アーマ・トーマス(Irma Thomas, 1941年2月18日 - )は、アメリカ合衆国ソウルR&Bシンガールイジアナ州ニューオーリンズを代表するシンガーのひとりで、「ニューオーリンズのソウル・クイーン (Soul Queen Of New Orleans)の愛称でも知られている。

アーマ・トーマス
アーマ・トーマス (2006)
基本情報
出生名 Irma Lee
生誕 (1941-02-18) 1941年2月18日(83歳)
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国 ルイジアナ州ポンチャトゥーラ
ジャンル R&B
ブルース
ソウル
職業 シンガー
活動期間 1960年 〜 現在
レーベル ミニット・レコードインペリアル・レコードラウンダー・レコード
共同作業者 マーシャ・ボールアラン・トゥーサン
公式サイト IrmaThomas.com

来歴 編集

1941年2月18日ルイジアナ州ポンチャトゥーラで生まれる。誕生時の名前はアーマ・リーであった。トーマス姓は2番目の夫のものである。

1960年トミー・リッジリーの紹介でロン・レーベルと契約。"You Can Have My Husband (But Don't Mess with My Man)"でデビューし、R&Bチャート22位のヒットを記録する。しかし、ロンでは長続きはせず、バンディ・レーベルからシングル"Look Up"をリリースしたのち、ミニット・レーベルと契約する。ここで彼女はアラン・トゥーサンと出会う。トゥーサンは、彼女のプロデューサーを務め、また"It's Rainin'"、"Ruler Of My Heart"(オーティス・レディングが"Pain In My Heart"の名でカバー)などの曲を提供したのだった。ミニットで6枚のシングルをリリース後インペリアルがミニットを買収し、以後インペリアル所属となる。インペリアル時代には、"Wish Someone Would Care"がR&Bチャート17位を記録するなど、いくつかのヒットが生まれている。また、ローリング・ストーンズがカバーした"Time Is On My Side"をレコーディングしたのもインペリアルでのことであった。

1967年、アーマはチェスと契約し、アラバマ州マッスルショールズの有名なフェイム・スタジオでのレコーディングを行う。3枚のシングルをリリースするもののヒットには恵まれず、チェスとの契約は終了する。

1969年ハリケーン・カミールから避難する形でカリフォルニア州へ移住する。70年代の初頭、コティリオン、キャニオンなどのレーベルからシングルを散発的にリリースし、また1973年には、ファンガス・レーベルからアルバム「In Between Tears」をリリースするものの、いずれも商業的には成功を収めることはなかった。

1976年に再びニューオーリンズに戻り、メゾンドソウル、RCSなどからレコードをリリースする。同年4月のニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテッジ・フェスティバルでのライヴはレコーディングされ、『New Orleans Jazz And Heritage Festival 1976』としてリリースされた。また、80年代に入ると、夫エミール・ジャクソンとともにニューオーリンズ市内に自身のクラブ、ライオンズ・デンを開店した。

長い間、ヒットから遠ざかっていたアーマに転機が訪れたのは1986年ラウンダー・レコードと契約し、アルバム「The New Rules」をリリースする。以後、好調なペースで同レーベルからアルバムをリリースし続けている。1993年には初のゴスペル・アルバム 「Walk Around Heaven」、1998年にはマーシャ・ボールトレイシー・ネルソンとの共作プロジェクト 「Sing It!」をリリースするなど、ラウンダーにおいては意欲溢れる作品が多い。1991年の ライヴ盤「Live: Simply The Best」では、初めてグラミー賞にノミネートもされた。

2005年ハリケーン・カトリーナで被災し、自宅と自身のクラブを失ってしまった。しかしながら、そのような状況下で新作「After The Rain」をレコーディングする。同作は、2006年のグラミー賞でコンテンポラリー・ブルース賞を見事受賞。アーマにとって、初の受賞となった。

被災後、アーマはニューオーリンズから避難し、一時的に郊外のゴンザレスに住んでいたが、公式サイトの情報によると、2008年現在、ニューオーリンズに戻っている。

ニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテッジ・フェスティバルでは、2008年の公式ポスターに、アーマの図柄を採用した。

2009年、アーマのレコーディング・キャリア50周年を記念して、ラウンダー・レコードより新曲3曲を含む編集盤「The Soul Queen of New Orleans: 50th Anniversary Celebration」がリリースとなった。

