ウィザードリィ

1981年のコンピュータゲーム

ウィザードリィ』(Wizardry)は、1981年米国サーテック社からApple IIソフトウェアとして発売された3DダンジョンRPGのシリーズである。

ウィザードリィ
ジャンル 3DダンジョンRPG
開発元 サーテック
発売元 サーテック
主な製作者 アンドリュー・グリーンバーグ
ロバート・ウッドヘッド
1作目 ウィザードリィ 狂王の試練場
(1981年9月)
最新作 Wizrogue: Labyrinth of Wizardry
(2017年2月24日)
スピンオフ作品 BUSIN Wizardry Alternative
Nemesis: The Wizardry Adventure
ウィザードリィ 囚われし魂の迷宮
Wizardry Online
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現在のロールプレイングゲーム(RPG)の発展に大きく影響したシリーズであり、特に初期作品はドラゴンクエストシリーズ[1]ファイナルファンタジーシリーズ[2]などのRPGに多大な影響を与えた。

サーテック社は2001年に発売された『ウィザードリィ8英語版』を最後に倒産し、以降はシリーズの版権を取得・ライセンス供与を受けた日本企業によるスピンオフ作品が発表され続けている。詳細は#版権元の変遷にて。

シリーズ作品 編集

サーテック社より発売されたオリジナルタイトルは1981年の『ウィザードリィ 狂王の試練場』から2001年の『ウィザードリィ8英語版』が存在する。

日本においては、上記をローカライズした作品のほか、1991年にアスキーより発売された『ウィザードリィ外伝』を始めとして、ウィザードリィのタイトルを冠するスピンオフ作品が現在に至るまで多数製作されている。

これらの作品は主に日本国内のみで販売されているが、『BUSIN Wizardry Alternative』『ウィザードリィ 囚われし魂の迷宮』『Wizardry Online』のように日本で開発・リリースされた後、欧米でもリリースされた作品も存在する。

ゲームの流れ 編集

主観視点で表現される迷宮を探索し、目的の達成とキャラクターの成長を楽しむことがプレイの目的となる。

戦士や盗賊、僧侶、魔法使いといった、異なる能力を持った最大6人のパーティを組み、3D表示された迷宮を探検するのが基本のスタイルである。なお、メンバーの前から3人までが前衛となり、敵との格闘戦を担当する。

迷宮では、遭遇する敵を倒しつつ攻略していく。敵を倒すと経験値であるE.P.と通貨であるG.P.が獲得できる。E.P.とG.P.は他の一般的なRPGとは異なり、パーティ全体に与えられるものではなく、生存メンバー毎への分配式であるため、E.P.は各メンバー毎に同じ数値が、G.P.は同じ額が参加メンバー1人ずつに与えられる。

また、敵を倒すと宝箱が出現することがあり、この宝箱は任意で開閉の有無が選択可能である。開けた場合は戦利品を獲得できることもあるが、宝箱には罠が仕掛けられていることが多い。宝箱の罠の解除は、#3では盗賊、忍者のみが可能であるが、解除に失敗する場合もある。なお、宝箱の罠の内容を調べるのは全メンバーが可能であるが、これには盗賊、忍者以外では正答率が相当に低く、また盗賊や忍者であっても当たり外れがあるため、実際に開けた場合の罠と異なることもある。盗賊は他の職業に比べて戦闘力に劣るが宝箱の罠を解除しなければ強力な装備は入手できないため、パーティの戦力が落ちるのを承知で盗賊を一人入れ、将来的に上位クラスの忍者にクラスチェンジするのが通常である。

耐久力(HP)や呪文の使用回数(マジックポイント、MP)が少なくなったら街へ戻り、宿屋に泊まって回復し、装備を整えて再び迷宮に入り、徐々に探索範囲を広げていく、という行程の繰り返しでゲームは進んでいく。

その間に、各キャラクターは経験を積んでレベルを上げることで成長していき、一度の攻撃で多くのダメージを与えられるようになったり強力な呪文をより多くの回数唱えられるようになっていく。また、戦利品から優れた武具を選び身に付けることでも戦力を強化できる。

ウィザードリィシリーズの初期の作品は、拠点となる街は文章で表示され、魔物や迷宮のグラフィックも現在のゲームと比べると簡素ではあった。しかし、迷宮とその内のあらゆる物がアスキー文字による疑似平面図で構成され示される『ローグ』と比べると、冒険者の視点で描かれた迷路は臨場感があった[注 1]PC98シリーズ版のパッケージには書き込み式のマップシートが同梱されており、プレイヤーは地図を自作するようになっていたが、後期の移植作品ではゲーム内で自動的にマップを生成できるようになった。

舞台設定 編集

世界設定やシナリオは、基本的に従来のテーブルトークRPGの流れを汲むが、ウィザードリィはさらに独自のネタを追加し、モンスターやアイテムに各地の神話、SF、黒澤明作品など日本の時代劇ネタ、幼児番組『セサミストリート』、童謡『マザー・グース』、駄洒落、果ては『空飛ぶモンティ・パイソン』の影響も散見される。後のドラゴンクエストもこれらに影響を受けている。

 
オリジナル英語版の「Blade Cusinart」の概略

しかしながら日本では上記のようなパロディはあまり注目されず、正統派ファンタジーとして受け入れられた。例えば、ゲーム中に登場する剣「“カシナートの剣(Blade Cusinart')”」(クイジナート社フードプロセッサーのパロディ)[注 2]が、日本では「名匠カシナートが鍛えた剣」として紹介されている。この「名匠カシナート」の設定はテーブルトークRPG版『ウィザードリィRPG』などに引き継がれている。

ファミコン版移植の際には、由来不明の魔物マイルフィック(Maelific)にパズスのような独自の解釈によるイラストが付けられている[注 3]ベニー松山によるノベライズ作品や石垣環によるコミカライズ作品も日本人が受容した正統派ファンタジーの設定を用いている。

ゲームシステム 編集

プレイヤーキャラクター 編集

ゲームを開始した直後、プレイヤーはまず冒険に参加するキャラクター(プレイヤーキャラクター)について、種族性格職業を選択することで作成する。シナリオ#1・#3、#5ではゲーム中で最大20人まで登録でき、うち最大6人までパーティに参加させ冒険することとなる。シナリオ#6以降では、6人のパーティメンバーのみ作成する。なお、#6以降では性別がデータに追加された。

レベル 編集

各キャラクターは戦闘で経験を積むことでレベルアップが可能である。レベルアップすると、力や素早さなどが向上する可能性があるほか(低下する場合もある。年齢が高いと低下しやすい)、耐久力(HP)の向上、攻撃回数の増加(直接攻撃を行う前衛の3人にとっては重要である)、呪文の修得、呪文使用回数の増加という面でキャラクターが強化される。このゲームにおいては、各種能力値ではなく、「レベル」の値そのものが非常に重要となっている[注 4]。なお、レベルアップに必要な経験値は職業によって大きく異なる。もっとも成長が早いのは盗賊であり、遅いのは忍者である。

レベルの上限は設定されておらず、無限に上げることができる。ただし、PCエンジン版I、II、III、Vはレベル1000でカウンターストップ。PS版「リルガミンサーガ」では上限が999に変更されている。

ヒットポイント(HP) 編集

キャラクターの打たれ強さ。レベルアップによる累積ではなく、レベルアップごとに乱数で算出されるため、非常に幅が広いのが特徴である[注 5]

アーマークラス(AC) 編集

防御力。値が小さいほど相手の攻撃成功率が下がる。防具を装備するか、一部呪文を受けることで変動する。忍者のみ、装備を付けない裸の状態でレベルによりアーマークラス(AC)が減少する。AC-10以下で「LO」と表示されるようになり、シャーマン戦車級の防御力があるとされる。AC-100以下で「VL」と表示されるようになる。レベル221以上の忍者を裸にするか、#4のラスボスであるホークウインド卿に遭遇するとVL表示を見ることができる[要出典]。ただし、近年の作品ではAC-20以下で「VL」と表示されるものもある。

能力値 編集

力(STRENGTH)
攻撃の命中率と、追加ダメージに影響する。各種武器は攻撃の命中率にボーナスを持つ場合がある。
知恵(I.Q)
魔術師系呪文の覚え漏らしを軽減する効果がある。そのほか、一部シリーズではこの能力が高いほど魔術師系呪文の効果が上昇する[注 6]
信仰心(PIETY)
僧侶系呪文の覚え漏らしを軽減する効果がある。一部シリーズではこの能力が高いほど僧侶系呪文の効果が上昇する[注 6]
生命力(VITALITY)
レベルアップ時のHP増加に寄与する[注 7]。その他、死体や灰からの復活にボーナスがある。極端に低下すると、老衰で死亡してしまう。
素早さ(AGILITY)
戦闘時の行動順決定にボーナスが付くほか、宝箱の罠を調べる際や解除する際に成功率が高くなる。
運(LUCK)
主に、モンスターによる各種の特殊攻撃への耐性、罠にかかった際の回避率に影響する。また、ステータス画面では参照されない、隠しパラメータとしての運も存在している。

