アポルフィンアルカロイド

アポルフィンアルカロイド(Aporphine alkaloids)は、アルカロイドに属する天然に発生する化合物である。

アポルフィン:アポルフィンアルカロイドの親化合物

代表的なのはアポモルヒネであり、アポルフィンアルカロイドの名称はこれに因む。置換基の位置と種類によっては、λmax 300~310、280、220 nm 辺りに特徴のある吸収スペクトルを示す[1]

発生 編集

 
スナヅルクスノキ科

アポルフィンアルカロイドは、最も一般的に植物で見られる。自然では主にバンレイシ科クスノキ科モクレン科ツヅラフジ科の植物中に存在する[2]。この他、ケシ科ツヅラフジ科メギ科バンレイシ科など数多くの植物にみられる[1]

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生合成 編集

レティキュリン(1)は最初の段階で酸化し、境界構造(2a)および(2b)でメソメリー安定化されたジラジカルが生成する。環化により、4番目の6員環であるコリツベリン3が生じ、これが脱水してブルボカプニン(4)になる。以下はこの回路図である。

 

使用 編集

アポモルヒネは血圧を下げ、強力な催吐剤でもある。ドーパミン受容体に刺激を与えるため、主にパーキンソン病の治療薬として使用される[3]

アフリカの伝統医学では、スナヅルは癌に対する薬と見なされている。研究によれば、植物には多くのアポルフィンアルカロイドが含まれており、3つの主要なアルカロイドであるアクチノダフニン、カシチン、ディセントリンは実際に癌細胞に in vitro 影響を与えることがわかった[4]

出典 編集

  1. ^ a b 『化学辞典』(2版)森北出版、2009年。ISBN 978-4-627-24012-4 
  2. ^ 『Alkaloids: Chemical and Biological Perspectives (Alkaloids from Malaysian Flora)』Pergamon Press、1999年。 
  3. ^ 『Introduction to Alkaloids: A Biogenetic Approach』John Wiley & Sons、1981年、406~408頁。ISBN 0-471-03478-9 
  4. ^ 『Alkaloids from Cassytha filiformis and related aporphines: antitrypanosomal activity, cytotoxicity, and interaction with DNA and topoisomerases. In: Planta Med. 70 (5)』Thieme Verlag、2004年、407~413頁。