来日公演 編集

アーマの来日公演は下記の通り行われている。[1]:

  • 初来日公演 (1987年:単独公演)
4月15日 東京青山CAY
4月17日 大坂バナナホール
4月19日 京都磔磔
  • ガンボ・ジャンボ・カーニバル (1991年)
9月24日 東京渋谷CLUB QUATTRO
9月25日 東京日比谷公会堂
9月27日 名古屋市公会堂
9月28日 京都磔磔
9月29日 東京日比谷野外音楽堂
  • 通算三度目の日本ツアー (2011年; 単独公演)
11月29日 大阪 ビルボードライブ大阪
12月1日 東京 ビルボードライブ東京
12月2日 東京 ビルボードライブ東京
  • 通算四度目の日本ツアー (2013年; 単独公演)
5月29日 東京 ビルボードライブ東京
5月30日 東京 ビルボードライブ東京

ディスコグラフィ 編集

アルバム 編集

  • 1964年 Wish Someone Would Care (Imperial)
  • 1968年 Take A Look (Imperial)
  • 1973年 In Between Tears (Fungus)
  • 1976年 New Orleans Jazz & Heritage Festival (Island)
  • 1978年 Soul Queen Of New Orleans (Maison De Soul)
  • 1981年 Safe With Me (Paula)
  • 1986年 The New Rules (Rounder)
  • 1988年 The Way I Feel (Rounder)
  • 1991年 Live: Simply The Best (Rounder)
  • 1992年 True Believer (Rounder)
  • 1993年 Walk Around Heaven: New Orleans Gospel Soul (Rounder)
  • 1997年 The Story Of My Life (Rounder)
  • 1998年 Sing It! (Rounder) ※with Marcia Ball & Tracy Nelson
  • 2000年 My Heart's In Memphis: The Songs Of Dan Penn (Rounder)
  • 2006年 After The Rain (Rounder)
  • 2008年 Simply Grand (Decca/Rounder)
  • 2013年 For The Rest Of My Life / Forever Young (Swamp Island) ※シングル
  • 2014年 Full Time Woman (The Lost Cotillion Album) (Real Gone Music) ※71-72年録音の未発表アルバム
  • 2021年 Love Is The Foundation (Newvelle) ※LPレコードのみのリリース

編集盤 編集

  • 1987年 Breakaway (Stateside) ※インペリアル、ミニット時代
  • 1990年 Something Good: The Muscle Shoals Sessions (MCA-Chess) ※チェス音源
  • 1992年 Time Is on My Side: The Best Of Irma Thomas Volume 1 (EMI-USA) ※インペリアル、ミニット時代
  • 1996年 Sweet Soul Queen Of New Orleans: The Irma Thomas Collection (Razor & Tie) ※インペリアル、ミニット時代
  • 1996年 Ruler of Hearts (Charly) ※ミニット、バンディ、アイランド音源
  • 2001年 If You Want It, Come and Get It (Rounder) ※ラウンダー時代
  • 2005年 Straight From The Soul (Stateside) ※インペリアル、ミニット時代
  • 2006年 A Woman's Veiwpoint (Ace) ※ファンガス、キャニオン、RCSなど
  • 2009年 The Soul Queen of New Orleans: 50th Anniversary Celebration (Rounder) ※ラウンダー時代
  • 2011年 Soul Queen Of New Orleans (Charly) ※ロン、バンディ、ミニット、アイランド音源

ゲスト参加盤 編集

  • 1989年 Various Artists/New Orleans Jazz & Heritage Festival, 1976 (Rhino)
  • 1991年 Jimmy McCracklin/My Story (Bullseye Blues)
  • 1993年 B.B. King/Blues Summit (MCA)
  • 2000年 Various Artists/Rollin' into Memphis: Songs of John Hiatt (Telarc)
  • 2004年 Various Artists/Christmas Gumbo (Flambeau)
  • 2005年 Various Artists/I Believe To My Soul (Rhino)
  • 2005年 Various Artists/Our New Orleans (Elektra/Nonesuch)
  • 2006年 The New Orleans Social Club/Sing Me Back Home (Burgundy)
  • 2007年 Various Artists/Goin' Home: A Tribute to Fats Domino (Vanguard)

参考文献 編集

  1. ^ 「来日ブルースマン全記録1971-2002」(ブルース・インターアクションズ)

外部リンク 編集