ウェイド・デービス (野球)

アメリカの野球選手 (1985 - )

ウェイド・アレン・デービスWade Allen Davis, 1985年9月7日 - )は、アメリカ合衆国フロリダ州ポーク郡レイクウェールズ英語版出身の元プロ野球選手投手)。右投右打。愛称はウェダー[1]

ウェイド・デービス
Wade Davis
コロラド・ロッキーズでの現役時代
(2018年6月3日)
基本情報
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
出身地 フロリダ州ポーク郡レイクウェールズ英語版
生年月日 (1985-09-07) 1985年9月7日(38歳)
身長
体重
6' 5" =約195.6 cm
227 lb =約103 kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 投手
プロ入り 2004年 MLBドラフト3巡目
初出場 2009年9月6日
最終出場 2021年9月11日
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)

親戚に捕手としてシカゴ・カブスアトランタ・ブレーブスでプレーしたジョディ・デービスがいる[2]

ライアン・デンプスターと並んで、カブスの26試合連続セーブ成功の球団記録を持つ[3]

経歴 編集

プロ入りとレイズ時代 編集

2004年MLBドラフト3巡目(全体75位)でタンパベイ・デビルレイズから指名され、プロ入り。

2007年はA+級ベロビーチ・デビルレイズとAA級モンゴメリー・ビスケッツの2球団合計で27試合に登板で10勝3敗、デビルレイズ傘下1位となる防御率2.50を記録し、デビルレイズ傘下の最優秀投手に選出された[4]

2009年9月6日のデトロイト・タイガース戦でメジャーデビュー。デービスは7回を1失点に抑え、勝利投手の権利を持って降板したが、チームは5対3で敗れた。この試合でデービスは球団新記録となるメジャーデビュー戦で9奪三振を記録し、1962年以降では史上3人目となるデビュー戦での先頭打者から4者連続三振を記録した[5]

2010年アンディ・ソナンスタインとの先発投手5番手争いを制し、開幕から先発ローテーション入りを果たした[6]。7月には新人選手最多の4勝を挙げ、ルーキー・オブ・ザ・マンスに選出された[7]。通年では12勝を記録して、新人王の投票では4位に入った。自身初めてとなったポストシーズンでは、ディビジョンシリーズの第4戦で先発し、5回2失点で勝利投手となったが、チームは5試合の末に敗退した。

2011年3月31日にレイズと総額1260万ドルの4年契約[8](2015年・700万ドル、2016年・800万ドル、2017年・1000万ドルの球団オプション付き)を結んだ[9][10]

 
タンパベイ・レイズでの現役時代
(2012年9月13日)

2012年は、先発からリリーフになったことで速球の威力が増し、前年の奪三振率が5.1から11.1へと倍増した。

ロイヤルズ時代 編集

2012年12月9日にウィル・マイヤーズジェイク・オドリッジマイク・モンゴメリーパトリック・レナード英語版とのトレードで、ジェームズ・シールズ後日発表選手エリオット・ジョンソンと共にカンザスシティ・ロイヤルズへ移籍した[11]

2013年は先発ローテーション4番手だったが不振を極め、8月末にリリーフに配置転換された。リリーフ転向後は7試合(10イニング)で1失点という活躍だった。

2014年セットアッパーとして自己最多の71試合に登板し、防御率1.00という大活躍であり、109奪三振はリリーフ投手としての球団記録を更新した。6月27日から9月15日にかけて33試合連続無失点も記録した。7回のケルビン・ヘレーラ、8回のデービス、9回のグレッグ・ホランドの必勝リレー「HDH」が注目を集めた。クローザーのホランドも防御率1.44、ヘレーラも防御率1.41と大活躍し、史上初となる同一チーム同一シーズンに防御率1.5以下のリリーフ投手(60イニング以上)が3人いるチームができた[12]。チームにとって29年ぶりとなったポストシーズンでも12試合(14.1イニング)に登板して、自責点がわずかに1と、ワールドシリーズ進出に大きく貢献した。オフの11月3日にロイヤルズが700万ドルの球団オプションを行使した[13]

