イリチー

炒め物の沖縄料理

イリチーとは細かく切った素材にだし汁を加えて炒り付け沖縄料理。「炒り付け(イリチキ)」の転訛であり、イリチャーともいう。

主に豚肉の茹で汁を使用するが、素材によっては昆布や鰹のだしを使用したり、手軽に即席だしの素などで代用する場合もある。強火で短時間で炒めあげるチャンプルーと比べ、もともとは手のかかる料理として御馳走であった。

主なイリチー料理と材料 編集

クーブイリチー
代表的なイリチー。細く刻んだ昆布(クーブ)、三枚肉こんにゃくシイタケかまぼこなど
フーイリチー
溶き卵を吸わせた車麩ニラもやしなど
かんぴょうイリチー
かんぴょう、三枚肉、こんにゃく、シイタケなど
ウカライリチー
おから(ウカラ)、三枚肉、かまぼこ、にんじん、シイタケなど
スンシーイリチー
穂先メンマ(スンシー)、三枚肉、かまぼこ、シイタケなど
デークニイリチー
大根(デークニ)、三枚肉、かまぼこ、厚揚げ、シイタケなど
グンボーイリチー
ゴボウ(グンボー)、鶏肉などをあわせ味噌、かつおと昆布だしで炒め煮にする
せん切りイリチー
割干し大根、三枚肉、油揚げ、赤かまぼこなど

その他、豚の血(チー)を使用したチーイリチー、豚の内臓(ナカミ)を使用したナカミイリチー、マコモダケを使用したマクムイリチャーなど、多くの種類がある。

なお、にんじんを細く突いて鶏卵と共に炒りつけた料理は、イリチーではなく「にんじんシリシリー」と呼ばれる。

参考文献 編集

  • 尚 承、高良 菊『おいしい沖縄料理』柴田書店、1995年。ISBN 4-388-05752-5