エレナ・ヤンコビッチJelena Janković, セルビア語: Јелена Јанковић, 1985年2月28日 - )は、セルビアベオグラード出身の女子プロテニス選手。2008年全米オープン女子シングルス準優勝者。2007年ウィンブルドン混合ダブルスで、ジェイミー・マリーイギリス)とペアを組んだ優勝がある。これまでにWTAツアーでシングルス15勝、ダブルス2勝を挙げている。自己最高ランキングはシングルス1位、ダブルス19位。身長177cm、体重59kg。右利き、バックハンド・ストロークは両手打ち。

エレナ・ヤンコビッチ
Jelena Janković
エレナ・ヤンコビッチ
基本情報
国籍 セルビアの旗 セルビア
出身地 同・ベオグラード
生年月日 (1985-02-28) 1985年2月28日(39歳)
身長 177cm
体重 59kg
利き手
バックハンド 両手打ち
ツアー経歴
デビュー年 2000年
ツアー通算 17勝
シングルス 15勝
ダブルス 2勝
生涯獲得賞金 19,089,259 アメリカ合衆国ドル
4大大会最高成績・シングルス
全豪 ベスト4(2008)
全仏 ベスト4(2007・08・10)
全英 4回戦(2006-08・10・15)
全米 準優勝(2008)
4大大会最高成績・ダブルス
全豪 3回戦(2008・13)
全仏 3回戦(2013・14)
全英 ベスト8(2013)
全米 3回戦(2006・13・15)
4大大会最高成績・混合ダブルス
全豪 2回戦(2007・12)
全仏 2回戦(2013・16)
全英 優勝(2007)
全米 1回戦(2005)
優勝回数 1(英1)
国別対抗戦最高成績
BJK杯 準優勝(2012)
ホップマン杯 準優勝(2008)
キャリア自己最高ランキング
シングルス 1位(2008年8月11日)
ダブルス 19位(2014年6月9日)
2019年2月3日現在

来歴 編集

ヤンコビッチは兄の勧めにより、9歳半という比較的遅い年齢からテニスを始めた。2001年から女子テニス国別対抗戦・フェドカップセルビア・モンテネグロ代表選手になる。故国が多難な歴史をたどる中、ヤンコビッチは2004年アテネ五輪のセルビア・モンテネグロ代表選手に選ばれたが、女子シングルス1回戦でコロンビア代表のファビオラ・ズルアガに敗れた。アテネ五輪の3ヶ月前、2004年5月にハンガリーブダペストの大会でツアー初優勝を果たす。2005年度は3つの大会で決勝に進出したが、いずれも準優勝で止まった。

ヤンコビッチの4大大会挑戦は、2003年全豪オープンから始まる。この大会では予選3試合を勝ち抜き、本戦2回戦でアマンダ・クッツァー南アフリカ共和国)に挑戦した。それからしばらく予選敗退が続いたが、2004年全豪オープンから本戦に直接出場できる力をつけた。2005年ウィンブルドン全米オープンの2大会連続で3回戦に進出し、徐々に実力を上げる。2006年ウィンブルドン3回戦で、エレナ・ヤンコビッチは大会前年優勝者のビーナス・ウィリアムズを 7-6, 4-6, 6-4 で破ったが、続く4回戦でロシアアナスタシア・ミスキナに敗れた。同年の全米オープンで、ヤンコビッチは初めての4大大会女子シングルス準決勝進出を果たす。3回戦ではチェコの17歳ニコル・バイディソバ、4回戦では2004年度の優勝者スベトラーナ・クズネツォワ、初進出の準々決勝ではエレーナ・デメンチェワを破って勝ち進んだが、準決勝でジュスティーヌ・エナン・アーデンに 6-4, 4-6, 0-6 で逆転負けした。

2007年のシーズンに入ると、ヤンコビッチは女子ツアーで年間4勝をマークし、世界ランキングでも大きく躍進した。同年の全仏オープンでも初の準決勝進出を決めたが、ここでもエナンに敗れた。この大会では、ライバルのアナ・イバノビッチが女子シングルス準優勝者になった。続くウィンブルドンで、ヤンコビッチはジェイミー・マリーアンディ・マリーの兄)と混合ダブルスのペアを組み、決勝でヨナス・ビョルクマンスウェーデン)&アリシア・モリクオーストラリア)組を 6-4, 3-6, 6-1 で破って初優勝した。

