インディアン座

日本からは全域を見る事ができない南天の星座

インディアン座 (インディアンざ、Indus) は、南天の星座の1つ。日本からは星座の全域を見る事はできない。

インディアン座
Indus
Indus
属格 Indi
略符 Ind
発音 英語発音: [ˈɪndəs]、属格 /ˈɪndaɪ/
象徴 the Indian
概略位置:赤経 21
概略位置:赤緯 −55
20時20分正中 10月7日
広さ 294平方度[1]49位
バイエル符号/
フラムスティード番号
を持つ恒星数
16
3.0等より明るい恒星数 0
最輝星 α Ind(3.11
メシエ天体 0
確定流星群 None[2]
隣接する星座 つる座
きょしちょう座
はちぶんぎ座
くじゃく座
ぼうえんきょう座
いて座(角で接する)
けんびきょう座
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主な天体 編集

恒星 編集

2022年4月の時点で、国際天文学連合が固有名を認証した恒星は1つもない。

  • α星:3.11等[3]。インディアン座で最も明るい恒星。中国の星図でインディアン座の領域が「波斯」とされたことに由来する「ペルシアン (Persian)」という名が知られる[4]
  • β星:3.65等[5]
  • ε星太陽系から11.867 光年と非常に近くにある恒星の1つ[6]

星団・星雲・銀河 編集

 
ハッブル宇宙望遠鏡が撮像した渦巻銀河NGC7038。

由来と歴史 編集

 
ウラノメトリア』に描かれたインディアン座(中央上)

ペーテル・ケイセルフレデリック・デ・ハウトマンが残した観測記録を元にペトルス・プランシウス1597年に作成した地球儀に残したものが最初である[7]ヨハン・バイエル1603年に発刊した『ウラノメトリア』でそれを引用したことにより世に知られるようになった。ケイセルたちは、16世紀末にマダガスカルからスマトラジャワにかけて航海しており、この間に接したアフリカ南部からマダガスカル、東インド諸島原住民をモデルにしたものと考えられている[7]

中国末期崇禎帝の時世の1631-1635年にかけてイエズス会士アダム・シャール(湯若望)が徐光啓らとともに編纂した天文書『崇禎暦書』では、この星座の領域にペルシアを意味する「波斯」という名前の星官が置かれた[8]

インディアン座は新しい星座であるため、神話や伝承は伝わっていない。

呼称と方言 編集

日本では、時代とともに呼称が改訂されている。明治期は「アメリカの蛮族」という意味の「米蕃(べいばん)」[9]という訳語が充てられていたが、日本天文学会の会誌『天文月報』1910年2月号から「印度人(インドじん)」と訳が改められた[10]。1952年7月、日本天文学会が「天文述語集」を刊行した際、星座名はひらがなまたはカタカナで表記することとされ[11]、同時にこの星座の名称は「インデアン」と改められた[12]。この頃、東亜天文学会系列の研究者の一部では「インデヤン」の表記が用いられた[13]。さらに、1974年に文部省から『学術用語集天文学編』が刊行された際に「インディアン」と表記が改められた[14]

出典 編集

  1. ^ 星座名・星座略符一覧(面積順)”. 国立天文台(NAOJ). 2023年1月1日閲覧。
  2. ^ Anonymous (2007年2月3日). “Meteor Showers”. American Meteor Society. 2008年5月7日閲覧。
  3. ^ "alp Ind". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022年11月4日閲覧
  4. ^ Kaler, James B.. “Persian”. STARS. 2022年11月4日閲覧。
  5. ^ "bet Ind". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022年11月4日閲覧
  6. ^ "eps Ind". SIMBAD. Centre de données astronomiques de Strasbourg. 2022年11月4日閲覧
  7. ^ a b Ridpath, Ian. “Star Tales - Indus”. Star Tales. 2014年1月28日閲覧。
  8. ^ 大崎正次『中国の星座の歴史』雄山閣出版、1987年、104-114頁。ISBN 978-4639006473 
  9. ^ 九月の天」『天文月報』第2巻第6号、1909年9月、12頁、ISSN 0374-2466 
  10. ^ 星座名」『天文月報』第2巻第11号、1910年2月、11頁、ISSN 0374-2466 
  11. ^ 『文部省学術用語集天文学編(増訂版)』(第1刷)日本学術振興会、1994年11月15日、316頁。ISBN 4-8181-9404-2 
  12. ^ 星座名」『天文月報』第45巻第10号、1952年10月、13頁、ISSN 0374-2466 
  13. ^ 原恵 2007, p. 44.
  14. ^ 原恵 2007, pp. 181–182.

参考文献 編集

座標:   21h 00m 00s, −55° 00′ 00″