エムレ・ジャン

ドイツのサッカー選手

エムレ・ジャンEmre Can, 1994年1月12日 - )は、ドイツヘッセン州フランクフルト・アム・マイン出身のサッカー選手ブンデスリーガボルシア・ドルトムント所属。ドイツ代表。ポジションはミッドフィールダーディフェンダー

エムレ・ジャン
ドイツ代表でのジャン(2017年)
名前
ラテン文字 EMRE CAN
基本情報
国籍 ドイツの旗 ドイツ
トルコの旗 トルコ
生年月日 (1994-01-12) 1994年1月12日(30歳)
出身地 フランクフルト・アム・マイン
身長 184cm
体重 82kg
選手情報
在籍チーム ドイツの旗 ボルシア・ドルトムント
ポジション MF (DMF) / DF (CB, RSB)
背番号 23
利き足 右足
ユース
2000-2006 ドイツの旗 ブラウ=ゲルブ・フランクフルト
2006-2009 ドイツの旗 フランクフルト
2009-2011 ドイツの旗 バイエルン・ミュンヘン
クラブ1
クラブ 出場 (得点)
2011-2013 ドイツの旗 バイエルン・ミュンヘンII 31 (3)
2012-2013 ドイツの旗 バイエルン・ミュンヘン 4 (1)
2013-2014 ドイツの旗 レヴァークーゼン 29 (3)
2014-2018 イングランドの旗 リヴァプール 115 (10)
2018-2020 イタリアの旗 ユヴェントス 37 (4)
2020 ドイツの旗 ドルトムント (loan) 12 (2)
2020- ドイツの旗 ドルトムント 79 (8)
代表歴2
2009  ドイツ U-15 1 (0)
2009-2010  ドイツ U-16 8 (2)
2010-2011  ドイツ U-17 22 (3)
2011-2013  ドイツ U-19 5 (0)
2013-  ドイツ U-21 13 (1)
2015- ドイツの旗 ドイツ 31 (1)
1. 国内リーグ戦に限る。2023年7月2日現在。
2. 2021年6月5日現在。
■テンプレート■ノート ■解説■サッカー選手pj

エムレ・カンエムレ・チャンと表記されることもあるが、トルコ語では「エムレ・ジャン」(トルコ語発音: [ˈɛmrɛ ˈd͡ʒɑn])の呼び方が近く、姓の「ジャン」とはトルコ語で「生命」の意である[1]

クラブ経歴 編集

初期の経歴 編集

6歳の時にSVブラウ=ゲルブ・フランクフルトでサッカーを始めると、2006年にアイントラハト・フランクフルトのユースチームへ移籍し、2009年にバイエルン・ミュンヘンのユースチームに移籍した[2]

2012年、バイエルンのトップチームに昇格したが、ティアゴ・アルカンタラマリオ・ゲッツェの加入で中盤の競争が激しくなり出場機会を求めて、2013年8月2日、バイエル・レバークーゼンに移籍決定。契約は4年間だが、バイエルンの買い戻しオプションが付いた[3]

リヴァプール 編集

2014-15シーズン 編集

2014年6月5日、イングランドのリヴァプールFCへの移籍が発表された[4]。2014-15シーズンに向けて、「バイエルンと同じレベルになれる」[5]と意気込んでいたが、序盤戦は怪我などで出場機会になかなか恵まれなかったが、年明けから3バックの一角としてレギュラーに定着した。だがチームはまたしても無冠でシーズンを終えた。

2015-16シーズン 編集

シーズン開幕当初はスタメンとベンチスタートを行き来するが、出場する際は昨シーズンと同様に、3バックの一角としてのプレーが多かったが、第8節終了後にブレンダン・ロジャース監督が解任され、ユルゲン・クロップが新監督に就任すると状況が大きく変わる。緊急時や攻撃的に振る舞う際のオプションでDFとして出場することはあるが、ほぼ一貫して守備的MFとして起用されるようになった[6][7]

2016-17シーズン 編集

4月のワトフォードFC戦において、同シーズンのプレミアリーグベストゴールかと評されるオーバーヘッドでのゴールを決め、勝利に貢献した[8]。チャンピオンズリーグへの出場権をかけたプレーオフ、TSG1899ホッフェンハイムとの2ndレグでは2ゴールを決め、本大会出場に貢献した[9]。2018年2月24日のウエストハム戦では、先制点を決め勝利に貢献した[10]

2017-18シーズン 編集

怪我の影響で長く戦列を離れたが、UEFAチャンピオンズリーグ決勝のレアル・マドリード戦ではジェイムズ・ミルナーの負傷により後半途中から出場、リヴァプールでの最後の試合出場となり、2018年6月8日、リヴァプールはジャンとジョン・フラナガンの2017-18シーズン限りでの退団を発表した[11]

