エルレンマイヤー・プロッフルのアズラクトンとアミノ酸合成

エルレンマイヤー・プロッフルのアズラクトンとアミノ酸合成(Erlenmeyer-Plöchl azlactone and amino acid synthesis)は、グリシンオキサゾロンアズラクトンを経由してそれぞれ別のアミノ酸ラセミ体)に変形する化学反応で、反応を発見したフリードリッヒ・グスタフ・カール・エミール・エルレンマイヤーによって命名された。

アズラクトンケミストリー:段階2はパーキン変形
アズラクトンケミストリー:段階2はパーキン変形

馬尿酸[1]は、無水酢酸の存在下で2-フェニルオキサゾロンに縮合する[2]。また、この中間体は2つの酸性プロトンを持ち、ベンズアルデヒド無水酢酸酢酸ナトリウムと反応し、アズラクトンとなる。この化合物を還元するとフェニルアラニンを与える[3]

参考 編集

研究の一つに、エルレンマイアーのアミノ酸合成[4]によるL-m-チロシン合成がある[5][6]

 
エルレンマイヤーのアミノ酸合成:チロシン

脚注 編集

  1. ^ A. W. Ingersoll, S. H. Babcock (1943). "Hippuric acid". Organic Syntheses (英語).; Collective Volume, vol. 2, p. 328
  2. ^ G. E. VandenBerg, J. B. Harrison, H. E. Carter, B. J. Magerlein (1973). "2-Phenyl-2-oxazolone". Organic Syntheses (英語).; Collective Volume, vol. 5, p. 946
  3. ^ H. B. Gillespie, H. R. Snyder (1943). "dl-β-Phenylalanine". Organic Syntheses (英語).; Collective Volume, vol. 2, p. 489
  4. ^ エステラーゼによる光学分割を含む
  5. ^ Optimized Synthesis of L-m-Tyrosine Suitable for Chemical Scale-Up Cara E. Humphrey, Markus Furegati, Kurt Laumen, Luigi La Vecchia, Thomas Leutert, J. Constanze D. Müller-Hartwieg, and Markus Vögtle Organic Process Research & Development 2007, 11, 1069–1075 doi:10.1021/op700093y
  6. ^ 3-ヒドロキシベンズアルデヒドO-ベンジル体(1)をグリシンのN-アセチル体(2)と無水酢酸酢酸ナトリウムと共に反応させると、アゾラクトン体を生成し(図中省略)、単離することなくアゾラクトン体をメタノール中の酢酸ナトリウムによりソルボリシスで開環してデヒドロアミノ酸(3)とする。接触水素添加反応により水素付加並びに脱保護してN-アセチル-m-チロシンメチルエステル(4)を得る。 このラセミ体酵素を利用してS-エナンチオマーのメチルエステルのみを加水分解して光学分割する(未反応の(R)-4ジクロロメタンで抽出)。塩基性の水層に残存する(S)-5を塩酸で処理することで、N-アセチルアミドが加水分解された(S)-L-m-チロシン (6)を得る。

関連項目 編集