アシュワガンダ(ashwagandha[1] 学名Withania somnifera)は、ナス科の常緑低木。インドでは、古くからアーユルヴェーダにて利用されている。

アシュワガンダ
アシュワガンダの果実
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: ナス目 Solanales
: ナス科 Solanaceae
: Withania
: W. somnifera
学名
Withania somnifera
(L.) Dunal

概要 編集

「アシュワガンダ」とはサンスクリット語で「馬の匂い」を意味し、アシュワガンダの新鮮な根から放たれる独特な刺激臭と、精力剤として使用されていた経緯に由来すると考えられる[2]。学名の「somnifera」は「誘眠」を意味し、このハーブが鎮静作用を持つ事を表している。

アシュワガンダはカナリア諸島から南ヨーロッパ、アフリカ、中国の甘粛省にかけて分布し、約20種の原種がある[2]。一般的な農作物には不向きな水はけの良い乾燥した土壌を好むため、インドでは19世紀後半から商業目的で大規模に栽培されるようになり、一大産地となった[2]

樹高は約90センチメートル程度の多年性小低木であり、全体が銀白色の毛で覆われている種が多い[2]。対生する葉は長さ5から15センチメートルのほぼ楕円形。花は長さ、幅ともに1センチメートル程度の大きさで、黄緑色の星形である。

アシュワガンダの根は抗ストレスのハーブとして知られている。 専門的なハーブ療法以外にも、世界ではハーブティーとして摂取している地域もあるが、日本では薬機法により医薬品として指定されているため、使用や流通に規制がある[2][3]

効果 編集

 

アーユルヴェーダ医学では、インドのバイアグラ、インドの朝鮮人参[4]、などと称されている。 アシュワガンダは、関節痛、腰痛の緩和、血液浄化作用、滋養強壮、抗ストレス性、精力増強、リウマチなどに効果があるとされる。また、近年、脳機能改善作用、免疫力強化、抗炎症作用などの効果もあるとされる[2]

動物研究 編集

産業技術総合研究所の動物実験では、がん細胞を死滅させ、正常細胞の老化を防ぐ効果があった。 さらに化学的な分析を行った結果、ウィザノンと呼ばれる物質が「P53」というガン抑制遺伝子を活性化させ、がん細胞の増殖抑制や正常細胞の老化防止を導くことが分かった。[5]

関連項目 編集

脚注 編集

  1. ^ Withania somnifera (L.) Dunal”. Germplasm Resources Information Network - (GRIN) [Online Database]. Beltsville, Maryland: USDA, ARS, National Genetic Resources Program. National Germplasm Resources Laboratory. 2009年4月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年10月29日閲覧。
  2. ^ a b c d e f ジョンソン et al. 2014, pp. 316–319.
  3. ^ アシュワガンダティーの効果・効能や味とは? 正しい作り方やおススメ入手法も徹底解説!”. ippin. お茶ラボ. 2019年6月27日閲覧。
  4. ^ Withania somnifera (L.) Dunal”. PROTA (Plant Resources of Tropical Africa / Ressources végétales de l’Afrique tropicale) [Online Database]. Wageningen, Netherlands: Gurib-Fakim A. and Schmelzer G. H.. 2012年8月7日閲覧。
  5. ^ がん細胞の増殖抑えるインドの薬草 産総研が効果確認 Archived 2015年9月24日, at the Wayback Machine.

参考文献 編集

  • レベッカ・ジョンソン、スティーブン・フォスター、ティエラオナ・ロウ・ドッグ、デビッド・キーファー 著、関利枝子、倉田真木 訳『メディカルハーブ事典』日経ナショナル ジオグラフィック社、2014年。ISBN 9784863132726