、ガンモの知り合いと偽って、母親から選挙が終わったらジスとガンモは結婚するという話しを聞き出し、ビデオに録画する。ジスやドンベクを傷つけなくないペク記者はスヨンにビデオを見せて、ジスとガンモは恋愛関係にあり、ジスとドンベクは偽装結婚だと告げる。そして、周りの人間を傷つけずに問題を解決できるのはスヨンだけだと言い、キム議員に市長選挙を辞退させるように頼む。

スヨンはキム議員の事務所に行き、市長選挙を辞退すること、ガンモとの婚約は破棄することを宣告する。

ガンモはスヨンとは破談にしたとジスに告げ、やり直そうと告げる。そんな資格はないと応えるジス。

ジスには考える時間が必要だと考えたドンベクは暫く実家に帰ることにする。ヨンギョンとの二人暮らしに戻ったジスは満たされない気持ちを抱く。そして玄関のベルが鳴って、部屋を飛び出すジス。そこにいたのはガンモだった。その時、ジスは自分が待っていたのはドンベクだと気づく。ジスはドンベクの実家に行き、ドンベクのプロポーズを受け入れる。

ガンモはキョンエを唆して、ドンベクとの不倫記事を打ち上げる。キョンエはジスとドンベクに離婚しなければ、偽装結婚をバラすと言い放つ。

ドンベクはヨンギョンに偽装結婚がバレたらジスはどうなるのか尋ねる。韓国にはいられなくなると答えるヨンギョン。ドンベクはジスを守るために離婚することを決心する。そして、ジスに離婚しましょうと告げる。ジスはドンベク一人に責任を押し付けることはできないと拒否するが、ドンベクは三つ目のお願いだからと押し切る。

しかし、二人の離婚は形式的なもので別れる気はないことを知ったガンモは最後の悪あがきをする。ジスの母親のビデオをヨンギョンに見せて、「ペク記者に気づかれた、しばらくカナダに行ってくれ」と言う。

そこに休暇から帰ったペク記者がヨンギョンに会いにくる。ペク記者はみんなを傷つけないようにビデオをスヨンに見せたこと、スヨンが市長選挙と結婚を破談にしたことをヨンギョンに告げる。ガンモが自分から破談にしたと信じ込まされていたヨンギョンは驚愕する。

離婚会見の前日にジスに別れの挨拶にきたキョンエは「カナダに行っても元気でいて下さい」と言う。ジスは全てがガンモの差金だったことに気づく。

離婚会見で、キョンエが不倫ではなかったことを詫びたあとに、ジスは「クさんは、人間関係は取引ではないこと、幸せになるには笑っていなければいけないと教えてくれました。絶対的に悪いことは存在しないことを悟らせてくれました」といい、女優人生を捨てる覚悟で偽装結婚であったことを詫び、「幸せになる方法がわかりました。クさんの側にいることです。そうすればずっと笑っていられそうです」と告げる。ジスは協議離婚契約書を破り捨てて、「私達は離婚しません」と締めくくる。

会見場に駆けつけたドンベクにジスは言う。「私達結婚します。こうなったのはあなたにも責任があるんだから、無条件で応じて下さい」という。半年前に聞いた科白だ。三つ目のお願い(離婚する)は果たせなかったわと言うジスに、ドンベクは「じゃあ、もう一度言います。ジスさん、僕のネクタイを引っ張って」。熱いキスで終わり。

登場人物 編集

登場人物は、個別に注釈がない場合は公式サイト[12]に基づく:

主要人物 編集

33歳。本作品の主人公。ハン・ジスに憧れる平凡な郵便局員。
28歳。人気女優でドンベクの憧れの人。ガンモとは大学時代からの付き合い。
30歳。ジスの恋人。父ジョンウクの意向に逆らえず、後ジスを裏切り許婚スヨンと結婚する。
30歳。ジスのマネージャー。
27歳。ドンベクの妹。
23歳。ジスの弟。留学先のオーストラリアから帰国後、ドンベクとジスの仲を応援する。

郵便局員 編集

50代。ドンベクとジスの関係を知り、彼らを機会あるごとに局の宣伝や実績作りに利用する。
40代。ドンベクの上司。営業成績のよくないドンベクを嫌っていた。
20代。男性局員の間で人気がある。ドンベクとジスの関係を知り、彼に関心を抱くようになる。
20代。キョンエとは高校時代からの付き合い。
20代後半。ドンベクの後輩だが彼の事を嫌っている。
20代後半。ユンソプと常に行動を共にしている。

ドンベクとジス周辺 編集

27歳。ミンジの親友でドンベクの事が好き。
ジスのマネージャー。ジスの頼みでミンジの店を手伝ったのがきっかけで、ミンジを女性として意識し始める。

ガンモ周辺 編集

60代。ガンモの父親でソウル市長候補。自分の政治的野心のために他人を犠牲にすることをいとわない人物。
40代。ジョンウクを補佐官・秘書官として、あらゆる事柄について支援する。
40代。セジュン日報政治部記者。ドンベクとジスの偽装結婚にいち早く気づき、彼らをつけ狙う。
60代。とある報道機関の社主。ジョンウクの後援者。
20代後半。美術館の学芸員でチェ会長のひとり娘。ガンモの婚約者。ガンモと結婚後、ガンモとジスとの関係を知る。

