カラベリー結節carabelli cusp)はの形態異常、異常結節の一つ。上顎大臼歯及び上顎乳臼歯の近心舌側面に出現する過剰結節のこと[1]上顎第二乳臼歯第一大臼歯に好発する[1][2]研究者により定義が異なり、咬頭結節のみでなく、小窩なども表現型の変異であるとして定義に含めるとする研究者も存在する[2]

カラベリー結節
カラベリー結節

歴史 編集

1842年にゲオルク・カラベリー(<1787 - 1842>ハンガリー出身。オーストリアで皇室の御典歯科医、ウィーン大学歯科学講師を務める)により最初に報告された[1][3]とされるが、Rousseau(1827年)やAlbini(1755年)がすでに発見されていたとする説もある[2]

疫学 編集

かつてはコーカソイドに多いとされていたが、近年では集団間の違いは明らかではなくなってきている[2]。また、カラベリー結節を発生させる遺伝子も、かつては単一の遺伝子が原因と考えられてきたが、現在では多くの遺伝子が関与する多因子性の遺伝と考えられている[2]

臨床 編集

小窩や溝の場合、う蝕の好発部位となる[4]

脚注 編集

参考文献 編集

  • 赤井三千男 著「第5章 歯の異常」、赤井三千男編 編『歯の解剖学入門』(第1版)医歯薬出版、1990年5月31日、pp.131-148頁。ISBN 4-263-40572-2 
  • 恩田千爾「乳歯の形態異常」『歯科基礎医学会雑誌』第41巻第3号、歯科基礎医学会、1999年6月、163-170頁、doi:10.2330/joralbiosci1965.41.163ISSN 0385-0137NAID 110003165622 
  • 近藤信太郎、金澤英作、中山光子歯科人類学におけるカラベリー結節」『Anthropological Science (Japanese Series)』第114巻第1号、日本人類学会、2006年5月、63-73頁、doi:10.1537/asj.114.63ISSN 1344-3992NAID 10018145423 
  • 原著 藤田恒太郎、改訂 桐野忠大、山下靖雄『歯の解剖学』(第22版第6刷)金原出版、2000年1月30日。ISBN 4-307-45007-8