アバイ級コルベット(アバイきゅうコルベット、英語: Abhay-class corvettes)は、インド海軍コルベットの艦級。ソ連海軍が運用していた1241.2P型小型対潜艦(パウクI型)をもとにした派生型で、ソビエト連邦の設計番号としては1241.2PE型、またNATOコードネームではパウクII型(Pauk-II class)と称される[1][2]。なおネームシップの艦名「アバイ」は、サンスクリット語の अभय (「恐れ無き者」の意)に由来している。

アバイ級コルベット
基本情報
種別 コルベット
運用者  インド海軍
就役期間 1989年 - 現在
前級 露1234E型 (ヴィジャイドゥルグ級)
準同型艦 露12411E型 (ヴィール級)
次級 25型 (ククリ級)
要目
排水量 基準425トン / 満載495トン
全長 58.5 m
垂線間長 49.5 m
最大幅 10.2 m
水線幅 9.4 m
吃水 4.0 m
主機 M-521-TM5ディーゼルエンジン×2基
推進器 スクリュープロペラ×2軸
出力 17,330馬力
最大速力 32ノット
航続距離 3,000海里 (12kt巡航時)
航海日数 10日間
乗員 士官7名+下士官兵32名
兵装AK-176M 76mm単装速射砲×1基
AK-630M 30mm CIWS×1基
イグラ近SAM 4連装発射機×1基
RBU-1200対潜迫撃砲×2基
・533mm魚雷発射管×4基
レーダー ・MR-352 対空・対水上捜索用
・MR-123 砲射撃指揮用
ソナー MG-345 船底装備式
電子戦
対抗手段
PK-16 デコイ発射機×2基
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来歴 編集

1980年代中盤、インド海軍は、ソビエト連邦より1241RE型大型ミサイル艇(タランタル型)を購入する契約を締結したが、このとき同時に、同型を元にした小型対潜艦の購入契約も結ばれていた。これによって建造されたのが本級である。なお1241型大型ミサイル艇は、ヴィール級コルベットとして1987年より運用を開始した[1][2]

設計 編集

上記の経緯より、ソ連海軍で運用されていた1241.2P型小型対潜艦(パウクI型)を元にした輸出型であり、1241.2PE型(あるいは1241PE型)と称される。主船体は軟鋼製だが、上部構造物や船体内隔壁の一部はアルミニウム合金製となった。上部構造物はオリジナルの1241.2P型よりも長くなっている[1]。主機関には、熱帯気候にあわせたカスタマイズが施されている[2]

装備は大きく変更されており、1241.2PE型の装備した 400 mm 単装魚雷発射管 OTA-40-204 4 基に代えて 533 mm 連装魚雷発射管 DTA-53 2 基を搭載した。この発射管からは、 53-65KE 対潜魚雷SET-65E が発射できた。また、哨戒能力強化のため、対空・対水上レーダーも大型の MR-352 「ポジチーフ-E」が搭載されている。これは、 1241.7型や 1241.8型大型ミサイル艇に搭載されたものと同様の捜索レーダーである。

1241.2-PE型はソ連時代末期に各国に向けて 8 隻建造されたが、そのうち 4 隻がインド海軍向けとなっている。建造は、全艦ともヤロスラーヴリ造船工場で行われた。1989年から1991年にかけて導入された 4 隻のソ連海軍での名称は、それぞれ MPK-221、 MPK-218、 MPK-206、 MPK-208 であった。

同型艦 編集

# 艦名 引渡し 除籍
P33 アバイ
INS Abhay
1989年3月10日
P34 アジャイ
INS Ajay
1990年1月24日 2022年9月19日
P35 アクシャイ
INS Akshay
1990年12月10日 2022年6月3日
P36 アグライ
INS Agray
1991年1月30日 2017年1月27日

参考文献 編集

  1. ^ a b c Stephen Saunders, ed (2009). Jane's Fighting Ships 2009-2010. Janes Information Group. p. 341. ISBN 978-0710628886 
  2. ^ a b c Eric Wertheim (2013). The Naval Institute Guide to Combat Fleets of the World, 16th Edition. Naval Institute Press. p. 283. ISBN 978-1591149545