種族 編集

5つの種族から選択する。種族によって能力値の基本値が定められており、職業の選択に大いに影響を与える。選択時制限は無いが変更はできない。他のファンタジー作品ではデミヒューマンは人間よりも長命であることが多いが、本シリーズにおいてはどの種族も同程度である。シナリオ#6以降はさらに6つの種族が追加されている。

#1 - #5の種族 編集

#6以降にも引き続き登場するが、能力の特徴が変更されている種族がある。

人間(human)
ヒトと同一の特徴をもつ種族。
総合的な能力値は五種族の中で最も低いが、能力値のほとんどが高いレベルで平均的。信仰心のみ低い。
マニュアルでは最もバランスの良い種族として説明されているが、信仰心の短所を持つ一方で明確な長所が存在せず、FC版#1を扱った『ウィザードリィ攻略の手引き』では(器用貧乏という意味で)逆に最もバランスの悪い種族と評された。
僧侶以外の職業であれば無難にこなせる。#6以降では信仰心もそれなりにある。
エルフ(elf)
美しい外見を持つ種族。
知恵があり信仰にあつい上に身軽だが、脆弱ぜいじゃくで運に欠ける。
魔術師や僧侶に高い適性があるが、戦士についての適性は低い。
ドワーフ(dwarf)
背丈は低いが、筋肉質の種族。
力や生命力に優れ、信仰心にも素晴らしい素質を持つが、鈍重で運が低い。
戦士・僧侶などに向いているが、盗賊の適性はない。
ノーム(gnome)
ドワーフとよく似た小さい種族。『Wizardry Online』ではヒツジヤギのような角がある。
能力値はバランスが良く、特に信仰に篤くて身軽。
僧侶に高い適性を示すが、他の職種もほぼ問題なくこなせる。
FC版#1を扱った『ウィザードリィ攻略の手引き』では、もっともバランスの良い種族と評された。
ホビット(hobbit)
#5までに登場した中では一番小さな種族。
総合的な能力値は5種族の中で最も高いが、脆弱で非力。その反面非常に身軽で高い幸運と、振り分けがかなり偏っている。
盗賊には高い適性を示すが、それ以外の職業の適性は低い。
#6以降に追加された種族 編集
フェアリー(faerie)
羽を生やしたホビットより小さな種族。
知恵があり身軽だが、脆弱で武具の装備についての制約が多い。
リザードマン(lizardman)
トカゲが二足歩行したような種族。
ドワーフ以上に強靭きょうじんな肉体を持つが、知力や信仰心に劣る。
この種族の登場によって人間は初めて基本特性値の合計がワーストの種族でなくなった[注 8]
戦士としての適正は高いが、ほとんどの上級職はバランスよく高い能力を求められる(Wizardryにおける上級職とは、下級職を特化させたものではなく、忍者=打撃もできる盗賊、侍=魔法も使える戦士のように、下級職の複合型として表現される)ため、こうした特化型種族はやや使いにくい傾向がある。
ドラコン(dracon)
ドラゴンが小型化して二足歩行したような種族。ドラゴンと人間のハーフとされる。
スタミナを消費して、酸性のブレスを敵に吹き付ける能力を持つ。
『外伝III』では敵味方含めてドラコンに「逃げる」というコマンドが存在しない。
フェルプール(felpurr)
フェルパーとも。ネコが二足歩行したような種族。
知恵が高く身軽である。
ラウルフ(rawulf)
イヌが擬人化したような種族。
信仰に篤く生命力に優れる。
ムーク(mook)
宇宙から来たとも言われる、全身体毛だらけの正体不明の種族。
強靭で知恵にも優れ、超能力者に向く。信仰心は低い。

性格 (alignment) 編集

(good)・中立 (neutral)・ (evil) の3種類から1つを選択する[4]

  • 性格によって、就くことのできる職業や装備できる品に制限が掛けられている。
  • 善と悪のキャラクターが同じパーティに参加することはできない[4]。ただし迷宮内で合流することは可能であり、この方法で善悪混合のパーティを組成することは可能である。
  • 善と悪のキャラクターは冒険中に時折出会う「友好的な魔物(達)」への対応によっては善悪が逆転する場合がある。中立のキャラクターは変化しない。
  • シナリオ#1においては、「杖をついた老婆が車の通行量の多い横断歩道を渡ろうとするときにどうするか?」という命題に対する行動指針として解説があった。
  • シナリオ#3は善のキャラクターが入れない場所、悪のキャラクターが入れない場所があるため、善のパーティと悪のパーティが協力しなければクリアできない。
  • シナリオ#6からは廃止された。
友好的な者に出会ったら、これに戦いを挑んではならない。戦いを挑んだ場合、性格が悪へ転じる可能性がある。
キャラクター新規作成時に盗賊と忍者にはなれないが、悪の盗賊・忍者が善に転じた場合は善の盗賊・忍者となる。
進んで老婆の手を引いて渡るのを手伝うタイプ。
中立
友好的な者に対しては、その時の状況次第で対応を変えても問題はない。
キャラクター新規作成時に僧侶・司教・君主・忍者の職業には就けない。したがって回復系などの僧侶系魔法を使える職業には就けない。
通常の手段では性格が変化しない。
中立属性だけのパーティでプレイするのは、通常では回復系魔法の使い手が作れないため迷宮探索に難があるが、#2のみ、変化の指輪(METAMORPH RING)もしくは、力のコイン(COINPOWER)を用いれば回復系魔法の使い手がいる中立属性だけのパーティを作ることができるため、中立属性のみでのパーティ構成で迷宮探索が可能である。
気分によって(あるいは自分と同じ方向なら)老婆の手を引いて渡るのを手伝うこともあるタイプ。
相手が友好的であろうとも、魔物に対しては容赦なく戦いを挑まなければならない。見逃した場合、性格が善へ転じる可能性がある。
キャラクター新規作成時に君主と侍にはなれないが、善の君主・侍が悪に転じた場合は悪の君主・侍となる。
基本的には老婆を手伝うことはないが、お礼がもらえそうだったり、魅力的な孫娘がいっしょにいる場合には、老婆の手を引いて渡るのを手伝うこともあるタイプ。
なお、シナリオ#1の敵であるワードナについては、老婆の手を引いて渡り始めるが途中で手を放し料金を要求すると説明されていた。

職業 編集

キャラクターの特徴を決定付ける要素で、シナリオ#1 - #3と#5では8つの職業(クラス)がある。初期段階では制限によって選択できないものがあるが、別の職業で成長して条件を満たすことで転職できる。シナリオ#5までの職業は能力値の他、性格によっても選択できなくなる可能性があるが、職に就いたあとで性格が変わる可能性はある。例えば、性格が悪の者は能力値が条件を満たしていても侍にはなれないが、性格が善の侍が悪の性格に転じることはある。

