カップリング (同人)

キャラクター同士の恋愛関係を表す語

カップリング(カプ、CPとも略称される)とは、同人創作活動においてキャラクター[1]同士の恋愛関係を表す語である。男性同性愛やおいボーイズラブ)創作、女性同性愛(百合)をはじめ、異性愛でも用いられる。英語圏では「関係」を意味するリレーションシップ(Relationship)を語源とするシッピングShipping)と呼称し、「キャラクターの恋愛を妄想・考察するファン文化の1つ」とされていて、こうしたファンはシッパーShipper)と呼ばれる[2]

表記方法 編集

恋愛の対象となる二人のキャラクターを「キャラクターA×キャラクターB」、または「[Aの略称][Bの略称]」などと表記する。しばしば間の「×」は省略される。×の前に記されるキャラクターの事を攻めと呼び、×の後のキャラクターの事は受けと呼ぶ。前述した例を元にするとキャラクターAは攻め、キャラクターBは受けとなる[3][4]

「襲われ攻め」「襲い受け」「ヘタレ攻め」など独特の表現が増えており、同じカップリングでも嗜好の違いによる対立が見られる場合も有る。

男性向けの場合 編集

カップリング同人は女性向けに限られない。男性向けにおいてもカップリング二次創作は盛んである。これらはオフラインの同人誌よりはネットの二次創作小説やイラストにおいて盛んである。男性向けの場合「キャラクター名×キャラクター名」の表記の他に『新世紀エヴァンゲリオン』における碇シンジ綾波レイのカップリングを LRS (LoveReiShinji)、碇シンジと惣流・アスカ・ラングレーのカップリングを LAS (LoveAsukaShinji) と表記するような独自の表記方法も見られる。

その他の表記 編集

カップリングの内容をより細かく表すため、以下のような記号も用いられる。

A×B×A
攻め受けの立場が場合によって逆転する、いわゆる「リバーシブル」なカップリングであることを指す[5]
A+B(A&B)
AとBの友情関係を指す。
A→B
AがBに対して一方的に恋愛感情を抱いている関係、つまり片思いであることを指す[6]。A×B←CでAと恋愛関係にあるBにCが思いを寄せる関係、A→B←CでAとCがBを取り合う関係など複雑な表記もある。「B→A←C」 - BCがお互いにAに恋愛感情を抱く関係。「サンド」ともいう。

これらの表記方法は同人創作者によって異なる意味を表すことがある。また、これ以外の様々な記号を用いたり、記号自体を用いない場合もあり、一定の基準はない。

どんな攻めであるか、どんな受けであるかという具体的な性格・ポジション・属性の説明は「○○攻め」あるいは「○○受け」などという言葉で形容される(ヘタレ攻め、年下攻め、眼鏡攻め、主人公受け、誘い受け、強気受けなど)。

用語 編集

逆カップリング
あるカップリングに対して攻め受けが逆転したカップリング(A×Bに対してのB×Aのこと)[7]
リバーシブル(リバ)
攻め受けの立場が場合によって逆転するカップリング(A×BになったりB×Aになったりすること)。: リバーシブルは
  • 一つの世界線の中でA×BとB×Aが同時に成り立っている同軸リバ
  • A×BとB×Aとはあくまで別の世界線である別軸リバ
に分けられるが、実際は両者の区分は曖昧である。(その作品の中で直接描かれなくとも裏設定や未来で逆カップリングになっている可能性があるため。)
公式カップリング
原作ですでに恋仲であるキャラクター同士のカップリングのこと。
総攻め/総受け
相手にかかわらず常に攻め/受けとなるキャラクターのこと。同軸も別軸もある。

脚注 編集

  1. ^ 漫画アニメコンピュータゲームなどの登場人物であることが多いが、オリジナルのキャラクターであったり、実在の人物であることもある。本項において便宜的にキャラクターと総称する。
  2. ^ 海外のオタクの間で繰り広げられる「キャラクターのカップリング論争」が過熱して問題になっている”. Gigazine (2018年10月7日). 2021年5月24日閲覧。
  3. ^ 異性愛のカップリングで女性が能動的な場合は女性を攻めとして表記する場合もある。
  4. ^ 百合のカップリングでは、攻め・受けを明確に区別しないことがあるため、必ずしもこの限りではなく、×の後に攻めのキャラクターが表記される場合もある。
  5. ^ 渡辺由美子 (フリーライター) 「青少年漫画から見る「やおい」」『ユリイカ』2007年6月臨時増刊号、76頁。
  6. ^ 金田淳子 「ヤオイ・イズ・アライブ わかりたいあなたのための、やおいマンガ・マップ」『ユリイカ』 2006年1月号、169頁。
  7. ^ 野火ノビタ 『大人は判ってくれない―野火ノビタ批評集成』 日本評論社、2003年、235頁。ISBN 978-4535583672

関連項目 編集

外部リンク 編集