オーストラリアのコーヒー文化
本項では、オーストラリアのコーヒー文化（オーストラリアのコーヒーぶんか）について解説する。
コーヒー文化はオーストラリアで重要な文化的事象となっている。ウェブサイト「GQ」の神谷晃によると、第二次世界大戦後のイタリアからの移住者によってエスプレッソが浸透したとされており、シドニーを中心に独自のコーヒー文化が形成されたという[1]。また、個人経営のカフェが多いという特徴があり、アメリカ合衆国のコーヒーチェーン・スターバックスが一時撤退したことでも知られている[1]。
歴史 編集
オーストラリアには独特のコーヒー文化がある。コーヒー産業は20世紀初頭以来、個人経営のカフェから発展してきた。フラットホワイトがオーストラリアで最初に普及したのは1990年代で[2]、その発明者はシドニー出身と言われている[3][4]。シドニーとメルボルンの象徴的なギリシャ系カフェは、1910年に初めて地元産の焙煎コーヒーを導入した。メルボルンは、カフェやロースターの多さから「世界のコーヒーの首都」と呼ばれることもある[5][6]。
1952年、オーストラリアで初めてエスプレッソ・マシンが登場し、メルボルンとシドニーに高級イタリアン・コーヒー・ハウスが数多く出現した。ペレグリーニ・エスプレッソ・バー（Pellegrini's Espresso Bar）とレジェンド・カフェ（Legend Café）は、それぞれ1954年と1956年にオープンしたメルボルン初の「本格的な」エスプレッソ・バーである。この10年間には、オーストラリアを代表するコーヒー・ブランド、ヴィットリア（Vittoria）が設立された。このブランドは、アメリカに進出するはるか以前の1958年からオーストラリアに存在している[7]。
今日に至るまで、スターバックスのような国際的なコーヒーチェーンはオーストラリアではほとんどシェアを占めておらず[8]、オーストラリアには古くからある独立系カフェが、ザ・コーヒー・クラブ、ミッシェルズ・パティスリー、西オーストラリア州のドーム、クイーンズランド州のザラファス・コーヒーといった国産のフランチャイズとともに存在している。
その理由のひとつは、アメリカやアジアとは異なり、オーストラリアではコーヒーチェーンが市場に参入しようとする何十年も前から、すでに独立系カフェの文化が確立していたからである。オーストラリア人はスペシャルティコーヒーの文化に重点を置いており、新鮮なコーヒー豆を調達し、適切に焙煎し、最高のコーヒー豆を淹れることに集中している[9][10][11][12][13]。
オーストラリアのコーヒー産業 編集
オーストラリアのコーヒー産業は、年間58億米ドルの収益を上げている[14][15]。
オーストラリアでは現在、スペシャルティコーヒーの生産量は少なく、毎年約85万本の木から最大600トンの生豆を収穫している[16]。
オーストラリアでは、ニュー・サウス・ウェールズ州北部とクイーンズランド州の2つの地域でコーヒーが栽培されている[17]。
関連項目 編集
脚注 編集
- ^ a b 神谷晃 (2023年9月2日). “世界が注目するカフェ激戦区を歩く。「たかがコーヒー、されどコーヒー」──ローカルが教えるオーストラリア・メルボルン編①”. GQ JAPAN. Condé Nast. 2024年3月16日閲覧。
- ^ “The History behind the Flat White” (英語). Guide 2 Coffee (2023年2月24日). 2023年10月12日閲覧。
- ^ “How Australian Coffee Took Over—And Why New Zealand Coffee Could Be Next”. Vogue. (1 January 2018) 2018年12月10日閲覧。.
- ^ Pearlman, Jonathan (2015年9月28日). “Who invented the flat white? Row breaks out between Australian and New Zealand cafe owners” (英語). The Daily Telegraph. ISSN 0307-1235. オリジナルの2022年1月12日時点におけるアーカイブ。 2018年12月15日閲覧。
- ^ https://laydaycoffee.com/blogs/journal/how-melbourne-became-the-coffee-capital-of-the-world#:~:text=Some%2070%20years%20later%20and,most%20innovative%20in%20the%20world.
- ^ Eriksen, Ida (2017年8月15日). “Melbourne: The coffee capital of the world?”. CBS WIRE. 2023年3月26日閲覧。
- ^ “Vittoria Coffee”. Vittoriacoffee.com. 2018年1月23日閲覧。
- ^ Turner, Ashley (2018年7月25日). “Why there are almost no Starbucks in Australia” (英語). CNBC. 2023年12月18日閲覧。
- ^ “Australian Coffee: A Cultural Obsession And Caffeine Ritual” (英語). www.roastycoffee.com (2020年6月5日). 2023年2月23日閲覧。
- ^ “Australian coffee is the new gold standard — and not just for 'chin-stroking inner-urban Instagrammers'” (英語). ABC News. (2019年12月27日) 2023年2月23日閲覧。
- ^ Montgomery, Jordan (2021年6月1日). “How is Australian specialty coffee culture evolving?” (英語). Perfect Daily Grind. 2023年2月23日閲覧。
- ^ “Australian Coffee Culture: The History, the Drinks, the Etiquette”. 2024年3月17日閲覧。
- ^ Zhuang, Yan (2021年11月12日). “Migration and Experimentation: What Led to Australia's Coffee Culture” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331 2023年2月23日閲覧。
- ^ MacDonnell, Kate (2022年7月15日). “18 Australia Coffee Statistics in 2023: Interesting Facts!” (英語). Coffee Affection. 2023年2月23日閲覧。
- ^ “The 10 biggest coffee franchises in the Australian market” (英語). Franchise Buyer. 2023年2月23日閲覧。
- ^ “Can Australia Grow Its Consumption of Locally Produced Coffee?” (2020年6月11日). 2024年3月17日閲覧。
- ^ “Australian Grown Coffee: 5 things you need to know about Australian Coffee” (2021年8月12日). 2024年3月17日閲覧。