2015年も主にセットアッパーして登板し、6月2日に初めて失点するまで22試合連続無失点を記録した。オールスターに初選出された。以後も好投を続け、69試合に投げて防御率は前年より更に優れた0.94という素晴らしい内容だった。シーズン終盤にクローザーのホランドが怪我で離脱したためその代役を務め、ニューヨーク・メッツとのワールドシリーズでは最後を締め括って日本でいう「胴上げ投手」となる[14]など、30年ぶりのシリーズ優勝に大きく貢献した。ポストシーズン全体では8試合に登板して1勝4セーブ、10.2イニングを投げて無失点、18奪三振の活躍であり、ワールドシリーズではベーブ・ルース賞を受賞した。

2016年も概ね好投を続け、2年連続でオールスターに選出された。7月には右腕の不調で故障者リスト入りした[15]が、シーズン全体では45試合に登板して2勝1敗27セーブ、防御率1.87、(アメリカンリーグ10位)、WHIP1.13と、クローザーの役割を務め上げた。

カブス時代 編集

2016年12月7日にホルヘ・ソレアとのトレードで、シカゴ・カブスへ移籍した[16]

 
シカゴ・カブスでの現役時代
(2017年7月14日)

2017年はクローザーを任され、オールスターにもカブスから唯一選出された。8月19日のトロント・ブルージェイズ戦でセーブを記録し、ライアン・デンプスターの26試合連続セーブ成功の球団記録に並んだ[3]。最終的には59試合で4勝2敗32セーブ・防御率2.30と新天地でもクローザーの役割を全うした[17]。オフの11月2日にFAとなった[18]。球団はクオリファイング・オファーを提示した[19]が、11月16日に拒否した[20]

ロッキーズ時代 編集

2017年12月29日にコロラド・ロッキーズと3年総額5200万ドルの契約を結んだ[21]。契約には4年目の2021年に1500万ドルの相互選択オプションが含まれているが、2020年に30試合交代完了した場合は選手側のみの選択権に変更となり、双方の合意に至らない場合は100万ドルを受け取ってFAとなる。

2018年は開幕から抑えに配置され、前半戦を終えて27セーブ、防御率3.72の成績を記録した。最終的には球団新記録となる43セーブを記録し、自身初となる最多セーブのタイトルを獲得。防御率4.13の成績を残した。

2019年は50登板で1勝6敗、防御率8.65、15セーブと深刻な不振に陥った。2015年には平均95.9mph(約154km/h)だった球速が、この年は93.2mph(約150km/h)にまで落ち、42.2回で29四球と制球も良いとは言いづらい内容だった[22]

2020年も開幕から精彩を欠き、9月19日にDFAとなり[23]、21日にFAとなった[24]

ロイヤルズ復帰 編集

2021年1月20日に古巣のロイヤルズとマイナー契約を結び、スプリングトレーニングに招待選手として参加することになった[25]。3月28日にメジャー契約を結んでアクティブ・ロースター入りした[26]

2021年シーズンは4月1日のテキサス・レンジャーズとの開幕戦に登板し、ロイヤルズでは2016年9月28日以来のセーブを記録した[27]。オフの11月3日にFAとなり[28]、24日に現役引退を表明した[29]

選手としての特徴 編集

最速99.5mph(約160.1km/h、2015年8月16日計測)、平均球速153km/hのフォーシームツーシーム、平均球速149km/hのカッター、変化球は平均球速132km/hのナックルカーブという4球種で高い奪三振率を誇っていた。

先発投手時代の2011年まではカーブスライダーを持ち球としていたが、それぞれナックルカーブ、カッターに変えている。また、平均球速138km/hのチェンジアップも武器としていたが、2013年を最後に投げなくなった。ちょうど、リリーフ転向期だった2012~2013年頃から成績が飛躍的に伸びている。

