エビオン派

初期キリスト教会時代の教派の一つ

エビオン派(Ebionites)は、禁欲などが特徴の、初期キリスト教会時代の宗派の1つである。ヘブライ語で「貧しい者」を意味する「evyonium」が名の由来である。ユダヤ人キリスト教徒の一部(?)で自らを貧しい者(エビオン)と称した一派の説である。このエビオン派はトーラーを守り、禁欲的であったといわれ、3世紀から4世紀には消滅した。イエスはナザレのヨセフイエスの母マリアとの子で、初めから神性があったわけではなく、洗礼を受けた際にキリストになった、としてパウロの説にある処女懐胎やキリストの神性を否定する[1]。この宗派の反パウロ思想は偽クレメンス文書にも見られる[2]

概要 編集

エルサレムでキリスト教を信仰するユダヤ人が、現地が陥落した紀元70年に、ヨルダン川の東岸に逃げた。その時にその場所でエビオン派が発生・発展した[3]律法遵守禁欲主義、養子説的なキリスト論を採るが、反パウロ的な論陣を張り、使徒言行録やパウロ書簡については否定する[3]エイレナイオスによると、彼らが創造主なる神だけを信じ、イエスの神性を否定した。さらには処女懐胎をも否定し、イエスヨセフマリアの子であり、律法遵守によってキリストになったと述べられる[3]。その後エビオン派は、グノーシス主義運動に解消していった[3]

出典 編集

  1. ^ D・A・v・ハルナック『教義史綱要』久島千枝、1997年、P.41頁。 
  2. ^ CATHOLIC ENCYCLOPEDIA: Clementines”. www.newadvent.org. 2022年3月11日閲覧。
  3. ^ a b c d エビオン派・エビオン派福音書”. oishi-archives ページ!. 2020年11月14日閲覧。