シナリオ#6以降は、さらに6つの職業が追加されている。

#1 - #5の職業 編集

#6以降にも引き続き登場するが、一部の職業は特徴が変更されている。

戦士(Fighter)
武器や防具の扱いに長け、攻撃力と耐久力に優れる。
前衛に立って敵の攻撃を食い止め、近接攻撃[注 9]にて確実にダメージを積み上げていく役割を担う。
どの性格でも選択できる。
魔術師(Mage、「リルガミンサーガ」では魔術師、ファミコン版では魔法使い)
広範囲の敵に影響をもたらす呪文や、位置・移動に関する呪文を修得する。
耐久力は低く、武具・防具はほとんど装備できない。
序盤は主にパーティの現在位置を知る呪文や、前衛の攻撃を補助する呪文を使うことになる。
中盤は敵集団にダメージを与える呪文を習得し攻撃の中核となる。
終盤になると魔法を高い割合で無力化する強力な敵が増えだすため、露払いと瞬間移動が役割となる。
どの性格でも選択できる。
僧侶(Priest)
パーティの傷病を癒し、能力を一時的に上げる「祈りの呪文」を行使する。
メンバーのHPを維持できるため、探索の期間を延ばす役割を担う。
魔封じなど敵の行動を封じる呪文や照明[注 10]・識別など情報の可視化に関わる呪文も得意とする。アンデッドの呪いを解く「ディスペル」もできる。
耐久力は高いが戦闘能力は低く、武具・防具の装備にやや制限がある。
後衛向きだが、前衛での戦闘も不可能ではない。
善か悪の性格でなければ選択できない。
盗賊、シーフ(Thief、8ではRogue)
敵が残した宝箱 (chest)に仕掛けられた罠を見破り、解除する技術を持つ。
近接攻撃しかできない[注 11]が、装備の制限が大きいため戦闘能力や耐久力が低く、HPも低いので、基本的に前衛には向かない。
中立か悪の性格でなければ選択できない。
レベル上昇に必要な経験値が全職業中で最も少なく、早く成長するので、結果的に前衛となる場合もある。
ビショップ、司教(Bishop、Apple II版#1の初期版ではSage〈賢者〉)
魔術師と僧侶の二系統の呪文を扱う上級職(8ではさらに錬金術と霊能術も習得可能)。ただし、魔術師や僧侶といった専門の職業に比べ呪文を修得するスピードが遅い。ディスペルもできる。
正体不明の戦利品を無料で鑑定できるが、失敗して不利益を被ることもある。
装備の制限が僧侶より厳しく、戦闘能力も耐久力も前衛には向かない。
善か悪の性格でなければ選択できない。
侍(Samurai、Apple II版#1の初期版ではranger〈野伏〉)
戦士と同等の戦闘能力を持ち、魔術師の呪文も扱える上級職。
能力値による条件が厳しいが、(ボーナスポイント次第では)戦士系上級職の中では唯一最初から選択可能。
戦士とほぼ同じ装備ができるため、戦闘能力や耐久力は高いが、高レベルとなるにしたがって戦士に比べHPで見劣りするようになる。
善か中立の性格でなければ選択できない。
また、ほとんどのシリーズを通して最強の武器「村正[注 12]を装備できる。#6以降ではキリジュツ(クリティカルヒット)も取得する。
君主(Lord)
戦士と同等の戦闘能力を持ち、僧侶の祈祷呪文を扱う上級職。ただし、僧侶に比べ高度な呪文を修得するスピードは遅い。
能力値による条件が厳しいので、初期段階ではこの職業を選択できない(シナリオ・機種によって例外あり)。
戦士とほぼ同じ装備ができるため、戦闘能力や耐久力は高い。
善のみ選択できる。
また、ほとんどのシリーズを通して最強の防具「聖なる鎧(君主の聖衣)[注 13]を装備できる。
忍者(Ninja)
戦士と同等の戦闘能力と、盗賊の罠解除技術を併せ持つ(#6以降は錬金術も修得する)上級職。ただし、罠の解除技術は盗賊より劣る。
能力値による条件が厳しいので、初期段階ではこの職業を選択できない(シナリオ・機種によって例外あり)。
戦士とほぼ同じ装備ができるため、戦闘能力や耐久力は高いが、HPは低い。
非常に特殊な職業で、攻撃時に敵を一撃で倒すクリティカルヒットが発動することがあり、何も装備していない時にACがレベルの上昇に応じて低くなる。一方、たとえリング1個でも装備するとそういった恩恵は一切受けられない(#6以降は武器や防具などを装備していてもACは下がる)。
FC版などの比較的古い版においては何も装備していないほうが強かったため、何も装備しない状態(全裸)にするプレイヤーも多く、フリークの間で「全裸の忍者」は定番のネタとされていた。
悪のみ選択することができる。
#6以降追加された職業 編集
錬金術師(Alchemist)
英名のままアルケミストとも。攻撃や治癒など、さまざまな効果を持つ錬金術を操る。
瞬間的な威力に長ける魔術師と違い、威力は控えめだが長時間有効であったり、広範囲にステータス異常を引き起こす術がそろっている。また、沈黙状態でも術が使える。
耐久力や武具の装備技術は、魔術師並に低い。
「外伝III」「外伝IV」ではどの性格でも選択できる。
超能力者(Psionic)
サイオニックとも。自身の感知能力を上げたり、敵や交渉相手の精神に影響を与える霊能術を操る。
魔術師が高威力の攻撃呪文を多く習得するのに対して、こちらは迷宮探索に役立つ呪文や、NPCとの交渉を円滑に進める呪文を多く習得する。精神系の攻撃魔法も取得する。
肉体能力や武具の装備制限は、魔術師並に低い。
「外伝IV」ではどの性格でも選択できる。
レンジャー(Ranger)
野伏。弓矢による戦闘に長け、盗賊の解除技術や探索、錬金術を修得する。
耐久力や武具の装備制限は、中級程度である。
「外伝III」「外伝IV」では善か中立の性格でなければ選択できない。
吟遊詩人(Bard)
バードとも。呪文と同じ効果を秘めた楽器を演奏できる。
盗賊の解除技術や、魔術師呪文を修得する。
耐久力や武具の装備制限は、盗賊と同程度である。
「外伝III」「外伝IV」では悪か中立の性格でなければ選択できない。
ヴァルキリー(Valkyrie)
君主とほぼ同等の能力を有し、槍の扱いに長ける。 一方で、能力値による就職条件は、君主よりも緩く、成長も早い。
女性のみ就くことができる。
「外伝III」「外伝IV」では中立のみ選択できる。
モンク(Monk)
修道僧。格闘能力に長け、霊能術を修得する。
武器や防具をほとんど装備できないが、素手での戦闘が得意で、忍者と同じく成長することで徐々に防御能力が向上するので、十分に前衛を務めることができる。後衛からの棒術も得意。
クリティカルヒットも取得する。
「外伝IV」では善のみ選択できる。
ガジェッティアー(Gadgeteer)
シナリオ#8で追加された職業。
エンジニアリングのエキスパートで、さまざまな機械を組み立てて使うことができる。
銃器の扱いにも長けている。

転職 編集

能力値が各職業の条件を満たしたキャラクターは転職が可能である。転職後はレベル1となり、それまでに得た耐久力(HP)と修得した呪文は引き継がれるが、5歳程度老化し、能力値は各種族の基本値まで低下し、呪文使用回数も最低限まで低下してしまう。なお、一部の機種・シナリオにおいては、アイテムを使用してレベルや能力値などをそのままに転職を行うことが可能である。

呪文 編集

シナリオ#1 - #5では、魔術師呪文と僧侶呪文の二系統に分類される。それぞれが第1 - 第7段階に分けられ、段階ごとに数個ずつの呪文が属している。キャラクターのレベルが上がるにつれて、新しい呪文を習得し、MPが増える。MPはその段階ごとに設定されており、呪文を行使するごとにMPを消費する[注 14]。僧侶と魔術師は最短でレベル13に達した時点で全ての呪文を修得するが、司教、侍、君主の場合はより高いレベルが必要とされる[注 15]。PC版のシナリオ#2ではマロールが、シナリオ#5ではソコルディかバモルディが攻略上必須となる。

シナリオ#6以降では呪文のシステムが一新された。火水風土心聖の6領域に大きく分類され、それぞれの呪文は6領域のうちのどれか一つに属する。どの呪文を習得できるかは、魔術師系統、僧侶系統、錬金術系統、霊能力系統の4系統によって異なっており、現在就いている職業によってどの系統の呪文を習得できるかが決まる。呪文によっては複数の系統で習得できるものもある。高度な呪文は、レベルやそれぞれの系統のスキル値を上げないと習得できない。

MPは6つの領域ごとに設定されており、呪文によって定められたポイントを消費する。レベルが上がれば最大6倍まで一度にMPを消費して効果を上げることができる。ただし、「発声」のスキルが低いと呪文が逆流(バックファイアー)してパーティがダメージを受けることがある。

呪文の名称は、シナリオ#1 - #5ではアルファベットを組み合わせた独特のもの(竹内誠の小説・原作漫画では真言葉(トゥルー・ワード)という魔法単語の組み合わせ)、シナリオ#6以降ではその効果を表す英単語・熟語がそのまま呪文の名称となっている。

転送 編集

1つのシナリオで成長させたキャラクターは、別のシナリオに転送して使用することができる。転送した場合に持ち越せるもの(能力値やアイテムなど)はシナリオや機種などにより異なる。

キャラクターの転送にはフロッピーディスクターボファイルメモリーカードなどの外部記憶装置やパスワード方式が用いられる。また、複数のシナリオを収録しているタイトル(「リルガミンサーガ」など)ではシナリオ間でのキャラクター転送をサポートしているものもある。

シナリオ#6→#7→#8のキャラクターの転送では、プレイヤーの迎えたエンディングによって次のシナリオでのゲーム開始状況が異なるマルチビギニング方式を採用している。

編集

シナリオ#1 - #3、#5では、街にある各施設を利用することで、冒険によって失われた体力や魔力を回復して体勢を立て直すことができる。そして迷宮と街との往復を繰り返しながら、探索を進めることとなる。

シナリオ#2および#3、#5は「リルガミン」と明示されているが、#1、#4については単に「トレボーの城」とだけ書かれており、両者が同じ街かどうかは不明。

シナリオ#6以降には、このような「拠点としての街」は登場しない。

なお原作者ロバート・ウッドヘッドによれば、「ギルガメッシュ」「ボルタック」「カント」などは、彼とアンドリュー・グリーンバーグがTRPGをプレイしていた時のキャラクターの名前からとられているとのこと。