詳細情報 編集

年度別投手成績 編集





















































W
H
I
P
2009 TB 6 6 1 1 0 2 2 0 0 .500 150 36.1 33 2 13 1 0 36 1 0 19 15 3.72 1.27
2010 29 29 0 0 0 12 10 0 0 .545 722 168.0 165 24 62 2 5 113 4 0 77 76 4.07 1.35
2011 29 29 1 0 1 11 10 0 0 .524 795 184.0 190 23 63 1 8 105 6 0 96 91 4.45 1.38
2012 54 0 0 0 0 3 0 0 6 1.000 284 70.1 48 5 29 2 0 87 2 0 20 19 2.43 1.10
2013 KC 31 24 0 0 0 8 11 0 0 .421 618 135.1 169 15 58 2 4 114 7 0 89 80 5.32 1.68
2014 71 0 0 0 0 9 2 3 33 .818 279 72.0 38 0 23 0 3 109 1 0 8 8 1.00 0.85
2015 69 0 0 0 0 8 1 17 18 .889 251 67.1 33 3 20 1 0 78 1 0 8 7 0.94 0.79
2016 45 0 0 0 0 2 1 27 0 .667 176 43.1 33 0 16 0 3 47 4 0 9 9 1.87 1.13
2017 CHC 59 0 0 0 0 4 2 32 0 .667 242 58.2 39 6 28 1 3 79 7 0 16 15 2.30 1.14
2018 COL 69 0 0 0 0 3 6 43 0 .333 261 65.1 43 8 26 0 2 78 6 0 31 30 4.13 1.06
2019 50 0 0 0 0 1 6 15 0 .143 206 42.2 51 7 29 0 2 42 1 0 42 41 8.65 1.88
2020 5 0 0 0 0 0 1 2 0 .000 25 4.1 9 3 3 1 0 3 2 0 10 10 20.77 2.77
2021 KC 40 0 0 0 0 0 3 2 2 .000 190 42.2 44 8 19 0 2 38 4 0 33 32 6.75 1.48
MLB:13年 557 88 2 1 1 63 55 141 59 .534 4199 990.1 895 104 389 11 32 929 46 0 458 433 3.94 1.30
  • 各年度の太字はリーグ最高

年度別守備成績 編集



投手(P)












2009 TB 6 5 0 0 0 1.000
2010 29 16 19 2 4 .946
2011 29 11 18 0 4 1.000
2012 54 6 4 1 0 .909
2013 KC 31 12 13 1 2 .962
2014 71 4 3 1 0 .875
2015 69 9 8 1 1 .944
2016 45 1 4 0 0 1.000
2017 CHC 59 2 8 0 0 1.000
2018 COL 69 8 3 0 1 1.000
2019 50 2 3 1 2 .833
2020 5 0 0 0 0 ----
2021 KC 40 2 2 0 0 1.000
MLB 557 78 85 7 14 .959
  • 各年度の太字はリーグ最高

タイトル 編集

表彰 編集

記録 編集

背番号 編集

  • 58(2009年)
  • 40(2010年 - 2012年)
  • 22(2013年)
  • 17(2014年 - 2016年)
  • 71(2017年 - 2021年)

