アリソン」("Alison")は、エルヴィス・コステロによって書かれ、最初にスティッフ・レコードの1977年のコステロのアルバム『マイ・エイム・イズ・トゥルー』に収録された楽曲。コステロはこの曲はスーパーマーケットで働いているのを彼が見た女性に寄せたものだと主張したが、その意味はあいまいなままだった。コステロのシングルはチャートには入らなかったが、この曲はコステロの最も有名な曲の一つとなった。

Alison
エルヴィス・コステロシングル
初出アルバム『マイ・エイム・イズ・トゥルー
B面 ウェルカム・トゥ・ザ・ワーキング・ウィーク
Welcome to the Working Week
リリース
規格 シングル盤
録音 1977年
ジャンル
時間
レーベル スティッフ イギリスの旗 イギリス
コロムビア アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
作詞・作曲 エルヴィス・コステロ
プロデュース ニック・ロウ
エルヴィス・コステロ シングル 年表
レス・ザン・ゼロ英語版
1977年
アリソン
1977年
レッド・シューズ英語版
1977年
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この曲のカバーを1979年にリリースしたリンダ・ロンシュタットはこの曲を中程度にヒットさせた。この曲にはほかにも複数のカバーバージョンがある。

背景 編集

「アリソン」はエルヴィス・コステロのデビュー・スタジオ・アルバム『マイ・エイム・イズ・トゥルー』に収められ、1977年にリリースされた。エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズ英語版結成前に「アリソン」が録音されたので、この曲の伴奏はクローバー英語版が担当した。コステロは「だれかをがっかりさせる」ということ以外は、曲の意味をほとんど明らかにしておらず[2]、歌詞の "somebody better put out the big light" と "my aim is true" が殺人への言及だとの示唆を否定している。コステロはこの曲が誰についてのものなのかを明らかにすることを拒み、 Girls Girls Girls のライナーノーツには「もっと言うことで多くのことを取り消すことができる」と書いている[3][4]。歌詞の "my aim is true" はアルバムのタイトルにもなっている。コステロはまた "I know this world is killing you" という行をスタッカート形式で分割するコーラスの音楽的なアイデアは、デトロイト・スピナーズの "Ghetto Child" のタイトル・リフレインの前に置かれた "Life ain't so easy when you're a ..." というフレーズの手法に由来すると述べている[5]

しかしながら、2015年に出版した自伝 Unfaithful Music & Disappearing Ink (日本語版:『エルヴィス・コステロ自伝、2020年12月刊行予定)には「地元のスーパーで美しいチェックアウトの女の子を見た後、「アリソン」という曲を書いたといつも人々に話していた。彼女はかつて船にその名が付けられていたかもしれない顔をしていた。悪党はかつて彼女の名誉を守るために霧に包まれた決闘を戦ったかもしれない。今、彼女はレジで豆の缶の値段を入力し、若い頃のすべての希望と夢が消え去っているように見えた。残されたものはすべて、彼女に適当な嘘をつき、さらに遠いところに捕まえるすぐにごろつきに浪費されていた」と書いている[6]

コステロとグリーン・デイビリー・ジョー・アームストロングVH1クラシックの "Decades Rock Live" でこの曲を共演した。この時の演奏は2006年5月19日に放送された。

評価 編集

「アリソン」はイギリスではB面の「ウェルカム・トゥ・ザ・ワーキング・ウィーク」とともにシングルとして発売され、アメリカではB面に同じ曲のモノラルバージョンを収録したものと、「ミラクル・マン」を収録したものの2枚のシングルが発売された。北米版シングルの「アリソン」はストリングス・セクションを追加するためにリミックスされているという点でユニークである[7]。曲が収められているアルバムがトップ40のアルバムチャートに入ったようにはこのシングルはチャートインしなかったが、アメリカではAORラジオ局でのエアプレイを得た。2004年、ローリング・ストーン誌は史上最高の500曲の318番にこの曲を選び、エンターテイメント・ウィークリーの投票ではコステロの優れた10曲のうちの一曲に選ばれた[8]デイリー・テレグラフ紙は「オリヴァーズ・アーミー英語版」に次ぐ2番目に優れたコステロの曲と位置づけ、「片思いについての素晴らしい歌」と呼んだ[9]