ギルガメッシュの酒場(Gilgamesh's Tavern)
訓練場で作成したキャラクターから、実際に冒険に参加するメンバーを選択してパーティを編成する[4]
「死亡」「石化」などの状態異常のキャラクターはカント寺院(後述)に運ばれることになっているが、パーティーとして連れて行くならばここで行う。これら行動不能の状態のキャラクターのみでパーティーを組むことも可能だが、ダンジョンに入ると直ちに全滅となる。
ボルタック商店(Boltac's Trading Post)
武器や防具などの装備品、薬や巻物の売買、正体不明の戦利品の鑑定及び、呪われた装備品の解除も、有料で行う。
ゲーム開始時には、基本的なアイテムのみ販売している。シリーズによっては少しいい武具も販売しているが、初期の段階では高価で手が出せない場合が多い。
プレイヤーが売ったアイテムがその数だけ店頭に並ぶため、次第に品ぞろえが充実していく。そのため、アイテムの保管所としての役割も果たすことになる。ただし、iアプリ版、GBC版を除いて呪いのアイテムは並ばない。また、売り値がつかないアイテムは売却できない(売り値0Gのアイテムは売れない)。
アイテムの鑑定・解呪は売価と同額であり、正体不明の戦利品を鑑定して売却した場合、プレーヤーに利益はない。さらに売ったアイテムは売価の2倍の価格で店頭に並ぶ。そのため、日本人ユーザーの間では「ボッタクル商店」とも呼ばれる。ただし鑑定額である程度アイテムの正体を予測することができる。
冒険者の宿(Adventurer's Inn)
減少したHPやMPを回復する[4]
経験値が基準を上回っていた場合にはレベルが上昇する。
ただし、能力値が上昇するとは限らず、減少することもある。キャラクターが高齢の場合は能力値が減少する確率が高くなる。
一度の宿泊で上がるレベルは、2レベル分以上の経験値が溜まっていた場合でも1レベル分のみなので、必要回数だけ宿泊しなければならない。
値段が高い部屋ほどHPの回復量が多いが、MPの回復量とレベルアップは、どの部屋でも同じである。
宿泊をすると加齢されていき、成長率が徐々に下がってしまう[注 16]。あまりに高齢だと、レベルアップ時に老衰で死ぬ(このゲームでは消失扱い)場合がある。加齢するのは宿泊したキャラクターのみで、他のキャラクターの時間が進むことはない。従って、攻略本などでは「僧侶のみを馬小屋に泊めてMP回復させ、迷宮に戻り入り口付近で他のメンバーのHPを僧侶呪文で回復させて、再び僧侶を馬小屋に泊める」という方法が紹介されている。
iアプリ版では省略されており、城に戻るとステータス異常がない限り自動的にMP・HPは最高値まで回復し、レベルアップのチェックも行われる。
カント寺院(Temple of Cant)
死亡(および灰化)したキャラクターの蘇生[4]や、ステータス異常(麻痺、石化など)の治療を行う。
キャラクターのレベルが高いほど、治療にかかる値段(寄付金)が高い。
蘇生は失敗の可能性があるが、失敗した場合でも返金はされない。
お金が不足した状態で治療しようとすると、「けちな不信心者(もしくは背教者)め!」と言われて追い出される。
英単語「cant」には「(宗教的に)上っ面だけで偽善的な言葉」という意味がある。
街外れ(Edge of Town)
城の出口。迷宮に入る、城に戻る以外を選択するとパーティは解散となる。
訓練場(Training)
プレイヤーキャラクターの新規作成や削除、名前の変更、並びに転職を行う。
迷宮の入り口(Maze)
酒場でパーティを編成した後、ここに来ることで迷宮の探索が開始できる。
ユーティリティ(Utilities)
迷宮内で探索を中断したパーティの再開、他シナリオへの転送を行う。
ゲームの終了(Leave Game)
PC版ではオートセーブを採用しているため、この処置をしてから電源を切る必要がある。

迷宮 編集

シナリオ#1 - #4では、1つの階層は20マス×20マスの正方形で構成されている(#5以降は不定形。また、#4ではマップが俯瞰図ではなく横からみた図(つまり、他の階層では南北で表される位相が上下になっている)になっている階層もある)。

壁や扉は、マスとマスの間を仕切っている。

マップの端(北と南、西と東)は、つながっていることがある。

パーティは一度に東西南北のいずれか一方向、初期状態では1マス先までしか見られない。一度に狭い範囲の状況しか見られないので、方向を変えてフロアを歩き回りながら、プレイヤーは方眼紙とペンを用意して独自に地図を作成する必要に迫られる。据え置き機や携帯機では、オートマッピング機能がついている作品もある。

ある特定のマスには、以下のようなものが設置されている。壁や扉にも、「一方通行」や「見えない扉」などの仕掛けがある。

階段や縄梯子
上や下の階層へ移動する。街への出口も階段である。
回転床
そのマスに足を踏み入れると、パーティの向き(方角)が変わってしまう。キャンプを閉じるたびに起動するので、呪文などで方角を確認しても無意味である。
瞬間転移
物理的に離れた、特定のマスへ瞬間移動する。一方通行であり転移の表示が出ない[注 17]ので、地図作成を困難にし、探索計画を狂わせる。
落とし穴など
キャラクターにダメージを与える罠である。宝箱の罠とは違い、盗賊がいても無効化できない(#5など、魔法使いの呪文で回避できる場合もある)。キャンプを閉じるたびに起動する。
ダークゾーン
闇によって、周囲の壁や扉、次のマスが全く見えないマス。照明の呪文でも闇を照らせないどころか、照明そのものまでかき消されてしまう。
イベント地点
雰囲気を出す何らかのメッセージの表示、キーアイテム、あるいはそれを守る固定モンスターとの戦闘、キーアイテムを所持していないパーティを追い返す関所などが待ち受けている。見た目だけで落とし穴などが仕掛けられているダミーのイベント地点も存在する。
岩のマス
マスが丸々岩や土砂で埋まっている。基本的に壁で区切られているため直接侵入は不可能だが、ここに呪文や宝箱の罠によってテレポートすると、キャラクターが消滅(ロスト)する。一部機種では「全滅」に変更されている。
シュート(shute)
落とし穴に似ているが、落ちてもダメージを受けず、下の階層(場合により上の階層)に移動する(#4では、瞬間転移と同じ機能を持つ)。
呪文封じ
そのマスに足を踏み入れると、一切の呪文が使えなくなる。効果はその階から出るまで続く。
玄室
一見何も無いフロアに見えるがモンスターの群れが住み着いており、踏み込むと必ずモンスターが出現する。一度モンスター達を倒すと階層を変えない限りは補充されない。玄室のモンスター以外は宝箱を落とさないため、あえて玄室に向かわなければいくら探索してもアイテムを得られず、パーティの装備を強化できない。

モンスター 編集

迷宮探検を行うパーティに立ち塞がる主な障害として、戦闘を仕掛けてくるモンスターが挙げられる。彼らとの戦いをいかにうまく切り抜けて効率良く探索できるかがプレイヤーの腕の見せ所である。『AD&D』に倣い、ドラゴンマンティコアスライムなどの神話や想像上の生き物から、カピバラコヨーテなどの実在の動物までさまざまなモンスターが存在する。また、プレイヤーキャラクターと同じ戦士や魔術師などの人間達も襲い掛かってくる。以下に「本家」に登場するものから過半数である4作品以上に登場したものを紹介する。