ユヴェントス 編集

2018年6月21日、イタリアのユヴェントスFCへフリーで移籍。契約期間は2022年までの4年間[12]。背番号はリヴァプール時代と同じ23番。2019-20シーズンにサッリ監督が就任すると構想外となり、チャンピオンズリーグのメンバーリストからの外れ、途中交代などで僅かリーグ戦8試合のみに出場した。

ドルトムント 編集

2020年1月31日、ボルシア・ドルトムントへの2019-20シーズン終了までの買取義務付きローン移籍が発表された[13][14]。移籍後初出場となった2月8日レヴァークーゼン戦で先発しその試合でゴールを奪ったが、試合には敗れた。2020年2月17日、シーズン中ながらボルシア・ドルトムントは完全移籍に切り替わったことを発表した。移籍金は2500万ユーロで2024年6月までの4年契約[15]。2020-21シーズンからトルガン・アザールが10番を着用するため、リヴァプールユヴェントスで慣れ親しんだ23番を背負う。

代表経歴 編集

U-17ドイツ代表として2011年6月から7月にかけてメキシコで開催された2011 FIFA U-17ワールドカップに参加すると、7試合に出場し準決勝のU-17メキシコ代表戦では1得点をあげる活躍を見せ、チームの3位入賞に貢献した[16][17]。同年にはユース年代の優秀選手に与えられるフリッツ・ヴァルター・メダルU-17部門の金賞を受賞した[2]

U-19ドイツ代表を経て、2013年にU-21ドイツ代表に招集されUEFA U-21欧州選手権2013に参加すると、同年6月9日に行われたU-21スペイン代表戦に出場[18]。2015年6月にチェコで開催されたUEFA U-21欧州選手権2015に参加すると、4試合に出場しグループリーグ初戦のU-21セルビア代表戦では1得点をあげる活躍を見せ、チームの1988年大会以来となるオリンピックの出場権獲得に貢献した[18]。一方、準決勝のU-21ポルトガル代表戦では0-5とドイツサッカー史に残る大敗を喫したため、「タイトル獲得を願ったが自分のベストを示さなかった。それだけで恥ずかしい」と心境を語った[19]

2015年8月28日、ドイツ代表に初招集され[20]、9月4日に行われたUEFA EURO 2016予選ポーランド代表戦で代表デビューを果たした[2]。2016年5月31日、フランスで開催されたUEFA EURO 2016の最終メンバーに選出されると[21]、準決勝のフランス代表戦では守備的MFのポジションで先発出場した[22]

2017年5月、ロシアで開催されるFIFAコンフェデレーションズカップ2017の代表メンバーに選出され[23]、優勝。

2017年10月8日のワールドカップ予選アゼルバイジャン戦で代表初得点を挙げたが、負傷で長らく戦列を離れていたため、2018FIFAワールドカップロシア大会のメンバーには選出されなかった。2021年5月、UEFA EURO 2020に臨むメンバーに選出された[24]

個人成績 編集

クラブ シーズン リーグ カップ リーグカップ 欧州カップ戦 その他 通算
出場 得点 出場 得点 出場 得点 出場 得点 出場 得点 出場 得点
FCバイエルン・ミュンヘンII 2011-12 17 1 - - - - 17 1
2012-13 14 2 - - - - 14 2
通算 31 3 0 0 0 0 0 0 0 0 31 3
バイエルン・ミュンヘン 2012–13 4 1 2 0 - 0 0 1 0 7 1
バイエル・レバークーゼン 2013–14 29 3 3 1 - 7 0 - 39 4
リヴァプール 2014–15 27 1 6 0 3 0 4 0 - 40 1
2015–16 30 1 0 0 5 0 14 1 - 49 2
2016-17 31 5 2 0 6 0 - 39 5
2017-18 26 3 2 0 0 0 10 3 38 6
通算 114 10 10 0 14 0 28 4 0 0 166 14
ユベントス 2018–19 29 4 1 0 - 6 0 1 0 37 4
2019–20 8 0 0 0 - 0 0 0 0 8 0
通算 37 4 1 0 - 6 0 1 0 45 4
ボルシア・ドルトムント 2019–20 12 2 1 0 - 2 0 - 15 2
2020–21 28 1 5 1 - 6 0 1 0 40 2
2021–22 24 5 1 0 - 3 0 0 0 28 5
通算 64 8 7 1 - 11 0 1 0 83 9
総通算 279 29 23 2 14 0 52 4 3 0 371 35

