アブラガニ(油蟹、Paralithodes platypus)は、十脚目(エビ目)・ヤドカリ下目タラバガニ科に分類される甲殻類の一種。名前に「カニ」とあるがヤドカリの仲間に分類される。タラバガニに近縁で食用にもなるが、偽装表示されて流通したことが問題となったことがある。

アブラガニ
アブラガニ
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
亜門 : 甲殻亜門 Crustacea
: 軟甲綱 Malacostraca
亜綱 : 真軟甲亜綱 Eumalacostraca
上目 : ホンエビ上目 Eucarida
: 十脚目(エビ目) Decapoda
亜目 : 抱卵亜目(エビ亜目)
Pleocyemata
下目 : 異尾下目(ヤドカリ下目)
Anomura
上科 : タラバガニ上科 Lithodoidea
: タラバガニ科 Lithodidae
: タラバガニ属
Paralithodes Brandt1849
: アブラガニ P. platypus
学名
Paralithodes platypus (Brandt, 1850)
和名
アブラガニ(油蟹)
英名
Blue king crab

アオガニ(青蟹)という別名もあるが、これはワタリガニ科のカニの一種 Callinectes sapidus の標準和名としても用いられるので混同しやすい。

特徴 編集

甲幅20cmほど。タラバガニよりは小型で、爪がやや長く脚の裏に色素がない。甲羅表面の心域(甲のH字模様の中央下の区画)に4個のとげ状突起があり、6個のタラバガニと区別できる。ただし、ごくまれに5-6個ある個体が見つかる。

生体の体色はタラバガニより青みを帯び、「アオガニ」の別名もここに由来するが、体色では判別し難い。和名の由来は、カニミソが脂っこいという説と、甲羅の表面にを塗ったような光沢があるという説の2つがある。

日本海オホーツク海ベーリング海沿岸域に分布し、特にベーリング海北部で多産する。

利用 編集

タラバガニと同様に食用に漁獲されるが、アブラガニの漁期は1月-6月、タラバガニの漁期は7月-12月と重複せず、流通期間も異なる。食味はタラバガニよりやや劣るとされるが、冷凍焼け、茹ですぎ、旬を外すなどで味の落ちたタラバガニと比べると遜色が無くなる。度重なる報道により知名度が向上し、値段も相応に安くなったことから、消費者による指名買いも増えているという。

参考文献 編集

外部リンク 編集