マーフィーズゴースト
シナリオ#1、#2、#4、#5に登場する。シナリオ#1では第1層のある地点に固定出現する。何度でも戦うことができ、攻撃力が低いので低レベルキャラクターでも勝利して経験値をそこそこもらえるモンスターである。モデルとなった人物は、原作者の一人アンドリュー・グリーンバーグの級友Paul Murphyで、グリーンバーグの作成したゲームのテストを務めていた。#1や#2の最下層では、冷気ブレスや毒、石化、クリティカルヒット攻撃を持つ強敵フラックとともに複数体が同時に登場する。なおフラックは、Apple II版ではスライムのイラストが付加されているが、ファミコン版で末弥純によって緑色のピエロ服を着た怪人として描かれている。
グレーターデーモン
シナリオ#3を除く多数のシナリオに登場。悪魔の中でもトップクラスの能力を持ち、集団で出現することが多いうえに仲間を次々と呼び寄せるという特徴があり、強力な攻撃呪文と高い呪文無効化能力も持っているため、高レベルのパーティでも全滅させられることがある。ただしシナリオ#1では呪文を封じ込めて使用不能にすると、呼び出された仲間も最初から呪文が封じられた状態となる[注 18]ため、仲間を呼び寄せる性質を利用して「養殖」し、倒し続けることで莫大な経験値を得られる。
ポイズンジャイアント
シナリオ#1、#4、#6に登場。迷宮に登場する巨人族の中でも最強クラスの能力を持ち、強力な毒ガスのブレスによる攻撃を行う。このモンスターに奇襲されると高レベルのパーティでも全滅してしまう可能性がある。大半のシリーズではマカニトで全滅させることができるが、国内PC版及びリルガミンサーガではマカニトは呪文無効化率(95%)の影響を受けるので非常に効きにくい。なお、シナリオ#2に登場するジャイアントゾンビはポイズンジャイアントのゾンビとされている。
バンパイア
シナリオ#1、#2、#4、#5に登場する強力なモンスター。冒険者の血を吸い取り経験値とレベルを低下させるエナジードレイン能力を持つ。一度エナジードレインを受けると倒しても失ったレベルを取り戻すことはできず、再度経験値を貯め直さなくてはならない。シナリオ#1や#2、#4では上位種のバンパイアロードも登場する。シナリオ#4のプロローグによればバンパイアロードはワードナに招かれた客分とのことである。
忍者
シナリオ#1、#2、#3、#4、#6などに登場するモンスター、およびその系統。即死攻撃を行う。即死攻撃はあくまで通常攻撃の追加効果のため、魔法が唱えられない状況下でも即死攻撃を行う。比較的浅めの階層から複数体で出現し、HPの多寡に関係なくパーティメンバーを即死させていく。深い階層に出現する上位種はハイマスターマスターニンジャハイニンジャといった名が付くことが多い。
シナリオ#1、#3、#4、#5、#6、#7などに登場するモンスター、およびその系統。出現階層にしては比較的低いレベルの魔術師呪文を唱える戦士。取り立てて優れた技能はない代わり、集団で出現することが多い。#2では最上位種としてミフネが登場し、他に侍系統が出現しないFC版以降のIIIなどでも登場している。また、#1、#5の最上位種はハタモトである。
なお、シナリオ#1、#2、#4などにはダイミョウの名を冠するモンスターが登場するが、通常攻撃のみ・集団で出現・侍系統とは同時に出現しない等、侍系統とは全く無関係なモンスターである。その反面、#6の侍系統の最上位種はロード・ダイミョーとなっている。

死・ロスト 編集

本作品ではプレイヤーキャラクターが死んだ場合、「ロスト」(lost)と呼ばれる、復活できない状況が生じることがある。

HPが0になった状態は「死亡」(dead)である。モンスターの攻撃や罠などでヒットポイントがゼロになるほか、クリティカルヒット攻撃を受けたり、宝箱の罠が発動したりして、残りHPに関係なく死亡する場合もある。

キャラクターが死亡した場合は寺院や呪文で蘇生させることができるが、失敗する場合もあり、死亡からの蘇生に失敗すると「灰」(ashed)状態になる。灰からの蘇生も可能だが、死亡からの蘇生に比べ、寺院の場合は高額の費用が、呪文の場合は高レベルの呪文が必要となる。灰からの蘇生にも失敗すると「ロスト」(lost)となり、そのキャラクターはデータを抹消されて完全に消滅し、蘇生させることはできなくなる。

データが抹消されるタイミングはさまざまである。寺院で灰からの蘇生に失敗した場合は即座に埋葬され、そのキャラクターのデータは消滅する。迷宮内ではシナリオにより、蘇生に失敗した時点で即座に消滅するものや、メンバーから離れたり城に戻ったりした時点で消滅するものがある。シナリオによっては泉の奇跡などによりロストから蘇生するケースもある。シナリオ#2では、一部アイテムのスペシャルパワーを使うと即座に死亡するが、ロストした状態のキャラクターに使った場合でも「死亡」となるため、ロストから復活することも可能である。

また、全滅した場合にキャラクターがロストすることがある。本作品では迷宮内でパーティが全滅した場合、パーティーメンバーの死体はその場所に取り残されることになり、その者たちを復帰させるためには、生きている者がその場所へ行き、死体を回収して蘇生させなければならない。その際に、一部のメンバーがロストし回収できないこともあるほか、回収した場合でも、そのメンバーの所持品が奪われてなくなっていることもある。死体を回収するときには回収のための空きメンバーを作らなければならないため、少ない人数で行く必要があり、道中の戦闘がより困難となる。

そのほかのロストの要因として、レベルアップなどで生命力のパラメータが極端に低くなった場合や、エナジードレイン攻撃によってキャラクターがレベル0以下になった場合がある。ほかに、主に宝箱の罠「テレポータ」に引っ掛かった場合、岩のマスにテレポートで飛ばされることがあり、このときは「石の中にいる!」(ローカス版では「壁の中に入ってしまった!」)と表示されてロストとなる。ただし機種によっては、このときはロストせず、全員が死亡して城に送還されるものもある。シナリオ#2では、スペシャルパワーを開放するとロストになってしまうアイテムが複数存在する。シナリオ#3では、そこに到達する直前に何度も警告はされるものの、普通に歩いていける場所に全員強制ロストとなるトラップがある。

特殊な例だが、PCエンジン版Wizardry5は原作および他の移植作の5と大きく異なる点が非常に多く、本来味方専用である魔法を敵が詠唱してくる(敵は全ての魔法を詠唱できる)。その中で「悪魔にのみ効果がある」魔法がヒューマノイドのプレイヤーに効果があり、効果は「即ロスト」である。Wizardry5は城に帰った時点で「ロストとなったキャラが消える」という仕様が多く、さまざまな裏技でロストからの蘇生が可能なバージョンが多いが、PCエンジン版は戦闘中に即抹消されるため、他の一部バージョンで存在している「スペシャルパワーや水泳でロストから復活」との裏技が全く使えないため、簡単にロストになってしまうこともある(基本的に蘇生を全てカント寺院に任せておけばロストに遭遇する頻度はPCエンジン版Wizardry5以外では少ない)。

シナリオ#6以降では、このロストの要素はなくなった[注 19]。ただしシナリオの特性上、恒常的にキャラクターの蘇生を行う施設がなく、補充メンバーを入れることもできないため、蘇生手段を持ち合わせていない場合、メンバーが欠けたままゲームを進めなければならない。

開発 編集

メインデザイナーはロバート・ウッドヘッド(Robert Woodhead)とアンドリュー・グリーンバーグ(Andrew C. Greenberg)である。当時、コーネル大学の学生だった2人がそれぞれ作成していた『パラディン』『ダンジョンオブディスペア』というゲームを互いに評価し、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(D&D)に代表されるRPGを、大学でのコンピュータ支援教育に用いられていたメインフレームよりも規模の小さな個人向けのパソコンで再現するため製作したものが、本作のシナリオ#1である。

そのため、行動の成功判定処理、アイテムやモンスターの名称、データ数値などに、『アドバンスト・ダンジョンズ&ドラゴンズ』(AD&D)の影響が色濃く見受けられる[注 20]。また、ウッドヘッドが在校当時に熱狂したPLATOのコンピュータゲーム群、特に『Oubliette』の影響も大きい[5]。ウィザードリィの初期作品はD&Dが高い人気を誇った時期に発売され、D&Dタイプでありながら豊富な映像表現を実現した最初のゲームとして成功した。

なお、シナリオ#1「狂王の試練場」の狂王トレボー(Trebor)と邪悪な魔術師ワードナ(Werdna)の名は、彼ら2人の名前を逆につづったものである。

Apple IIでは、Apple Pascal(UCSD Pascal)で開発されている。

シナリオ#5以降はデヴィッド・W・ブラッドリー英語版がシリーズを引き継いだ。

日本語版ローカライズ 編集

1985年にPC版を、株式会社フォア・チューンが移植し、アスキー[4]が販売している。

1987年にゲームスタジオファミリーコンピュータ(FC)への移植の実作業を行ったが、Pascalの動作しないFCへの移植についてウッドヘッドは難色を示していた。しかし、遠藤雅伸率いるゲームスタジオのプログラマは、この問題をクリアした。FC版ではBGMの作曲に羽田健太郎、登場モンスターのデザインや広告イラストに末弥純を起用している。

一方、1998年発売のプレイステーション(PS)版とWindows版の移植は、ローカスが行った。シナリオ#1 - 3を「リルガミンサーガ」、シナリオ#4・5を「ニューエイジオブリルガミン」として1本にまとめている。こちらも羽田健太郎がFC版とは異なる楽曲を、末弥純はFC版とほぼ同じイラストを提供している。なお、「リルガミンサーガ」Windows版は後年の移植で唯一、Macintosh版のUIに近い作りとなっている。

