オガサワラシジミ

チョウ目シジミチョウ科に属するチョウの一種

オガサワラシジミ (Celastrina ogasawaraensis) は、昆虫綱チョウ目(鱗翅目)シジミチョウ科ルリシジミ属に分類されるチョウ。

オガサワラシジミ
オガサワラシジミ
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: チョウ目 Lepidoptera
: シジミチョウ科 Lycaenidae
亜科 : ヒメシジミ亜科 Polyommatinae
: ルリシジミ属 Celastrina
: オガサワラシジミ
C. ogasawaraensis
学名
Celastrina ogasawaraensis
(Pryer, 1883)[1]
和名
オガサワラシジミ[1]

分布 編集

日本小笠原諸島兄島姉島弟島父島母島固有種[1]

形態 編集

全長12 - 15ミリメートル[2]。翅裏は灰白色で、後翅は青緑色がかる[1][2]

オスは翅表が暗青色で、外縁は黒い[1][2]

生態 編集

幼虫はオオバシマムラサキ、コブガシ類などを食べる[2]

人間との関係 編集

人為的に移入されたグリーンアノールによる捕食、アカギシマグワMorus australisによる植生の変化などにより生息数が減少した[1]。兄島では1989年以降、父島では1992年以降、弟島では1997年以降は確認例がない[1][2]。母島でも2018年以降は確認例がなく、2020年に行われた調査でも確認できなかった[2]

日本では1969年に、国の天然記念物に指定されている[2]。2008年には種の保存法により、国内希少野生動植物種に指定された[3]

2005年から多摩動物公園で飼育下繁殖させる試みが進められ、2016年に繁殖法が確立、2017年には1年以上の累代飼育に成功した[2]。2019年に多摩動物公園から新宿御苑に個体が分譲されたが、2020年7月に全個体が死亡[2]。オスの精子量が短期間で激減したことから、近親交配の影響が示唆されていた[2]。そして同年8月には、多摩動物公園で飼育されていた個体も全て死亡。分布域外で飼育されていた個体は全滅した[2]。野生でも2018年以来、生息が確認されておらず、環境省は「種の保存にとって非常に危機的な状況だ」としている。[4]

絶滅危惧IA類 (CR)環境省レッドリスト[1]

出典 編集

  1. ^ a b c d e f g h 中村康弘 「オガサワラシジミ」『レッドデータブック2014 日本の絶滅のおそれのある野生動物 5 昆虫類』環境省自然環境局野生生物課希少種保全推進室編、株式会社ぎょうせい、2015年、57頁。
  2. ^ a b c d e f g h i j k オガサワラシジミの生息域外個体群の繁殖途絶についてオガサワラシジミについて(種の概要資料)オガサワラシジミに関する主要なできごと・取組東京都・2020年8月28日閲覧)
  3. ^ 国内希少野生動植物種一覧環境省 ・2020年8月28日に利用)
  4. ^ 日本放送協会. “小笠原諸島固有のチョウ「オガサワラシジミ」繁殖用個体全滅”. NHKニュース. 2020年9月24日閲覧。

関連項目 編集

外部リンク 編集