アミガサギリ

トウダイグサ科の植物の一種

アミガサギリ (Alchornea liukiuensis) はトウダイグサ科の樹木。アカメガシワに似た低木で薄く幅広い葉を着ける。オオバベニガシワと同属のものである。

アミガサギリ
アミガサギリ
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : バラ類 Rosids
: キントラノオ目 Malpighiales
: トウダイグサ科 Euphorbiaceae
亜科 : エノキグサ亜科 Acalyphoideae
: エノキグサ連 Acalypheae
: アミガサギリ属 Alchornea
: アミガサギリ A. liukiuensis
学名
Alchornea liukiuensis Hayata
和名
アミガサギリ

特徴 編集

落葉性の低木[1]。樹高は2~3m程になる。葉は互生し、単葉で葉柄は長さ3~10cm。葉身は長さ6~18cm、洋紙質で無毛、裏面は白緑色となっている。葉身の形は心形から広卵形をしており、先端は鈍く尖るか突き出して鋭く尖り、基部は心形か、あるいは断ち切られた形になり、縁には浅い細かな鋸歯がある。葉脈は3本が特に目立ち、また葉身の基部には2個の蜜腺がある。

雌雄異株で、花序は長さ10~15cmほどの総状花序または円錐花序となる。その軸上には球状の房が並んでおり、個々の房は鱗片と多数の雄花、あるいはそこに1~2個の雌花が含まれている。個々の花は小さくて1.5mmほど、雄花は(2~)4個の三角形をした萼片があって(6~)8個の雄しべが含まれる。雌花の場合、萼片は披針形か卵形で、子房には毛が一面にあり、柱頭は3つに裂ける。乾果は径1cmになり、球形で3方向に溝がある。種子はやや偏った倒卵形で長さは6~7mmになり、表面にはいぼ状の突起がある。

和名は葉柄と共に葉脈が赤く色づくことが多く、これが編み目のように見えることに依る[2]

分布と生育環境 編集

奄美大島以南の琉球列島に産し、国外では台湾から知られている[3]

疎林に生える[3]。分布域内でも広く見られるものではなく、石灰岩地に点在的に見られる[2]

分類・類似種など 編集

本種の属するアミガサギリ属には世界の熱帯域に約60種があるが、日本には本種のみ自生する[4]

ただし同属で中国南部が原産のオオバベニガシワ A. davidii は新芽が真っ赤になることから観賞用として栽培されており、この種の方が目にすることは多い[3]。なおそのためにこの種の方が名の通りが良く、そのためか少し古い書(たとえば保育社の原色図鑑シリーズ)ではこの属の和名にオオバベニガシワ属が採用されていた[5]

保護の状況 編集

環境省のレッドデータブックでは指定はなく、県別では鹿児島県で絶滅危惧II類に指定されている[6]。上記のように沖縄でも広くよく見られるものではないが、絶滅危惧指定をするほどでもないのであろう。

出典 編集

  1. ^ 以下、主として佐竹他編(1989),p.271
  2. ^ a b 島袋(1977)p.56
  3. ^ a b c 大橋他編(2016)p.149
  4. ^ 大橋他編(2016)p.148
  5. ^ 北村、村田(1994),p.334
  6. ^ 日本のレッドデータ検索システム[1]2022/02/05閲覧

参考文献 編集

  • 佐竹義輔他編、『日本の野生植物 木本I』、(1989)、平凡社
  • 大橋広好他編、『改訂新版 日本の野生植物 3 バラ科~センダン科』、(2016)、平凡社
  • 島袋敬一、「アカメガシワ」:『朝日百科 植物の世界 4』、(1997)、朝日新聞社、:p.55-57。
  • 北村史郎、村田源、『原色日本植物図鑑 木本編 (I)』改訂25刷、(1994)、保育社