オークモントカントリークラブ

オークモントカントリークラブ (Oakmont Country Club) は米国東部ペンシルベニア州にあるカントリークラブで、その敷地の大部分はプラムの町に属するが、ごく一部がオークモントにかかっている。1903年に創立され、ゴルフコースは「全米トップランクのコースの中で最古」と言われる。1987年に国定歴史建造物に指定された。コース内をペンシルベニアターンパイクが横切るため2番から8番ホールが他ホールより分離されている。

オークモントカントリークラブ
概要
開業1903年
ホール数18
フェアウェイBentgrass, Poa annua[1]
ウェブサイトoakmont-countryclub
設計者Henry Fownes (1904), Tom Fazio (2015 renovation), Gil Hanse (2023-2024 restoration)
パー71   (全米オープンは70
        since 2007)
全長7,254ヤード (6,633 m)
コース
レーティング
76.9
スロープ
レーティング
142[2]
コースレコード63 – ジョニー・ミラー
(1973 U.S. Open)
Oakmont Country Club
オークモントカントリークラブの位置(ペンシルベニア州内)
オークモントカントリークラブ
直近都市Pittsburgh, Pennsylvania
座標北緯40度31分34秒 西経79度49分37秒 / 北緯40.526度 西経79.827度 / 40.526; -79.827
建設1903
建築家Fownes, Henry C.;
Stotz, Edward
建築様式Tudor Revival
NRHP登録番号84003090[3]
指定・解除日
NRHP指定日1984年8月17日
NHL指定日1987年6月30日[5]
PHLF指定日1985[4]

オークモントのコース 編集

コースはヘンリー・ファウンズがその生涯で唯一設計したもので、1903年に開場した。リンクスコース建設に適していると考えられた古い農地を150人の作業員と20頭ほどのラバのチームが1年をかけて造成した。アレゲニー川沿いに立地したコースは、ウォーターハザードがなく、また2007年以降は樹木類もほとんどない。200ほどのバンカーがあり、USGA によるコースレートは77.5で、ゴルフ界では全米で最も難しいコースの一つとされている。巨大で起伏がきつく、極めつけに高速なグリーンを持つ。1940年代後半、ペンシルベニアターンパイク建設のために8番ホールを左に数ヤード動かした以外はすべて建設時のオリジナルのまま保たれている。もともとリンクススタイルのコースだったが1950年から1960年にかけて多数の木が植えられた。これらは1994年の全米オープン後に除去が始まり、2007年の改修時だけで5,000から7,000本が伐採された[6][7]。グリーンの植栽はポアアヌア(スズメノカタビラ)で[8]、メンバーがプレーする際のパーは71となっている。


コースはその傾斜でも有名で、特に1番、3番、10番、12番の各ホールは砲台型のグリーンを持つ[9]


オークモントの最も有名なハザードの1つは、3番ホールと4番ホールの間にある「チャーチピュー(教会の会衆席)」バンカーである。100 × 40ヤード(91 x 37 メートル)の大きさを持ち、その中に芝生の生えた直線状の尾根が12本並んでおり、教会の会衆席に似ていることからこの名称で呼ばれている[7][10]

長年にわたりオークモントのバンカーは通常よりも幅の広いレーキ(熊手)が使用され、これで砂を均すと深い溝が生じた。しかしこれが使用されたのは1962年の全米オープンが最後となり1964年にはクラブから姿を消した[11]

ランキング 編集

ゴルフダイジェスト誌による「全米100の偉大なコース (Golf Digest 100 Greatest Golf Courses in America)」特集では毎回継続して5位以内にランクされている。2007年では5位だった[12]。毎年10位以内にランクされることは出版史上でも稀なコースの一つに数えられる。「50のタフなコース」のランキングでもオークモントは5位、Golflink.com では全体で3位にランクされる[13]

著名なゴルファーによる評価 編集

  • マイク・デービス(Mike Davis、 USGA 競技・ルール担当シニアダイレクター):全米オープンがオークモントに戻ってくるのには理由がある。ここは正真正銘のチャンピオンシップゴルフのスタンダードだからだ。オークモントに勝るコースはない[14]
  • リー・トレビノ (Lee Trevino):今すぐに全米オープンの会場に指定されて、それが実行できるコースは1箇所しかない。それがオークモントだ[15]
  • フィル・ミケルソン (Phil Mickelson):実にきちんとしていて、特別な場所[16]
  • ジョニー・ミラー (Johnny Miller):「多分世界で一番のコースだ。私がプレーした中で最も素晴らしいコースだ」


オークモントのグリーンに関して:

  • タイガー・ウッズ:全米オープンでプレーした中で最もタフなコースの一つ。特に乾燥したグリーンはどうにもならない[9]
  • アーノルド・パーマー:「オークモントの全米オープンでは 72回グリーン上でプレイできるが、プレイするたびに勝利からどんどん離れていく[16]。」
  • ロッコ・ミーディエートは、グリーンについて「ほとんど不可能」だと述べた。
  • サム・スニードはかつて、オークモントのグリーンのひとつでボールをマークしようとしたが、コインが滑り落ちて行ってしまったという。
  • リー・トレビノは、オークモントで 2 パットするたびに、リーダーボード上で順位が上がっていくことを知っていたと述べた。
  • ジョニー・ミラーは、オークモントはプレーヤーのパット能力をテストするための最高のグリーンセットであると語った。
  • USGAシニアディレクターのマイク・デイビス:「[オークモントのグリーンは]ゴルフで最も怖い」

