ウォーチャイルド

ジェスロ・タルのアルバム

ウォーチャイルド』(原題:War Child)は、イギリスプログレッシブ・ロックバンドジェスロ・タル1974年に発表した7作目のスタジオ・アルバム

ウォーチャイルド
ジェスロ・タルスタジオ・アルバム
リリース
録音 ロンドン モーガン・スタジオ英語版
フランス エルヴィル城
ジャンル プログレッシブ・ロック
時間
レーベル クリサリス・レコード
プロデュース イアン・アンダーソン
専門評論家によるレビュー
チャート最高順位
  • 2位(アメリカ[1]
  • 8位(ノルウェー[2]
  • 14位(イギリス[3]
  • ジェスロ・タル アルバム 年表
    パッション・プレイ
    (1973年)
    ウォーチャイルド
    (1974年)
    天井桟敷の吟遊詩人
    (1975年)
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    背景 編集

    イアン・アンダーソンは当初、前作『パッション・プレイ』(1973年)のストーリーを元にした映画を企画し、本作はそのサウンドトラック・アルバムと位置付けられていたが、最終的には単体のアルバムとして発売された[4]。アンダーソンは映画の計画が頓挫した理由について「ハリウッドの制作会社はアメリカ人のスター、制作管理の全権、それに売れ筋の監督を要求した」と説明している[5]

    「スケーティング・アウェイ」、「バングル・イン・ザ・ジャングル」、「オンリー・ソリテアー」は、前作『パッション・プレイ』の原型となった作品「Chateau D'Isaster」から流用された[4][5]。また、「トゥー・フィンガーズ」は『アクアラング』(1971年)制作時のアウトテイクを改作した曲である[4]

    反響・評価 編集

    アメリカのBillboard 200では2位に達し、バンドにとって5作目の全米トップ10アルバムとなった[1]。また、本作からのシングル「バングル・イン・ザ・ジャングル」はBillboard Hot 100で12位を記録し、バンドにとって2作目の全米トップ40シングルとなった[1]

    バンドの母国イギリスでは、以前の作品ほどの成功を収められず、全英シングルチャートでは最高14位にとどまり、トップ100入りは4週のみであった[3]。ノルウェーのアルバム・チャートでは6週トップ20入りし、うち2週にわたって8位を記録した[2]

    Bruce Ederはオールミュージックにおいて5点満点中2.5点を付け「過去の作品ほど印象に残らない」「ここで聴ける音楽は、もはやタルの曖昧な歌詞を補えていない」と批判する一方、タイトル曲を「理にかなった成功作」、「レディーズ」を「アンダーソンのフルート演奏の中でも最高の名演の一つ」、「ザ・サード・フーラー」を「タルのフォーク曲の中でも特に愛らしい展開で始まる」と評している[6]

    リマスターCD 編集

    2002年発売のリマスターCDには、LPレコードの収録時間の制約により本作から外されていた7曲がボーナス・トラックとして収録された[7]。そのうち「レインボウ・ブルーズ」は1976年発売のベスト・アルバム『M.U. - The Best of Jethro Tull』に初収録された曲で[8]、2003年にはブラックモアズ・ナイトのアルバム『ゴースト・オブ・ア・ローズ』でカヴァーされた[9]

    2014年に本作のリリース40周年を記念して発売された『シアター・エディション』は、2枚のCDと2枚のDVDから成る内容で、2002年のリマスターCDにも収録されていたボーナス・トラックに加えて、「Good Godmother」や「Tomorrow Was Today」といった未発表曲、タイトル曲の別ヴァージョン、映画のサウンドトラック用に構想されていたオーケストラ・ヴァージョン等も収録されている[10]

    収録曲 編集

    特記なき楽曲はイアン・アンダーソン作。

    1. ウォーチャイルド "War Child" – 4:36
    2. クイーン・アンド・カントリー "Queen and Country" – 3:00
    3. レディーズ "Ladies" – 3:18
    4. バック・ドア・エンジェルズ "Back-Door Angels" – 5:26
    5. シーライオン "Sealion" – 3:40
    6. スケーティング・アウェイ "Skating Away on the Thin Ice of the New Day" – 4:12
    7. バングル・イン・ザ・ジャングル "Bungle in the Jungle" – 3:37
    8. オンリー・ソリテアー "Only Solitaire" – 1:39
    9. ザ・サード・フーラー "The Third Hoorah" – 4:51
    10. トゥー・フィンガーズ "Two Fingers" – 5:19

    2002年リマスターCDボーナス・トラック 編集

    1. ウォーチャイルド・ワルツ "Warchild Waltz" – 4:21
    2. カルテット "Quartet" – 2:44
    3. パラダイス・ステーキハウス "Paradise Steakhouse" – 4:03
    4. シーライオン2 "Sealion 2" (Ian Anderson, Jeffrey Hammond-Hammond) – 3:20
    5. レインボウ・ブルーズ "Rainbow Blues" – 3:40
    6. グローリー・ロウ "Glory Row" – 3:35
    7. サチュレイション "Saturation" – 4:21

    参加ミュージシャン 編集

    アディショナル・ミュージシャン

    脚注・出典 編集

    注釈 編集

    1. ^ フランス系をルーツとし姓の表記は“Barre”のため、日本では“バレ”と読まれることも多いが、イギリス人であり“バー”と発音するのが正しい[11]

    出典 編集

    1. ^ a b c Jethro Tull - Awards”. AllMusic. 2016年4月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年11月25日閲覧。
    2. ^ a b norwegiancharts.com - Jethro Tull - War Child
    3. ^ a b JETHRO TULL | Official Charts Company - 「Albums」をクリックすれば表示される。
    4. ^ a b c Warchild”. jethrotull.com. 2017年8月1日閲覧。
    5. ^ a b Reed, Ryan (2015年10月14日). “The Story of Jethro Tull's Stripped-Down Response to Critics, 'War Child'”. Ultimate Classic Rock. Diffuser Network. 2016年11月25日閲覧。
    6. ^ Eder, Bruce. “War Child - Jethro Tull”. AllMusic. 2016年11月25日閲覧。
    7. ^ Jethro Tull - WarChild (CD, Album) at Discogs - 2002年リマスターCDの情報。
    8. ^ Jethro Tull - M.U. - The Best of Jethro Tull (Vinyl, LP, Album) at Discogs
    9. ^ Ghost of a Rose - Blackmore's Night | AllMusic
    10. ^ Jethro Tull - WarChild (The 40th Anniversary Theatre Edition) (CD, Album) at Discogs
    11. ^ マーティン・バー、ジェスロ・タルのデビュー50周年を祝うライヴ作を発表【前編】”. 2021年3月31日閲覧。

    外部リンク 編集