バンダイワンダースワン用に移植するが(実際の移植作業は株式会社スティングが担当)1作のみで打ち切った。

版権元の変遷 編集

サーテック社倒産後の本シリーズの版権は、2006年11月27日アエリアの版権管理会社「アエリアIPM」(現:IPM、ゲームポット子会社)が『ウィザードリィ6』以降のシリーズのすべての権利と全世界における商標権をサーテック・カナダなどから取得していたが[6][7]、この権利はGMOインターネットによるゲームポット子会社化(2013年)・GMOゲームポットの本社への吸収合併(2017年)を経てGMOインターネットに移行。2020年10月29日にドリコムがGMOインターネットより権利を取得。新規タイトルを開発中であることを発表した[8][9]

『5』以前のいわゆる「クラシック」タイトルの権利については、サーテック社と原作者の一人、アンドリュー・グリーンバーグとの間で2000年代から2012年ごろまで版権を巡る法廷闘争が発生していた[10]。この影響で『Wizardry(ウィザードリィ)』の名を冠する新作をリリースしても、クラシックタイトルに登場した「トレボー」・「ワードナ」・「リルガミン」といった固有名詞、呪文名は登場せず、長らく現行機種でクラシックタイトルが発売されていなかったが、2023年にデジタルエクリプス英語版から『1』のリメイク版が発売されることが発表された[11]

評価 編集

ウィザードリィのオリジナル版は、ゲーム雑誌『ソフトーク』の売上調査によれば、発売9ヶ月の1982年6月には24,000本を売り上げて成功した[12]。1983年6月の『Electronic Games』誌には、「疑うまでも無く、ウィザードリィは現在最もappleIIで人気のあるファンタジー冒険ゲームである」と書かれた[13]

1980年代、ウィザードリィは、ロビン・ウィリアムズ、ハリー・アンダーソン(en:Harry Anderson)およびバーレーンの皇太子のような 著名人を含んだファンを楽しませた。特に後者は、個人的にサーテック社と同等の立場で話をした[14]

1996年発行の「Net Generation」では上位60番のゲームとしてランクされた[15]

押井守は「『設定だけで全部が成立していて、物語は自前で作る』という画期的なスタイルに感動して、丸1年毎日やっていた時期もあった」「ゲームの歴史の中でも別格的な存在だと思いますよ。あれ以降のゲームは全部『ビジュアルや音声等余計なものを増やしただけだ』と感じたくらい」「このゲームに出逢ったことは、僕がデジタルを用いた表現にハマる伏線にもなりました」と絶賛している[16]

1986年の雑誌『週刊ファミコン通信』第2号のコラム「パソコンゲーム通信」の筆者もプレイすると作中世界に浸ることができる点を評価している[4]。 その一方で、コラムの筆者は第1作のPC版が日本で発売されたのと同じ時期に発売された『ザナドゥ』に人気を奪われてしまったことを指摘しており、その原因として敵キャラクターの絵が動かないなど、アクションゲームとしての要素を欠いていたことを指摘している[4]

後世への影響 編集

ゲームの新機軸 編集

ウィザードリィは対戦している魔物の画像を表示したコマンド式戦闘システムを確立した。このシステムは『バーズテイル』や『ドラゴンクエスト』、『ファイナルファンタジー』といった後のゲームに模倣された。

ウィザードリィのパーティ単位の戦闘は、リチャード・ギャリオットに『ウルティマIII』で同様のパーティ制システムを取り入れることを促した[17]

また、基本職での下積みを経て上級職へキャラクタークラスの変更を行うクラスチェンジの要素を取り入れたゲームであった。

後続作品への影響 編集

ウィザードリィに触発されて多くのクローンが生まれ、コンピュータRPGのテンプレートとなった。1985年の『バーズテイル』や『マイトアンドマジック』は、ウィザードリィを起源とする著名なシリーズに含まれる。

日本では、ウィザードリィを元にシステムを簡素化した事実上国内PC用初のコンピュータRPG『ザ・ブラックオニキス』がウィザードリィの日本語版よりも1年早い1984年に発売された。

なかでも家庭用機向けRPG『ドラゴンクエスト』シリーズは、3作目までを通じて、ウィザードリィのコマンド式戦闘やキャラクターの装備やステータス異常、パーティー制、職業や転職といったシステムをコンピュータRPGに不慣れなユーザーにとっても段階的にわかりやすく取り入れ、これらのシステム、ひいてはコンピュータRPGそのものを日本において真に一般化させた。

その後の大きなフォロワーとしては、ベセスダのトッドハワード氏はクリエイターになるきっかけになったゲームタイトルの一つとして本作を挙げており、特にfallout3以降の彼が関わった作品には、主観視点で、また常にリアルタイムバトル以外の、コマンド式のバトルシステムをサポートしており、敵を倒した後にアイテムを拾ったり、謎解きでストーリーを進めていくアドベンチャーゲーム要素、キャラクター作成時に特性別にボーナスポイントを振り分けたり、メインストーリー終了後も永遠に宝探しが楽しめると言ったさまざまな部分で、意識的に影響を感じさせる作り方をしている。

他作品での引用 編集

コンピュータゲーム以外の分野においても、本シリーズのファンを明言する者もおり、彼らの作品において本シリーズからの引用がなされることもある[18]

たとえば、映画監督の押井守はアニメ映画『機動警察パトレイバー 2 the Movie』にて、自衛隊の戦闘機のコールサインとして「ウィザード」「プリースト」「ワイバーン」、管制機のコールサインとして「トレボー」といった名称を使用している[18]。また、テレビアニメ『GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』でもコールサインとして「ホークウィンド」と「トレボー」という名称が使用されている[18]

OVA 編集

『ウィザードリィ』は、1991年2月20日松竹富士より発売されたOVA作品。シナリオ#1をベースにしたオリジナルストーリーで、モンスターデザインはファミコン版を元にしている。独自の設定として、ワードナはアミュレットを使って世界征服を企む悪の魔術師で、アミュレットに施された封印が解かれたとき、1000年の呪いにより世界は滅び去り永遠の闇が訪れるとされている。

ストーリー 編集

ワードナからアミュレットを取り戻すべくトレボー王によって集められた冒険者たち。だがいつしか冒険者は危険を犯すことを避け、迷宮の手頃な階層で魔物を倒して日銭を得ることに執心するようになり、本気でアミュレット奪還を考える者は殆どいなくなっていた。

侍のシン、君主のアレックス、忍者のホークウィンドたち3人もそんなパーティの一つであった。

ある日、地下4階で魔物に苦戦した3人は、凄腕の僧侶ジューザとその弟子アルパーに救われる。かつてワードナと共に冒険し、狂王トレボーにアミュレットをもたらしたジューザは、アミュレットを取り戻さねば、いずれワードナの手によって世界が滅びることを知っていた。それを阻止する為アミュレット奪還を目指すジューザは、3人の腕を見込み共に地下10階へ向かう事を誘う。しかしアミュレットには興味がないとその申し出を断った3人は地下9階まで同行する事にする。地下9階に降りた一行はグレーターデーモンの群れに襲われている女魔術師シーラと出会う。

シーラやジューザの呪文の助けもあり辛くもグレーターデーモン、フラックとの連戦を切り抜ける3人。日に日に迷宮の魔物たちが強くなってきていることを実感していた3人は、ジューザ、アルパーと共に地下10階へ降りてワードナへ挑戦することを決意。シーラもまた、村正を求めて地下迷宮に消えた恋人ランディの手掛かりを求めて一行と同行する。

地下10階に下り先へ進む彼らの前に村正を手にした侍が立ちはだかる。それはワードナが送り込んだ刺客、バンパイアロードによって魔物にされたランディであった。

死闘の末にランディを倒し、村正を手に入れたシン。彼らはランディの仇を討つべく、そのままワードナの玄室へと乗り込み、決戦に臨む。しかしワードナは既にアミュレットにかけられた封印を解き、恐るべき力を手に入れようとしていた。シンは村正を使いこなせずに苦戦を強いられ、アレックスはバンパイアロードを倒すもエナジードレインを受けて戦闘不能、さらにアルパーをかばったジューザが倒れ、一行は窮地に陥ってしまう。だがジューザの死によってシンは怒りを爆発させ、遂に村正の真の力を引き出すことに成功。シーラのマハマンに魔力を封じられたワードナを、アミュレットごと一刀両断に斬り伏せる。

すべての後、魔物として死んだランディ、精神力を使い果たしていたジューザの魂は失われ、共に蘇生は叶わず埋葬された。一行は全ての力を失ったアミュレットをトレボーに返さず、ジューザと共に埋葬する。そしてシンは恋人を失ったシーラへ「ランディが手に入れたものだから」と形見である村正を返そうとするが、彼女は「村正を使いこなせるのは真の侍だけ」と彼に村正を託す。