スティンプメーター 編集

グリーンの速さを計測する機器であるスティンプメーターは、マサチューセッツ出身の傑出したアマチュアであるエドワード・スティンプソン(1904年 – 1985年)が、1935年にオークモントで開催された全米オープンに出場した直後に考案した[17][18][19][20]

参照 編集

  • ペンシルベニア州の国定歴史建造物のリスト
  • ペンシルベニア州アレゲニー郡の国家歴史登録財リスト

脚注 編集

  1. ^ U.S. Open”. GCSAA (2016年6月). 2018年4月21日閲覧。
  2. ^ Course Rating and Slope Database™: Oakmont Country Club”. USGA. 2016年4月11日閲覧。
  3. ^ National Park Service (15 April 2008). "National Register Information System". National Register of Historic Places. National Park Service. {{cite web}}: Cite webテンプレートでは|access-date=引数が必須です。 (説明)
  4. ^ Historic Landmark Plaques 1968-2009. Pittsburgh, Pennsylvania: Pittsburgh History & Landmarks Foundation. (2010). http://www.phlf.org/wp-content/uploads/2007/09/Historic-Plaques-2010b.pdf 2011年7月28日閲覧。 
  5. ^ Oakmont Country Club”. National Historic Landmark summary listing. National Park Service. 2008年7月2日閲覧。
  6. ^ Pittsburgh Post-Gazette Oakmont clears trees to revive Scottish-links look for U.S. Open 2007-2-11. Retrieved 2010-7-8
  7. ^ a b “Oakmont going back to its roots”. Observer Reporter (Washington, Pennsylvania): p. C6. (2007年6月10日). https://news.google.com/newspapers?id=h0taAAAAIBAJ&sjid=JCgMAAAAIBAJ&pg=944%2C4127190 
  8. ^ Dvorchak, Robert (2007年6月13日). “Oakmont-inspired Stimpmeter allows USGA to accurately measure speed, consistency of putting surfaces”. Pittsburgh Post-Gazette. http://www.post-gazette.com/pg/07164/793591-382.stm 2008年11月7日閲覧。 
  9. ^ a b “Oakmont: Rock & roll (& roll & roll & roll) nightmare”. Pittsburgh Post-Gazette. (2007年6月10日). http://www.postgazette.com/pg/07161/792746-382.stm 2007年6月10日閲覧。 
  10. ^ Raby, John (1994年6月16日). “Church Pews still a menace”. Times Daily. Associated Press (Florence, Alabama): p. 1C. https://news.google.com/newspapers?id=cYQ0AAAAIBAJ&sjid=vccEAAAAIBAJ&pg=4704%2C2319959 
  11. ^ Dulac, Gerry (2007年6月15日). “U.S. Open Notebook: Oakmont eyes tougher bunkers in '07”. Pittsburgh Post-Gazette. http://www.post-gazette.com/pg/06166/698442-136.stm 2007年6月17日閲覧。 
  12. ^ America's 100 Greatest Courses”. Golf Digest (2007年5月). 2007年6月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年6月10日閲覧。
  13. ^ Top 100 United States Golf Courses”. Golf Link (2007年). 2007年6月10日閲覧。
  14. ^ Dvorchak, Robert (2007年6月10日). “U.S. Open: At Oakmont, golf is played the way it was meant to be”. Pittsburgh Post-Gazette. http://www.postgazette.com/pg/07161/792986-382.stm 2007年6月17日閲覧。 
  15. ^ Parascenzo, Marino (Summer 2007). “The Course Loved 'Round the World”. Pittsburgh Quarterly. http://www.pittsburghquarterly.com 2010年6月10日閲覧。 
  16. ^ a b Dulac, Gerry (2007年6月10日). “Oakmont Country Club: Awakening of The Beast”. Pittsburgh Post-Gazette. http://www.post-gazette.com/pg/07161/792747-382.stm 2007年6月17日閲覧。 
  17. ^ Dvorchak, Robert (2007年6月13日). “Reading the greens”. Pittsburgh Post-Gazette: p. E-6. https://news.google.com/newspapers?id=XbINAAAAIBAJ&sjid=GXIDAAAAIBAJ&pg=6316%2C551978 
  18. ^ Newport, John Paul (2013年1月25日). “Ta-Da! Stimpmeter makeover”. Wall Street Journal. https://www.wsj.com/articles/SB10001424127887324539304578263953206840258 2016年4月11日閲覧。 
  19. ^ Stimpmeter instruction booklet”. United States Golf Association. p. 1 (2012年). 2016年4月11日閲覧。
  20. ^ “Edward S. Stimpson”. New York Times. UPI. (1985年3月28日). https://www.nytimes.com/1985/03/28/sports/edward-s-stimpson.html 2016年4月11日閲覧。 

外部リンク 編集