2008年全豪オープン準決勝で、第3シードのヤンコビッチはマリア・シャラポワに 3-6, 1-6 で敗れた。これで彼女はウィンブルドンを除く4大大会でシングルスのベスト4に入ったことになる。同年の全仏オープン準決勝では、ヤンコビッチとイバノビッチによる「セルビア対決」が実現し、ヤンコビッチはイバノビッチに 4-6, 6-3, 4-6 で敗れた。2か月後の8月11日、ヤンコビッチは初めて世界ランキング1位の座についた。全米オープンでは第2シードから初の4大大会決勝戦に進出したが、セリーナ・ウィリアムズに 4-6, 5-7 で敗れて準優勝に終わった。

セルビア・モンテネグロの分離により、エレナ・ヤンコビッチは現在「セルビア」国籍でプレーしている。

その他の活動 編集

ヤンコビッチは現役大学生として、母国セルビアのメガトレンド大学で経済学を専攻している。2007年12月には、セルビア・ユニセフ協会よりユニセフ国内委員会大使に任命され、慈善活動やチャリティーなどを行っている。

2008年には彼女のツアーでの活動を収めたドキュメンタリー映画“JELENIN SVET”(邦訳:「エレナの世界」)が制作され、同年10月にセルビア国内で公開された。

WTAツアー決勝進出結果 編集

シングルス: 36回 (15勝21敗) 編集

大会グレード
2008年以前 2009年以後
グランドスラム (0–1)
WTAファイナルズ (0–0)
ティア I (4–2) プレミア・マンダトリー (1-2)
プレミア5 (1-3)
ティア II (2–4) プレミア (0–1)
ティア III (1–2) インターナショナル (4-5)
ティア IV & V (2–1)
結果 No. 決勝日 大会 サーフェス 対戦相手 スコア
優勝 1. 2004年5月2日   ブダペスト クレー   マルチナ・スーハ 7-6(4), 6-3
準優勝 1. 2005年3月5日   ドバイ ハード   リンゼイ・ダベンポート 4-6, 6-3, 4-6
準優勝 2. 2005年6月12日   バーミンガム   マリア・シャラポワ 2-6, 6-4, 1-6
準優勝 3. 2005年10月2日   ソウル ハード   ニコル・バイディソバ 5-7, 3-6
準優勝 4. 2006年8月13日   ロサンゼルス ハード   エレーナ・デメンチェワ 3-6, 6-4, 4-6
優勝 2. 2007年1月6日   オークランド ハード   ベラ・ズボナレワ 7-6(9), 5-7, 6-3
準優勝 5. 2007年1月12日   シドニー ハード   キム・クライシュテルス 6-4, 6-7(1), 4-6
優勝 3. 2007年4月15日   チャールストン クレー   ディナラ・サフィナ 6-2, 6-2
優勝 4. 2007年5月20日   ローマ クレー   スベトラーナ・クズネツォワ 7-5, 6-1
優勝 5. 2007年6月17日   バーミンガム   マリア・シャラポワ 4-6, 6-3, 7-5
準優勝 6. 2007年6月23日   スヘルトーヘンボス   アンナ・チャクベタゼ 6-7(2), 6-3, 3-6
準優勝 7. 2007年8月19日   トロント ハード   ジュスティーヌ・エナン 6-7(3), 5-7
準優勝 8. 2007年9月23日   北京 ハード   アグネシュ・サバイ 7-6(7), 5-7, 2-6
準優勝 9. 2008年4月5日   マイアミ ハード   セリーナ・ウィリアムズ 1-6, 7-5, 3-6
優勝 6. 2008年5月18日   ローマ クレー   アリーゼ・コルネ 6-2, 6-2
準優勝 10. 2008年9月7日   全米オープン ハード   セリーナ・ウィリアムズ 4-6, 5-7
優勝 7. 2008年9月28日   北京 ハード   スベトラーナ・クズネツォワ 6-3, 6-2
優勝 8. 2008年10月5日   シュトゥットガルト ハード (室内)   ナディア・ペトロワ 6-4, 6-3
優勝 9. 2008年10月12日   モスクワ カーペット (室内)   ベラ・ズボナレワ 6-2, 6-4
優勝 10. 2009年4月12日   マルベーリャ クレー   カルラ・スアレス・ナバロ 6-3, 3-6, 6-3
優勝 11. 2009年8月16日   シンシナティ ハード   ディナラ・サフィナ 6-4, 6-2
準優勝 11. 2009年10月3日   東京 ハード   マリア・シャラポワ 2-5, 途中棄権
優勝 12. 2010年3月21日   インディアンウェルズ ハード   キャロライン・ウォズニアッキ 6-2, 6-4
準優勝 12. 2010年5月8日   ローマ クレー   マリア・ホセ・マルティネス・サンチェス 6–7(5), 5–7
準優勝 13. 2011年3月6日   モンテレイ ハード   アナスタシア・パブリュチェンコワ 6–2, 2–6, 3–6
準優勝 14. 2011年8月22日   シンシナティ ハード   マリア・シャラポワ 6–4, 6–7(7), 3–6
準優勝 15. 2012年6月18日   バーミンガム   メラニー・ウダン 4-6, 2-6
準優勝 16. 2012年8月24日   ダラス ハード   ロベルタ・ビンチ 5–7, 3–6
優勝 13. 2013年2月24日   ボゴタ クレー   パウラ・オルマエチェア 6–1, 6–2
準優勝 17. 2013年4月7日   チャールストン クレー   セリーナ・ウィリアムズ 6–3, 0–6, 2–6
準優勝 18. 2013年10月6日   北京 ハード   セリーナ・ウィリアムズ 2-6, 2-6
準優勝 19. 2014年4月13日   ボゴタ クレー   キャロリン・ガルシア 3–6, 4–6
準優勝 20. 2015年3月22日   インディアンウェルズ ハード   シモナ・ハレプ 6-2, 5-7, 4-6
優勝 14. 2015年9月26日   広州 ハード   デニサ・アレルトバ 6–2, 6–0
優勝 15. 2015年10月18日   香港 ハード   アンゲリク・ケルバー 3–6, 7–6(4), 6–1
準優勝 21. 2016年9月24日   広州 ハード   レシア・ツレンコ 4–6, 6–3, 4–6