こうしてアミュレットを巡る戦いは終わったが、一連の冒険を通じて得難い仲間となった5人は、共に新たなる冒険に旅立つのだった。

キャスト 編集

スタッフ 編集

主題歌 編集

エンディングテーマ「Distance (ディスタンス)」
作詞 - 梅津真樹 / 作曲 - 割田康彦 / 編曲 - 恩田直幸 / 歌 - 笠原弘子

書籍 編集

攻略本 編集

  • ビジネス・アスキー刊行
    • 『ウィザードリィ プレイングマニュアル』編: ゲームアーツ、1986年。
    • 『ウィザードリィ攻略の手引き』編: ゲームアーツ、1987年。
    • 『ウィザードリィマガジン』編: MSXマガジン編集部、1991年。
      • ウィザードリィ生誕10周年記念出版。ウィザードリィの歴史や世界観の考察など、資料的な意味合いが強い。
    • 『ウィザードリィ・外伝IIイマジネーションズガイドブック』編: ベニー松山BENTSTUFF、1993年。
  • 『ウィザードリィ ハンドブック』BNN〈ゲームハンドブックシリーズ〉、1986年。
  • 『ウィザードリィ事典』編著: ヘッドルーム、冬樹社、1991年。
  • 『ウィザードリィ大事典』編著: ヘッドルーム、ソフトバンク出版事業部、1996年。
  • ウィザードリィのすべて
    • 『ウィザードリィのすべて : ファミコン版』ベニー松山、JICC出版局(現:宝島社)、1989年8月31日。
      • ファミコン版『1』『2』の攻略本。攻略方法自体はシンプルにまとめられており、ほぼ全編に末弥純のイラストが掲載されているなど、資料的な意味合いが強い。
    • 『ウィザードリィIIIのすべて : ファミコン版』ベニー松山、JICC出版局、1990年8月。
    • 『ウィザードリィ・外伝Ⅰのすべて : ゲームボーイ版』Hippon super!編集部、JICC出版、1991年12月。
    • 『ウィザードリィVのすべて : スーパーファミコン版』Hippon super!編集部、JICC出版、1993年1月。
    • 『ウィザードリィ・外伝IIのすべて : ゲームボーイ版』Hippon super!編集部、JICC出版、1993年2月。
    • 『ウィザードリィ・外伝IIIのすべて : ゲームボーイ版』Hippon super!編集部、宝島社、1993年11月。
  • 『ウィザードリィコレクション』著: 鈴木常信、編: アークライト、発行: ローカス、発売: 角川書店、1999年8月1日。
    • シナリオ#1-5の攻略記事に加えて、原作者や日本語PC版移植スタッフ、末弥純のインタビューと、さまざまなこぼれ話が掲載されている。また、Apple II版#1 - 5のイメージファイルを収録したCD-ROMが付属しており、別途Apple IIのエミュレータを用意することでプレイできる。後に日本語PC版のイメージファイルを収録した同名のWindows用ソフトも発売されている。

小説・エッセイ集 編集

  • 安藤君平
    • 『小説ウィザードリィ(2) アラビクとマルグダの物語』イラスト: 浅田隆双葉社〈ファンタジーノベルシリーズ〉、1992年3月25日。
  • 井上尚美
    • 『小説ウィザードリィ(4) リルガミンの遺産』イラスト: 浅田隆、双葉社〈ファンタジーノベルシリーズ〉、1992年7月10日。
  • 大出光貴
    • 『小説ウィザードリィ(1) 狂王の試練場』イラスト: 吉井宏、 双葉社〈ファンタジーノベルシリーズ〉、1992年2月5日。
    • 『小説ウィザードリィ(5) ハート オブ メイルストローム』イラスト: 吉井宏、双葉社〈ファンタジーノベルシリーズ〉、1992年8月10日。
    • 『小説ウィザードリィ(8) リルガミン戦記【飛翔編】』イラスト: 吉井宏/中村淳一、双葉社〈ファンタジーノベルシリーズ〉、1993年1月30日。
  • 後藤信二
    • 『小説ウィザードリィ(3) ダイヤモンドの騎士』イラスト: 吉井宏、双葉社〈ファンタジーノベルシリーズ〉、1992年4月20日。
    • 『小説ウィザードリィ(7) リルガミン戦記【鳴動編】』イラスト: 吉井宏/前田達彦、双葉社〈ファンタジーノベルシリーズ〉、1993年1月30日。
  • 竹内誠
    • 『小説ウィザードリィ ベイン・オブ・ザ・コズミック・フォージ 呪われし聖筆』イラスト: 末弥純、 アスキー出版局、1992年12月21日。
    • 『ウィザードリィ・ベイン・オブ・ザ・コズミック・フォージ 呪われし聖筆』イラスト: 末弥純、アスペクト〈ログアウト冒険文庫〉、1995年2月22日。
    • 『ウィザードリィ異聞 リルガミン冒険奇譚』イラスト: 結城信輝、アスペクト〈ログアウト冒険文庫〉、1994年1月。
    • 『ウィザードリィ異聞 続リルガミン冒険奇譚』アスペクト〈ログアウト冒険文庫〉、1994年10月。
    • 『ウィザードリィ異聞 続々リルガミン冒険奇譚』アスペクト〈ログアウト冒険文庫〉、1995年10月。
  • 多摩豊
    • 『ウィザードリィ正伝 トレボーと黄金の剣』イラスト: 結城信輝、アスペクト〈ログアウト冒険文庫〉、1994年6月22日。
      • 原作者ロバートやアンドリュー、シナリオ#4の作者ロー・アダムズが構想していたアイデアを元に書かれている。
  • 佐山アキラ / 手塚一郎 / ベニー松山
    • 『ウィザードリィ小説アンソロジー(酔いどれの墓標 / 女神ソルジーナ / 不死王)』JICC出版局、1991年9月15日。
  • 古川日出男
    • 『ウィザードリィ外伝II 砂の王(1)』イラスト: 小島文美、アスペクト〈ログアウト冒険文庫〉、1994年3月22日。
      • 1巻のみの刊行で未完の作品だが、同作者による小説『アラビアの夜の種族』にて本作の全容が作中作として組み込まれている[19][20]
  • 矢野徹
    • 『ウィザードリィ日記 -パソコン文化の冒険』アスペクト、1988年。
    • 『ウィザードリィ日記 -熟年世代のパソコン・アドヴェンチャー』角川書店角川文庫〉、1989年7月25日。
    • 『続・ウィザードリィ日記 -未来はバラ色』アスキー〈Login Books〉、1991年7月20日。
    • 『ウィザードリィ幻想曲』マイクロデザイン出版局〈RPG books〉、1992年5月10日。
  • 吉本正彦
    • 『小説ウィザードリィ(6) 女王の受難』イラスト: 浅田隆/中村淳一、双葉社〈ファンタジーノベルシリーズ〉、1992年10月26日。
  • 伏見健二
    • 『サイレンの哀歌が聞こえる 小説 新・ウィザードリィ』JICC出版局、1992年9月。

漫画 編集

  • 渡辺電機(株)
    • 『ダンジョン退屈男』作: 竹内誠 / 画: しのざき嶺、アスキーコミック、1994年。
    • 『メイルストロームの彼方 ウィザードリィ5』作: ベニー松山 / 画: 池上明子、アスキーコミック、1993年5月。
    • 『ウィザードリィ外伝II 黄泉の覇王』全2巻 原案: 岩原ケイシ / 作画: 福原蓮士、アスキーコミック、1994年。
    • 『ウィザードリィZEO』全4巻 講談社コミックスマガジン、2009年 - 2011年。
  • アンソロジー
    • 『ウィザードリィ4コマまんが王国』全3巻 双葉社〈アクションコミックス〉、1991年・1992年
  • 『魔境斬刻録 隣り合わせの灰と青春』稲田晃司、原作・監修: ベニー松山、リイド社〈連載: コミックボーダー、刊行: ボーダーコミックス〉、2022年12月 - 連載中。既刊1巻。
    • 小説『隣り合わせの灰と青春』のコミカライズ作品。コミカライズ版では「ウィザードリィ」の版権に関わる特有の語句・名称は使用されていない。
  • 『ブレイド&バスタード』楓月誠、原作: 蝸牛くも、キャラクター原案: so-bin、ドリコム〈DREコミックス〉、2023年6月 - 連載中。既刊2巻。
    • 同名小説のコミカライズ版。

資料集 編集

その他 編集

  • ファミコン必勝本 - JICC出版局(現:宝島社)発行のゲーム雑誌。ウィザードリィの漫画や小説、ファンページが連載されていた。
  • ログイン - 日本語PCやファミコン移植版を発売したアスキー発行のゲーム雑誌。忍者増田によるウィザードリィの紹介ページが連載されていた。

テーブルゲーム 編集

  • ウィザードリィRPG - 日本で製作されたテーブルトークRPG版。
  • ウィズボール - ウィザードリィ、ウィザードリィRPGをモチーフとしたコミカルな野球風カードゲーム。ワードナが選手としても出場している。

