アラン谷アラン語Val d'Aranカタルーニャ語Vall d'Aranカスティーリャ語Valle de Arán)は、スペインカタルーニャ州リェイダ県コマルカの1つでピレネー山中に位置する谷。面積は620.47 km2、人口は9219人(2005年)。アラン渓谷バル・ダランの表記もある。

バル・ダラン

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地図
Val d'Aranの位置(カタルーニャ州内)
Val d'Aran
Val d'Aran
カタルーニャ州内のアラン谷の位置
データ
カタルーニャ州
リェイダ県
地域 アルト・ピリネウ・イ・アラン
中心自治体 ビエーリャ・エ・ミジャーランスペイン語版
面積 633.6km²
人口 10,206人
人口密度 16.1人/km²
代表 Francés Boya Alòs(UA-PSC)
自治体数 9

地理 編集

カタルーニャ州の北西端に位置し、フランスと国境を接している。谷は北に向かって開けており、ピレネー山脈に発したガローナ川はアラン谷を通ってガスコーニュ地方にいたる。これに対して南には険しい山々がそびえる[1]。中心都市はビエーリャ(Viella)。

地名の由来 編集

アラン(Aran)とは本来バスク語で「谷」の意で、これはアラン谷で中世までロマンス語とバスク語の二言語が使われていた名残である。バスク語話者がいなくなると、谷の人々はロマンス語で「谷」を意味するバル(Val)をつけてアラン谷を呼ぶようになった。定冠詞をつけた場合はEra Val d'Aranと表記する。

人口 編集

バル・ダランの人口推移(1900年 - 2010年)
 1900  1910  1920  1930  1940  1950  1960  1970  1981  1991  2000  2010
 6,389  6,650  6,608  6,182  4,681  6,555  6,525  5,055  5,923  7,443  7,779  10,206
出典:IEC(カタルーニャ統計局)[2]

歴史 編集

 
バル・ダランの自治体

1312年、アラン谷の住民投票によってアラゴン=カタルーニャ連合王国への帰属が決定、現在にいたる。

政治 編集

アラン谷は12世紀から続くテルソン(terçon)と呼ばれる行政区分によって分けられる。テルソンとは本来「3分の1」を意味し、当初は高地のガロース、中地のビエーリャ、低地のボソストの3つを指していた。

それぞれのテルソンはさらにセステルソン(sesterçon,「6分の1」の意)という下位区分をもち、ガロースはPujòloとアルティエス・エ・ガロース、ビエーリャはCastièroとMarcatosa、ボソストはLairissaとEs Quate Lòcsに分かれる。

今日ではセステルソンもテルソンと見なしているため、現在のアラン谷は6つのテルソンがあることになる。テルソンはアラン評議会に代表を送り、意思決定を行なう。

アラン谷にはビエーリャ、Naut Aran、ボソスト、Les、Es Bòrdes、Canejan、Vilamòs、Arres、Bausenの9つの自治体がある。

言語 編集

オック語の一つガスコーニュ語の方言であるアラン語が話されている。アラン語はカタルーニャ州の法律により、アラン谷の公用語としてカタルーニャ語カスティーリャ語と並んで認められている。

参考文献 編集

  • エンリケ・ガルガージョ・ヒル(木村琢也訳)「アラン語 アラン谷のオクシタン語」、坂東省次、浅香武和編『スペインとポルトガルのことば 社会言語学的観点から』(同学社、2005年)

脚注 編集

  1. ^ 川成洋『スペイン文化読本』丸善出版、2016年、95頁。ISBN 978-4-621-08995-8 
  2. ^ Web de l'estadística oficial de Catalunya”. IEC(カタルーニャ統計局). 2011年11月20日閲覧。

関連項目 編集

外部リンク 編集