アレチヌスビトハギ(荒れ地盗人萩、学名Desmodium paniculatum)は、マメ科シバハギ属[3]多年草北アメリカ原産の帰化植物[4][5]

アレチヌスビトハギ
静岡県静岡市 2020年10月上旬
分類APG IV
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : バラ上類 Superrosids
階級なし : バラ類 Rosids
階級なし : マメ類 Fabids
: マメ目 Fabales
: マメ科 Fabaceae
亜科 : マメ亜科 Faboideae
: シバハギ属 Desmodium
: アレチヌスビトハギ
D. paniculatum
学名
Desmodium paniculatum (L.) DC. (1825)[1]
和名
アレチヌスビトハギ(荒れ地盗人萩)[2]
英名
Panicled Tick-Trefoil

特徴 編集

は直立または斜上して高さは50-100cmになり、全体に開出毛が生える。は互生し、3小葉からなり、頂小葉は狭卵形から卵形または狭長楕円形で、長さ4-10cm、幅1-3cm、先は鋭頭から鋭突頭、縁は全縁、基部は鈍形になる。側小葉は左右非対称で頂小葉より小さい。葉の両面に伏した軟毛が生え、裏面は多毛で淡色になる。葉柄は長さ2-5cmになり、基部にある托葉は線形から狭卵形で、先端は伸び、長さは3-6mmになる[2][4][5]

花期は9-10月。茎先に円錐花序を、上部の葉腋に総状花序をつけ、多数の蝶形花をつける。花序軸に毛が生え、小花柄は長さ4-11mmになり、細かい鉤状毛が生える。は紅紫色で長さ6-8mm、ヌスビトハギよりやや大きく、夕方にはしぼむ。萼片は長さ2-3mmになる。果実は豆果で扁平な節果となり、3-5個の小節果からなり、上部は直線状で下部がやや深くくびれるが、ヌスビトハギのように「くびれ」が点状になるほど深くはない。小節果はほぼ三角形で、長さ4-7mm、幅3-4.5mm、全面に細かい鉤状毛が生える。染色体数は2n=22[2][4][5]

分布と生育環境 編集

原産は北アメリカ東南部。日本では、本州の東北地方南部以西、四国、九州、琉球に帰化しているが[4]、関東地方以西に多い[5]。北海道胆振地方からの報告もある[4]。平地、市街地の日当たりの良い空き地、雑草地、開発地の空き地、道ばたなどに生える[4]

名前の由来 編集

和名アレチヌスビトハギは、「荒れ地盗人萩」の意[2]。和名は、1940年に本種を大阪府で採集した、岡山県の植物研究家の吉野善介によって命名された[4]

種小名(種形容語)paniculatum は、「円錐花序の」の意味[6]

ギャラリー 編集

分類 編集

以前は、Desmodium Desv.ヌスビトハギ属の学名として使用されてきた。1994年に大橋広好と梶田忠の研究によってヌスビトハギ類のDNA解析がすすめられ、2000年には、日本のヌスビトハギ類は、従来の「ヌスビトハギ属」とは別属とされ、Hylodesmum H.Ohashi & R.R.Mill が属として新設され、新しい「ヌスビトハギ属」とされた。従来の Desmodium Desv. の和名はシバハギ属となり、日本分布の種は、シバハギ D. heterocarpon を含む4種となった[3]

この他、日本に帰化している同属の種は、北アメリカ原産の本種のほか、イリノイヌスビトハギ D. illinoense A.Gray、アメリカヌスビトハギ D. obtusum (Muhl. ex Willd.) DC.、ムラサキヌスビトハギ D. tortuosum (Sw.) DC. がある[4]

脚注 編集

  1. ^ アレチヌスビトハギ 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ a b c d 『山溪ハンディ図鑑1 野に咲く花(増補改訂新版)』p.365
  3. ^ a b 大橋広好 (2016)『改訂新版 日本の野生植物 2』「マメ科」pp.264-265, 270-271
  4. ^ a b c d e f g h 『日本の帰化植物』pp.106-107
  5. ^ a b c d 『日本帰化植物写真図鑑』(一部改訂)p.127
  6. ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1506

参考文献 編集

関連項目 編集

外部リンク 編集