脚注 編集

  1. ^ Andy Call (2017年8月24日). “Explaining Cubs Players Weekend nicknames” (英語). MLB.com. 2018年1月5日閲覧。
  2. ^ 「タンパベイ・レイズ」『2012MLB選手名鑑全30球団コンプリートガイド』 日本スポーツ企画出版社 22頁
  3. ^ a b Carrie Muskat; Gregor Chisholm (2017年8月20日). “Happ leads bats behind Quintana to edge Jays” (英語). MLB.com. 2018年1月8日閲覧。
  4. ^ Bill Chastain (2007年9月26日). “Notes: Longoria considered for '08” (英語). MLB.com. 2016年12月8日閲覧。
  5. ^ Zach Schonbrun (2009年9月6日). “Weary bullpen can't hold it for Davis” (英語). MLB.com. 2018年1月5日閲覧。
  6. ^ Anthony DiComo (2010年3月24日). “Davis secures fifth slot in Rays' rotation” (英語). MLB.com. 2018年1月5日閲覧。
  7. ^ "Wade Davis of the Tampa Bay Rays voted winner of the Gillette presents American League Rookie of the Month Award". MLB.com (Press release) (英語). 4 August 2010. 2010年9月20日閲覧
  8. ^ 2011年は100万ドル、2012年は150万ドル、2013年は280万ドル、2014年は480万ドル。
  9. ^ "Ray, Davis Agree to Seven-Year Contract". MLB.com (Tampa Bay Rays) (Press release) (英語). 31 March 2011. 2014年12月23日閲覧
  10. ^ Marc Topkin (2011年3月31日). “Rays sign Davis to long-term deal, could be worth $35M over 7 years” (英語). Tampa Bay Times. 2014年12月23日閲覧。
  11. ^ Daniel Seco (2012年12月9日). “Royals To Acquire James Shields, Wade Davis” (英語). MLB Trade Rumors. 2018年1月5日閲覧。
  12. ^ Royals bullpen: 'There's no better weapon'” (英語). USAトゥデイ (2014年10月16日). 2016年3月13日閲覧。
  13. ^ Mark Polishuk (2014年11月3日). “Royals Exercise Wade Davis' 2015 Option” (英語). MLB Trade Rumors. 2018年1月5日閲覧。
  14. ^ 2015 World Series Game 5, Royals at Mets, November 1” (英語). Baseball-Reference.com. 2021年12月15日閲覧。
  15. ^ Closer Wade Davis goes on disabled list after MRI” (英語). ESPN (2016年8月1日). 2016年10月15日閲覧。
  16. ^ Carrie Muskat (2016年12月7日). “Cubs acquire closer Davis from Royals for Soler” (英語). MLB.com. 2018年1月5日閲覧。
  17. ^ MLB公式プロフィール参照。2018年1月5日閲覧。
  18. ^ Key free agents for all 30 MLB teams” (英語). MLB.com (2017年11月5日). 2017年12月27日閲覧。
  19. ^ Carrie Muskat (2017年11月6日). “Cubs make qualifying offers to Arrieta, Davis”. MLB.com. 2018年1月5日閲覧。
  20. ^ Carrie Muskat (2017年11月16日). “Cubs' Arrieta, Davis decline qualifying offer” (英語). MLB.com. 2018年1月5日閲覧。
  21. ^ Thomas Harding (2017年12月29日). “Rockies' pitcher show gets Wade better” (英語). MLB.com. 2017年12月31日閲覧。
  22. ^ 最強リリーフから一転…ロッキーズの年棒(ママ)18億円投手が絶不調。 今季は50登板で防御率8.65”. ベースボールチャンネル. 2019年10月15日閲覧。
  23. ^ Rockies Designate Wade Davis For Assignment” (英語). MLB Trade Rumors. 2020年9月20日閲覧。
  24. ^ Rockies Place Nolan Arenado On IL, Release Wade Davis” (英語). MLB Trade Rumors. 2020年9月21日閲覧。
  25. ^ Royals Sign Wade Davis To Minor League Deal” (英語). MLB Trade Rumors. 2021年1月20日閲覧。
  26. ^ Royals Select Wade Davis' Contract” (英語). MLB Trade Rumors. 2021年3月29日閲覧。
  27. ^ Anne Rogers (2021年4月2日). “Royals reward fans with 'one we won't forget'” (英語). MLB.com. 2021年4月9日閲覧。
  28. ^ 160 Players Become XX(B) Free Agents” (英語). mlbplayers.com (2021年11月3日). 2021年11月5日閲覧。
  29. ^ Wade Davis, 2015 WS champ with KC, retires” (英語). MLB.com (2021年11月24日). 2021年11月24日閲覧。

関連項目 編集

外部リンク 編集