アルベール・マチエ(Albert Mathiez、1874年1月10日 - 1932年2月26日)は、フランス歴史学者

フランシュ・コンテ地方の農家の出身。1897年高等師範学校卒業して歴史教授資格を取得、師であるアルフォンス・オラール[1]の指導を受けながら各地のリセの教壇に立ち、1911年ブザンソン大学1919年ディジョン大学の教授を務めた後、1926年ソルボンヌ大学教授となった。

フランス革命の研究をテーマとし、特にロベスピエールを中心とした政治史や革命礼拝制度などの宗教史に関心を持ち、1907年には「ロベスピエール研究協会」を設立し、その機関誌『革命年報』(後に『フランス革命史年報』と改題)にて、ロベスピエール再評価を唱えた。だが、こうした活動がダントンを重要視するオーラルとの対立を招いた。

第一次世界大戦後のインフレーションの経験から、フランス革命期の経済政策と社会運動に関する研究も行った。一連の研究の成果は、『フランス大革命』として集大成される予定であったが、刊行途中の1932年に急死した。しかし、従来からの政治史としてのフランス革命研究に宗教・思想・社会経済の視点を加えた同書は未完ながら高い評価を受けた。訳書は第二次世界大戦後に岩波文庫(全3巻、市原豊太ねづまさし共訳)で刊行されている。

参考文献 編集

  • 松浦義弘「マチエ」(『歴史学事典 5 歴史家とその作品』(弘文堂、1997年) ISBN 978-4-335-21035-8

脚注 編集

  1. ^ パリ大学のフランス革命史講座の初代担当教授。(Alphonse Aulard

関連項目 編集