代表歴 編集

出場大会 編集

試合数 編集

出典[2]


ドイツ代表国際Aマッチ
出場得点
2015 3 0
2016 4 0
2017 13 1
2018 1 0
2019 4 0
2020 5 0
2021 7 0
2023 2 0
通算 39 1

代表での得点 編集

# 開催日 開催地 対戦国 スコア 結果 大会
1 2017年10月8日  カイザースラウテルンフリッツ・ヴァルター・シュタディオン   アゼルバイジャン 5–1 5–1 2018 FIFAワールドカップ・ヨーロッパ予選

タイトル 編集

クラブ 編集

バイエルン・ミュンヘン
ユヴェントス
ドルトムント

代表 編集

脚注 編集

  1. ^ リヴァプールMFエムレ・ジャンの正しい発音は?”. qoly.jp (2015年3月12日). 2016年7月23日閲覧。
  2. ^ a b c d Die Mannschaft - Emre Can”. DFB. 2016年7月23日閲覧。
  3. ^ レヴァークーゼン、バイエルンからU-21ドイツ代表MFを獲得”. Goal.com (2013年8月22日). 2016年7月23日閲覧。
  4. ^ リヴァプール、エムレ・カン獲得合意を発表”. Goal.com. 2016年7月23日閲覧。
  5. ^ リヴァプール加入のエムレ・カン「バイエルンと同じレベルになれる」”. soccerking (2014年7月5日). 2016年7月23日閲覧。
  6. ^ Stats show Emre Can’s significant improvement under Jurgen Klopp”. Here Is The City. 2016年3月22日閲覧。
  7. ^ Klopp: Liverpool’s Can is in great form at the moment” (英語). Squawka. 2016年3月22日閲覧。
  8. ^ “Emre Can: Was Liverpool midfielder's goal the best this season?”. BBC Sport. (2017年5月4日). http://news.bbc.com/sport/football/39775392 2017年5月5日閲覧。 
  9. ^ [1]-Can double helps see Liverpool confidently through to Champions League group stages Independent 2017年8月23日
  10. ^ Liverpool 4-1 West Ham: Jurgen Klopp's men breeze past Hammers-skysports 2018年2月24日(2018年2月25日閲覧)
  11. ^ “Emre Can and Jon Flanagan set to leave LFC”. Liverpool FC. (2018年6月8日). https://www.liverpoolfc.com/news/first-team/304212-emre-can-jon-flanagan-liverpool-fc 2018年6月10日閲覧。 
  12. ^ “Il centrocampista tedesco è un nuovo giocatore bianconero. Ha firmato un contratto fino al 30 giugno 2022.”. (2018年6月21日). http://www.juventus.com/it/news/news/2018/ufficiale-emre-can-firma-con-juventus.php 
  13. ^ ありがとう、エムレ!”. ユヴェントスFC (2020年2月1日). 2020年2月1日閲覧。
  14. ^ ドルトムント、ドイツ代表エムレ・ジャンを、ユベントスから獲得”. キッカー日本語版 (2020年2月1日). 2020年2月1日閲覧。
  15. ^ “ドルトムント、早くもエムレ・ジャンの買い取りを発表!”. (2020年2月19日). https://web.ultra-soccer.jp/news/view?news_no=370383 
  16. ^ U 17-Junioren - Emre Can”. DFB. 2016年7月23日閲覧。
  17. ^ FIFA U-17 World Cup Mexico 2011 - Matches - Brazil - Germany”. FIFA.com. 2016年7月23日閲覧。
  18. ^ a b U 21-Männer - Emre Can”. DFB. 2016年7月23日閲覧。
  19. ^ Germany left to reflect on 'shameful exit'”. UEFA.com (2015年6月28日). 2016年7月23日閲覧。
  20. ^ ドイツ代表、カンを初招集 テア・シュテーゲンらが復帰”. Goal.com. 2016年7月23日閲覧。
  21. ^ ロイス、ドイツ最終メンバーから外れる”. UEFA.com (2015年5月31日). 2016年7月23日閲覧。
  22. ^ UEFA EURO 2016 - ドイツ-フランス- ラインアップ”. UEFA.com (2016年7月8日). 2016年7月23日閲覧。
  23. ^ Löw: "The 2018 World Cup stands above all else"”. DFB - Deutscher Fußball-Bund e.V. (2017年5月17日). 2017年5月20日閲覧。
  24. ^ ミュラー&フンメルスが復帰! ドイツがレーヴ監督最後の大舞台・EURO2020のメンバー発表”. サッカーキング (2021年5月19日). 2021年6月5日閲覧。

関連項目 編集

外部リンク 編集