脚注 編集

注釈 編集

  1. ^ 本作のオリジナル版時点で、現在のファーストパーソン・シューティングゲームにおいて一般的な設定と同じく「WASD」を移動に割り当てていたが、本作では左右キーが平行移動ではなく旋回である点・そもそも「マウスとの同時使用は考慮していないが、AppleIIのキーボードに矢印キーがなかったため」という理由で異なり、配置が同じなのは偶然である。
  2. ^ #4に登場する冒険者「ホリンの聖なるローラーズ」の一団の初期PC版の前衛グループグラフィックでその全貌をうかがい知ることができる。
  3. ^ 『ウィザードリィ モンスターズマニュアル』では荒御霊という解釈でイラスト化されていた[3]
  4. ^ 呪文の成功率、宝箱の罠を解除する際の成功率、攻撃回数など、全てレベルの値に依存する。
  5. ^ 例えば戦士であれば、レベルアップした時に、(1 - 10)のサイコロをレベル数と同一の回数振り、出た値の合計が新たなHPとなるが、以前の値を下回り続けることは多々ある。下回った場合、現在の最大HPが+1される。よって、レベル13の戦士のHPは、単純計算で13 - 130の間という振れ幅になりかねないが、前述の通りHPの向上に失敗した時はHPが+1されるほか、生命力が高いとダイスにボーナスが付くため、あくまで単純計算での話である。一方で、前述のようなHP算出方法のため、レベルアップの際に最大HPが大幅に増加する場合もある。ちなみに振られるダイスは職業ごとに異なり、戦士と君主は10、僧侶と侍は8、盗賊、忍者、司教が6、魔術師は4である。侍の場合はダイスを振る回数に+1のボーナスがある。
  6. ^ a b ゲームボーイカラー版シナリオ1 - 3が該当。
  7. ^ ただし、いくらこの値が高くてもレベルが低い場合にはHPは上がらず、その逆もある。
  8. ^ これは、#6で初登場した「魅力」という特性値の影響も大きい。リザードマンは魅力が3しかないため、カルマを除く特性値の合計も57(男性の場合)となり、人間の59を下回った。
  9. ^ シナリオによっては、遠距離攻撃ができる武器もある。
  10. ^ #1 - #3では照明呪文を扱うことで隠し扉の姿が明らかになる効果がもたらされる。
  11. ^ シナリオによっては、後衛にいても物陰に隠れてからの奇襲攻撃(遠距離攻撃扱い)が可能か、遠距離攻撃ができる武器がある場合がある。
  12. ^ いくつかのシナリオではこれよりもさらに強力な武器もある。
  13. ^ いくつかのシナリオではこれ以上の性能を誇る防具もある。
  14. ^ 別の段階のMPが残っていても、その他の段階の呪文を行使することはできない
  15. ^ 具体的には司教が25レベル(魔術師)・28レベル(僧侶)。侍が22レベル、君主が16レベル。司教の祈祷呪文と侍・君主は4レベルで習得を開始する。
  16. ^ 年齢は週単位で管理されており、馬小屋は0日の場合と、1/7の確率で1週間経過する場合とがある。これは機種により異なる。それ以外の部屋は1週間単位での宿泊となる
  17. ^ シリーズによっては転移した瞬間に一瞬画面が暗転する。
  18. ^ これを呪文封じ呪文の仕様として採用しているシリーズもある。
  19. ^ 生命力のステータスが極端に下がると蘇生不能にはなる。
  20. ^ 例えば、キャラクターの防御力を示すアーマークラスが『AD&D』のTHAC0と全く同じシステム(+9から-10の20段階で、数字が低いほど攻撃が命中しにくいが、命中したダメージそのものは減らない)だったり、ダメージ決定にサイコロ(1 - 6の乱数)を使用している点など、コンピュータゲームとしては必然性がない仕様が多い。
  21. ^ Vol.1で廃刊のため1話のみ。

出典 編集

  1. ^ East and West, Warrior and Quest: A Dragon Quest Retrospective from” (英語). 1UP.com. 2012年7月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年3月22日閲覧。
  2. ^ 10 Classic Computer RPGs - Wizardry:Proving Grounds of the Mad Overlord (1981) - Slideshow from” (英語). PCMag.com (2012年3月10日). 2014年3月22日閲覧。
  3. ^ ゲームアーツ『ウィザードリィ モンスターズマニュアル』アスペクト、1986年、106頁。ISBN 4-89366-215-5 
  4. ^ a b c d e f g h 「パソコンゲーム通信第2号」, 『週刊ファミコン通信』, pp. 100-101.
  5. ^ "Wizardry: A Conversation with Robert Woodhead" (Interview). Interviewed by Jared Petty. Hardcore Gaming 101. 25 March 2012. 2016年11月27日閲覧
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  7. ^ 4Gamer.net ― いま明かされる「ロスト」の仕様――“喜怒哀楽”を喚起し,プレイヤーの記憶に残るゲーム体験を提供する「Wizardry Online」について,二人のプロデューサーに聞いた
  8. ^ 松本隆一 (2020年10月29日). “ドリコム,「Wizardry」(ウィザードリィ)シリーズの著作権と国内外での商標権を取得したと発表”. 4Gamer.net. https://www.4gamer.net/games/999/G999905/20201029088/ 2020年10月29日閲覧。 
  9. ^ “ドリコム、『ウィザードリィ』6~8とタイトル版権を取得!今後新作も予定”. Game*SPARK. (2020年10月29日). https://www.gamespark.jp/article/2020/10/29/103395.html 2020年10月29日閲覧。 
  10. ^ 3 No. 19: Andrew Greenberg, Inc. v. Sir-Tech Software, Inc., et al.” (English). www.law.cornell.edu. Legal Information Institute (2005年2月15日). 2023年12月23日閲覧。
  11. ^ Takenaka, Kosuke (2023年9月16日). “ダンジョン探索RPG『ウィザードリィ』第一作リメイクがいきなり早期アクセス配信開始。無慈悲なるダンジョンRPGの金字塔がフル3Dでよみがえる、日本語対応も”. AUTOMATON. 2023年12月23日閲覧。
  12. ^ “List of Top Sellers”, Computer Gaming World 2 (5): p. 2, (September?October 1982) [1]
  13. ^ “Explore the Worlds of Computer Fantasy”. Electronic Games 4 (16): 52 - 56 [52]. (June 1983). https://archive.org/stream/electronic-games-magazine-1983-06/Electronic_Games_Issue_16_Vol_02_04_1983_Jun#page/n51/mode/2up 2012年2月2日閲覧。. 
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  15. ^ Next Generation 21 (September 1996), p. 52.
  16. ^ メディアファクトリー刊「ダ・ヴィンチ」2001年2月号「押井守が明かす、映画『アヴァロン』のマトリックス構造」p.157より
  17. ^ Barton, Matt (2008). Dungeons & Desktops: The History of Computer Role-Playing Games. A K Peters, Ltd.. p. 76. ISBN 1-56881-411-9 
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  19. ^ 俺を信じてコレを買え Web版 第1回 古川日出男『アラビアの夜の種族』 - スタジオベントスタッフ”. スタジオベントスタッフ - Just another WordPress site (2016年6月20日). 2023年12月22日閲覧。
  20. ^ 特別対談 – 公式WEBサイト『古川日出男のむかしとミライ』”. 2023年12月22日閲覧。

参考文献 編集

関連項目 編集

基本システムを踏襲しているゲーム 編集

「3Dダンジョンもの」以外の共通項があるもののみ記載。

オマージュ・パロディなど 編集

  • 機動警察パトレイバー - 押井守が脚本を担当したテレビシリーズ第38話「地下迷宮物件」、後期OVA第13話「ダンジョン再び」はタイトルが示すようにウィザードリィのパロディ。押井が監督を務めた劇場版第2作にもウィザードリィからのオマージュが見られる。
  • アヴァロン - 押井守監督の映画。パトレイバー劇場版と同様にこちらもウィザードリィのオマージュ。
  • キツネはかせのへんなカレーライス - 小沢正(さし絵:佐々木マキ)の児童文学。あとがきでは小沢もコンピュータRPGに熱中していることが語られている。
  • 迷宮街クロニクル - 林亮介のライトノベル(元々はオンライン小説)。オンライン時のタイトルは『和風Wizardry純情派』で、2000年代前半の京都に突如開いた地下迷宮が舞台。性格システムや職業、怪物などウィザードリィからのオマージュが多数見られる。
  • ポートピア連続殺人事件 - ファミコン版で追加された3D地下迷路そのものや、そこで見つかる「もんすたあ さぷらいずど ゆう」という落書き。(ウィザードリィでは戦闘開始時に敵に奇襲されると「MONSTER SURPRISED YOU」と表示される)

外部リンク 編集