アサガオガラクサ

ヒルガオ科エボルブルス属の多年生草本

アサガオガラクサ(朝顔柄草、学名:Evolvulus alsinoides)は、ヒルガオ科エボルブルス属多年生草本園芸種アメリカンブルー('Blue Daze'、ハワイで開発、学名:Evolvulus nuttallianus、旧学名(シノニム):Evolvulus pilosus)に近縁。

アサガオガラクサ
アサガオガラクサの花
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 eudicots
階級なし : キク類 asterids
階級なし : 真正キク類I euasterids I
: ナス目 Solanales
: ヒルガオ科 Convolvulaceae
: エボルブルス属 Evolvulus
: アサガオガラクサ Evolvulus alsinoides
学名
Evolvulus alsinoides (L.) L.
和名
アサガオガラクサ
英名
dwarf morning-glory
slender dwarf morning-glory

特徴 編集

長さ20–70 cmの多年草。地面を匍匐して横に広がり、枝先を斜上させる。葉や茎に灰褐色~銹色の絹毛がある。葉はほぼ無柄で全縁葉腋や枝先につき、淡紫色~淡青色~青色で5浅裂し、中心や曜は白く抜ける。花径7–10 ㎜。蒴果は球形で2–4 mm、種子は4個以下で黒色、平滑。

分布と生育環境 編集

沖縄諸島先島諸島の海岸近くに生育。国外分布は台湾、中国南部、東南アジア、マレーシア、ミクロネシア[1][2]、フィリピン[3]

日本国内では、以下3変種のうち2変種(アサガオガラクサとマルバアサガオガラクサ)が沖縄に生育するとされる。葉形や葉裏の毛の多少で判別可能とされるが困難。

1. Evolvulus alsinoides var. alsinoides (L.) L., 1762

2. Evolvulus alsinoides (L.) L. var. decumbens (R.Br.) Ooststr.

3. Evolvulus alsinoides (L.) L. var. rotundifolius (Yamam.) Hayata ex Ooststr., 1934

上述の1と2のいずれがアサガオガラクサの学名とされ、沖縄に生息するかについては、ウェブサイトや書籍により記述内容が若干異なるが、3はマルバアサガオガラクサの和名が充てられ、沖縄県与那国島のみに生息すると記されていることが多い。マルバアサガオガラクサは環境省カテゴリ絶滅危惧ⅠB類(EN)、沖縄県絶滅危惧Ⅱ類(VU)[2]

利用 編集

東南アジアやインドでは生薬として利用されている(タイ語Wikipediaタミル語Wikipedia)。また、本種を細胞培養した培地を用いて抗酸化酸化還元酵素の活性を調べることにより、アゾ染料などの繊維染料を含む有害化学物質の脱色・分解機構に関する研究が進められている[4]

脚注 編集

  1. ^ (朝日新聞社 1997, p. 301)
  2. ^ a b (沖縄県 2018, p. 254)
  3. ^ (中西 2020, p. 183)
  4. ^ (Shanmugam et al. 2018, p. 6479–6488)

参考文献 編集

[広義のアサガオガラクサが沖縄に生息するとしているサイト・文献]

アサガオガラクサ うちなー通信

朝日新聞社 編ヒルガオ科「アサガオガラクサ」『朝日百科 植物の世界』第2巻、朝日新聞社、301頁、1997年。ISBN 9784023800106 

[変種1が沖縄島~西表島に生息するとしているサイト]

アサガオガラクサ 琉球の植物データベース

アメリカンブルー 三河の野草(アメリカンブルーの解説のうしろにエボルブルス属の主な種の解説が掲載されている。1が沖縄に生息し(和名記述無し)、2がアサガオガラクサ、3は沖縄に生息するマルバアサガオガラクサとしている。)

[変種2が沖縄に生息するとしているサイト]

アサガオガラクサ 山川草木図譜

アサガオガラクサ (株)イーエーシー

アサガオガラクサ オキナワ イキモノ ラボ

[変種3が与那国島に生息するとしているサイト]

マルバアサガオガラクサ 琉球の植物データベース

マルバアサガオガラクサ 野の花賛花

マルバアサガオガラクサ 与那国フィールドノート

[変種3が八重山諸島に生息するとしている文献]

中西弘樹『フィールド版 日本の海岸植物図鑑』トンボ出版、2020年、183頁。ISBN 9784887162266 

Evolvulus alsinoidesに和名マルバアサガオガラクサをあて、与那国島のみに生息するとしている文献]

沖縄県『改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物 第3版 菌類・植物編 レッドデータおきなわ』沖縄県環境部自然保護課、2018年、254頁https://www.okinawa-ikimono.com/reddata/pdf/kinrui_shokubutu2017.pdf 

[生息場所に関する記述の無いサイト・文献]

アサガオガラクサ(広義)アサガオガラクサマルバアサガオガラクサ 米倉浩司・梶田忠 (2003-) 「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList),http://ylist.info( 2022年9月4日閲覧)

マルバアサガオガラクサ 日本のレッドデータ検索システム

[その他]

Shanmugam, Laxmi; Naikawadi, Vikas Bandu; Ahire, Mahendra Laxman; Nikam, Tukaram Dayaram (2018), “Decolorization and detoxification of reactive azo dyes using cell cultures of a memory tonic herb Evolvulus alsinoides L.”, Journal of Environmental Chemical Engineering (Elsevier Ltd.) 6 (5): 6479–6488, doi:10.1016/j.jece.2018.10.008 

アサガオガラクサ(タミル語Wikipedia

アサガオガラクサ(タイ語Wikipedia

関連項目 編集

エボルブルス属

外部リンク 編集

小杉波留夫(2017) 朝、昼、晩[中編] ヒルガオ科植物 東アジア植物記