ダブルス: 5回 (2勝3敗) 編集

結果 No. 決勝日 大会 サーフェス パートナー 対戦相手 スコア
優勝 1. 2006年6月18日   バーミンガム   李娜   ジル・クレイバス
  リーゼル・フーバー
6–2, 6–4
優勝 2. 2013年8月11日   トロント ハード   カタリナ・スレボトニク   アンナ=レナ・グローネフェルト
  クベタ・ペシュケ
5–7, 6–2, [10–6]
準優勝 1. 2015年6月14日   スヘルトーヘンボス   アナスタシア・パブリュチェンコワ   アシァ・モハメド
  ラウラ・シグムント
3–6, 5–7
準優勝 2. 2015年7月26日   イスタンブール ハード   カグラ・ブユカケイ   ダリア・ガブリロワ
  エリナ・スビトリナ
7-5, 1-6, [4-10]
準優勝 3. 2017年6月25日   マヨルカ   アナスタシヤ・セバストワ   マルチナ・ヒンギス
  詹詠然
不戦敗

4大大会シングルス成績 編集

略語の説明
 W   F  SF QF #R RR Q# LQ  A  Z# PO  G   S   B  NMS  P  NH

W=優勝, F=準優勝, SF=ベスト4, QF=ベスト8, #R=#回戦敗退, RR=ラウンドロビン敗退, Q#=予選#回戦敗退, LQ=予選敗退, A=大会不参加, Z#=デビスカップ/BJKカップ地域ゾーン, PO=デビスカップ/BJKカッププレーオフ, G=オリンピック金メダル, S=オリンピック銀メダル, B=オリンピック銅メダル, NMS=マスターズシリーズから降格, P=開催延期, NH=開催なし.

大会 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 通算成績
全豪オープン A 2R 2R 2R 2R 4R SF 4R 3R 2R 4R 3R 4R 1R 2R 3R 29–15
全仏オープン A LQ 1R 1R 3R SF SF 4R SF 4R 2R QF 4R 1R 1R 1R 31–14
ウィンブルドン A LQ 1R 3R 4R 4R 4R 3R 4R 1R 1R 2R 1R 4R 2R 1R 21–14
全米オープン LQ LQ 2R 3R SF QF F 2R 3R 3R 3R 4R 4R 1R 2R 1R 32–14

外部リンク 編集