韓国国外での放送 編集

台湾 編集

地上波テレビ局台湾電視公司にて、2009年7月20日より毎週月曜日から木曜日に放送された。『傻瓜』のタイトルが用いられた[13]。全24話の独自話数にて放送されている[14]2010年3月10日より、CS東森電視系チャンネル東森超視中国語版でも放送されている。

香港 編集

CS局有線電視系チャンネル有線娯楽台中国語版にて、2009年8月30日より全25話で放送された。

シンガポール 編集

CS局星話娯家戯劇台中国語版にて、2010年8月14日より放送された。

日本 編集

2010年9月20日から同年10月4日まで、地上波テレビ局フジテレビの関東ローカル枠(韓流α)にて放送された[15][16]。その後同番組枠の人気作一挙放送スペシャルの一作品に選ばれ、2011年8月15日より再放送された[17]。2010年9月からの放送では全11話、2011年の放送では全25話の形で放送されている[16]

フジテレビで放送されたバージョンには日本語吹替担当の声優として声優の鈴木成児[18]や女優・歌手の高橋愛が参加[15]。また脇役陣の吹き替えを専門学校アミューズメントメディア総合学院声優タレント科の学生たちが担当した[15]

ク・ドンベク: 鈴木成児
ハン・ジス: 高橋愛
ク・ミンジ: 新田早規[15]
チャ・ヨンギョン: 三宅亜依[15]
ペク記者: 平本和寿樹[15]
キム補佐官: 矢野正明[15]
チェ・スヨン: 前川綾香[15]
テワン: ランズベリー・アーサー[15]
ユンソプ: 小林直人[15]
ミョンジン: 岸野沙希[15]
パク・キョンエ: 菊池望[15]
キム・スンウン: 村上佳奈[15]

中国 編集

BS湖南衛視中国語版にて、2010年11月26日から『偶然結婚』のタイトルで放送された[19]

脚注 編集

  1. ^ アクシデント・カップル (2009)」『allcinema』。2024年1月1日閲覧。
  2. ^ "그저 바라보다가" KBS. 2024年1月1日閲覧。
  3. ^ ただ見守っていて innolife 2016.2.13 11:26 (UTC) 閲覧
  4. ^ HISTORY (朝鮮語) 来夢来人公式サイト 2016.2.13 11:33 (UTC) 閲覧
  5. ^ 윤현진황정민·김아중 주연 ‘식스먼스’→‘그바보’ 제목 변경 왜? (朝鮮語) NEWSEN 2009.4.15付記事
  6. ^ 지형준 ‘그바보’ 문재원-윤주상, ‘상반된 표정!’ (朝鮮語) 中央日報 2009.6.9付記事(オリジナル: NEWSEN)
  7. ^ 安部裕子 編著『韓国テレビドラマ事典 2009-2010』学研、2009年、21頁「アクシデントカップル」。
  8. ^ 윤현진 ‘그바보’ 무공해 훈남 황정민, 순수한 내면연기 호평 (朝鮮語) newsen 2009.5.8付記事
  9. ^ a b 【視聴率】『ただ見守っていて』、『シティーホール』の壁を越えれず残念な放映終了 innolife 2009.6.19付記事
  10. ^ a b KBS水木ドラマ『ただ見守っていて』、シリーズ2制作決定! innolife 2009.6.15付記事
  11. ^ 김형우 김아중 KBS 연기대상 女 우수상 수상 “아껴준 황정민 감사” (朝鮮語) 中央日報 2010.1.1付記事(オリジナル: newsen)
  12. ^ "등장인물"(韓国語)KBS。2016.2.20閲覧、2024年1月1日アーカイブを閲覧。
  13. ^ 九點檔「傻瓜」韓國影后金亞中裸照風波一笑置之 (中国語) 台湾電視公司公式サイト 2016.2.26 22:02 (UTC) 閲覧
  14. ^ 傻瓜 劇情 plot (中国語) 台湾電視公司公式サイト 2016,2,26 22:02 (UTC) 閲覧
  15. ^ a b c d e f g h i j k l m 声優タレント学科在校生43名がフジテレビ放映の韓国ドラマ『アクシデント・カップル』日本語吹替えに出演! アミューズメントメディア総合学院東京校公式サイト 2016.2.26 22:55 (UTC) 閲覧
  16. ^ a b 韓流α・アクシデント・カップル goo 2016.2.26 20:55 (UTC) 閲覧
  17. ^ 韓流α、15日よりアンコール殺到につき、平凡な郵便局員と女優のラブコメ「アクシデント・カップル」再放送! NAVICON 2011.8.11付記事
  18. ^ 鈴木 成児(すずき なりじ) Tokyo story公式サイト 2016.2.26 23 23:17 (UTC) 閲覧
  19. ^ 金鷹獨播劇場《偶然結婚》 講述男版灰姑娘愛情 (中国語) sina全球新聞 2010.11.22付記事

外部リンク 編集

BSフジ 韓ドラ☆17
前番組 番組名 次番組
復活
(2010.11.26 - 2010.12.26)
アクシデント・カップル
(2011.1.4 - 2011.1.25)
コーヒープリンス1号店
(2011.1.26 - 2011.2.17)