リンダ・ロンシュタットのバージョン 編集

アリソン
リンダ・ロンシュタットシングル
初出アルバム『ミス・アメリカ
B面 モハメッドのラジオ
リリース
規格 シングル盤
録音 1978年
ジャンル カントリー・ロックニュー・ウェイヴ
時間
レーベル アサイラム・レコード
作詞・作曲 エルヴィス・コステロ
プロデュース ピーター・アッシャー
リンダ・ロンシュタット シングル 年表
ジャスト・ワン・ルック
1979年
アリソン
1979年
お願いだから
1980年
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背景 編集

リンダ・ロンシュタットは「アリソン」のカバーバージョンを1978年に200万枚以上を売り上げて自身のスタジオアルバム『ミス・アメリカ』用に録音した。アルバムからの4枚目のシングルとして1979年にアサイラム・レコードからリリースされ、ロンシュタットの長年のプロデューサーであるピーター・アッシャーが担当した。ロンシュタットの「アリソン」のB面はやはりアッシャーがプロデュースした「モハメッドのラジオ」だった。

評価 編集

「アリソン」のロンシュタットのバージョンはそこそこヒットし、アメリカではビルボード誌のアダルト・コンテンポラリー・チャートで30位となった[10]。このシングルは全英シングルチャートでも66位となっている[11]

数年後、コステロはロンシュタットのバージョンを公然とバカにしていたかもしれないが、「でも、彼女が稼いだお金を使うのは気にならなかった」と冗談を言った[12]。ロンシュタットが南アフリカのサンシティで演奏してからは、コステロはロンシュタット版の印税をアフリカ民族会議に寄付している[13]

脚注 編集

  1. ^ a b c Herbert, Geoff (2018年6月18日). “Elvis Costello tour dates include Turning Stone, Buffalo concerts”. Syracuse. 2019年10月14日閲覧。
  2. ^ “Alison”. 500 Greatest Songs of All Time (Rolling Stone). (2004年12月9日). https://www.rollingstone.com/artists/elviscostello/articles/story/6596163/alison 
  3. ^ Girls Girls Girls (Inset). Elvis Costello. USA: Columbia Records. 1988. C2K-46897。
  4. ^ My Aim Is True (Inset). Elvis Costello. USA: Rhino Entertainment. 2001. R2 74285。
  5. ^ Elvis Costello, Unfaithful Music, p.187
  6. ^ Elvis Costello (13 October 2015). Unfaithful Music & Disappearing Ink. Viking. p. 179. ISBN 978-0241003466 
  7. ^ Doggett, Peter (September 1983). “Elvis Costello: A complete guide to his British and American releases, promos, and rarities”. Record Collector 49. http://www.elviscostello.info/wiki/index.php/Record_Collector,_September_1983 2020年5月22日閲覧。. 
  8. ^ “Alison”. Pump It Up: Elvis Costello's 10 Greatest Tunes (Entertainment Weekly). (2004年10月9日). http://www.ew.com/ew/article/0,,20047186_20047196_700956,00.html 
  9. ^ “Elvis Costello's 40 best songs”. The Telegraph. (2016年5月11日). https://www.telegraph.co.uk/music/artists/elvis-costello-40-best-songs/alison/ 2016年12月27日閲覧。 
  10. ^ Adult Contemporary: Linda Ronstadt”. Billboard (2019年). 2019年5月9日閲覧。
  11. ^ Roberts, David (2006). British Hit Singles & Albums (19th ed.). London: Guinness World Records Limited. p. 469. ISBN 1-904994-10-5.
  12. ^ Griggs, Simon (1998年11月26日). “Elvis Costello Interview”. 2008年6月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2008年7月25日閲覧。
  13. ^ Pilgrim, David; Ormrod, Richard (2014). Elvis Costello and Thatcherism: A Psycho-Social Exploration. Farnham, U.K.: Ashgate Publishing. p. 50. ISBN 9781317145004. https://books.google.com/books?id=dZ0WDAAAQBAJ 

外部リンク 編集