アルミニウムには複数の同位体があるが、天然に存在するのは 27Al安定同位体)と 26Al (放射性、半減期71.7万年)のみで、そのうち 27Al が99.9%以上を占める。標準原子量は 26.9815386(8) u である。26Al は大気圏で発生するが、それは宇宙線陽子によるアルゴンの破砕が原因である。アルミニウムの同位体は海洋性堆積物マンガンノジュール氷河の氷、岩石中の露出した石英粒子、そして隕石の年代測定において重要である。

宇宙線起源の 26Al はや隕石の研究で初めて用いられた。隕石の破片はその母天体から離れたあと宇宙空間で強烈な宇宙線を浴び、相当な26Alが生じる。地球に落下した後は、宇宙線が大気で遮蔽されるため隕石の破片には新たな26Alの生成が起こらなくなる。そのため、26Al の崩壊は隕石落下年代の決定に使われる。また、隕石の研究において、26Al は太陽系形成時に比較的豊富に存在していたことが判明しており、26Alの崩壊熱は、微惑星の溶融と分化を引き起こしたと考えられている[1]

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同位体
核種
Z(p) N(n) 同位体質量 (u) 半減期 核スピン数 天然存在比 天然存在比
(範囲)
励起エネルギー
21Al 13 8 21.02804(32)# <35 ns 1/2+#
22Al 13 9 22.01952(10)# 59(3) ms (3)+
23Al 13 10 23.007267(20) 470(30) ms 5/2+#
23mAl ~0.35 s #79
24Al 13 11 23.9999389(30) 2.053(4) s 4+
24mAl 425.8(1) keV 131.3(25) ms 1+
25Al 13 12 24.9904281(5) 7.183(12) s 5/2+
26Al 13 13 25.98689169(6) 7.17(24)E+5 a 5+
26mAl 228.305(13) keV 6.3452(19) s 0+
27Al 13 14 26.98153863(12) STABLE 5/2+ 1.0000
28Al 13 15 27.98191031(14) 2.2414(12) min 3+
29Al 13 16 28.9804450(13) 6.56(6) min 5/2+
30Al 13 17 29.982960(15) 3.60(6) s 3+
31Al 13 18 30.983947(22) 644(25) ms (3/2,5/2)+
32Al 13 19 31.98812(9) 31.7(8) ms 1+
32mAl 955.7(4) keV 200(20) ns (4+)
33Al 13 20 32.99084(8) 41.7(2) ms (5/2+)#
34Al 13 21 33.99685(12) 56.3(5) ms 4-#
35Al 13 22 34.99986(19) 38.6(4) ms 5/2+#
36Al 13 23 36.00621(23) 90(40) ms
37Al 13 24 37.01068(36) 10.7(13) ms 3/2+
38Al 13 25 38.01723(78) 7.6(6) ms
39Al 13 26 39.02297(158) 7.6(16) ms 3/2+#
40Al 13 27 40.03145(75)# 10# ms [>260 ns]
41Al 13 28 41.03833(86)# 2# ms [>260 ns] 3/2+#
42Al 13 29 42.04689(97)# 1# ms
  • #でマークされた値は、全てが純粋に実験値から算出されたものではなく、一部体系的な傾向から導き出された推定値を含んでいる。明確なデータが得られていない核スピンに関しては、かっこ書きで表記している。
  • 数値の最後にかっこ書きで表記しているのは、その値の誤差を示している。誤差の値は、同位体の構成と標準の原子質量に関しては、IUPACが公表する誤差で表記しており、それ以外の値は、標準偏差を表記している。

脚注 編集

  1. ^ Robert T. Dodd, Thunderstones and Shooting Stars, pp. 89-90. ISBN 0-674-89137-6.

参考文献 編集

外部リンク 編集