キュー・テック

かつて存在した日本のポストプロダクション

株式会社キュー・テック: Q-TEC, INC.)は、かつて存在した録画物のVTR編集、オフライン編集、ノンリニア編集、MA、Blu-ray Discなどのオーサリング等を手がけていた日本ポストプロダクション

株式会社キュー・テック
Q-TEC, INC.
種類 株式会社
市場情報 非上場
本社所在地 日本の旗 日本
107-0052
東京都港区赤坂6丁目14番15号
設立 1989年4月1日
業種 情報・通信業
法人番号 9010401054230 ウィキデータを編集
事業内容 録音、録画物の収録・編集及びスタジオの賃貸 他
代表者 代表取締役社長 古迫智典
資本金 9000万円
主要株主 メモリーテック・ホールディングス株式会社
外部リンク www.qtec.ne.jp ウィキデータを編集
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2022年10月1日に同じくメモリーテック・ホールディングス傘下であった株式会社ポニーキャニオンエンタープライズと合併し、新たに株式会社クープを設立した[1]。以降は、主要事業所の1つ「キュー・テックスタジオ」という扱いとなった。

沿革 編集

  • 1981年 - パイオニアレーザーディスクの製造・普及拡大を目的にレーザーディスク株式会社を設立。同時に音響・映像編集スタジオを設置。
  • 1989年 - レーザーディスク株式会社(同時期にパイオニアLDC株式会社に商号変更)から音響・映像編集スタジオを分離して発足。
  • 2003年 - パイオニアが筆頭株主となる。
  • 2004年 - パイオニアが経営不振に陥った時期を境にして、パイオニアから独立。
  • 2007年 - ポニーキャニオン三菱商事傘下で、音楽・映像メディアの生産委託を主力事業としているメモリーテック株式会社の系列になる。
  • 2008年11月 - リアルD社の3Dプレビューシステムを導入。編集スタジオとしてはアジア地域で初導入[2]
  • 2009年 - ゴンゾのデジタル映像事業を譲受。100%子会社として株式会社グラフィニカを設立。
  • 2010年12月 - 100%株主であるメモリーテック株式会社が持株会社制に移行し、社名がメモリーテック・ホールディングス株式会社となる。
  • 2011年 - 遊技機映像制作事業を行う株式会社バンブーマウンテンの株式を取得。子会社化。
  • 2016年 - 実写映像の制作プロダクション業務をスタート。
  • 2019年9月19日 - ドルビービジョン対応コンテンツの制作を開始。
  • 2022年10月1日 - 同じくメモリーテック・ホールディングス株式会社の100%子会社である株式会社ポニーキャニオンエンタープライズと合併。新たに株式会社クープを設立。

事業内容 編集

映像の企画・制作、撮影、編集、各種オーサリング、フィルム作品のフィルムスキャン、またはテレシネによるデジタル化及びリマスター等。

3D映像撮影・編集・2D-3D変換やBlu-ray Disc 3Dのオーサリング等、3D事業も行っている。

編集 編集

Smoke、Flame、Inferno、Avid、iQといったノンリニア編集システムと、Accom社のリニア編集システムを導入している。

CMやプロモーション映像、劇場映画、テレビアニメ等の編集を行っている。

テレビアニメでは、サンライズ作品や京都アニメーション作品、サテライト作品、studioぴえろ作品等。

2016年3月、映像編集ツール「Quantel Rio(grass valley社(旧英:Snell Advanced Media社製)」を中心としたUHD編集環境の整備を発表。

2019年9月、DOLBY VISIONの認証取得に伴い、対応コンテンツの制作環境を構築。

ディレクション 編集

アニメ作品のPV制作や総集編ディレクター、アニメ・ゲーム関連特番のディレクター等としてクレジットされている事がある。[3][4]

MA 編集

7.1ch、5.1chに対応したマルチチャンネルサラウンドMIXに対応。

「T032:テレビ放送における音声レベル(ラウドネス)運用基準」に対応。

オーサリング 編集

毎月平均240タイトル、DVD等のオーサリングを行っている。

同社で編集やリマスターを行った作品のオーサリングを行うことも多い。BD-LIVEやBlu-ray Disc 3D規格にも対応している。

2016年3月、オーサリングツール「Scenarist UHD(米 Scenarist社製)」とHEVCエンコーダー「ATEME TITAN(仏 Ateme 社製)」を導入済である事を発表。Ultra HD Blu-ray(UHD BD)に対応したとしている。

ステレオ3D 編集

3Dリグによる3D撮影と、独自技術による2D-3D変換を行っている。3D撮影には、2Kデジタルシネマカメラと垂直ミラーリグ、フラッシュメモリーレコーダーを組み合わせたシステムを使用。2D-3D変換は、自社開発プログラムと手作業の組み合わせとの事で、詳細は公表していない。編集・カラーグレーディングにはiQ Pabloを使用。プレビューは、RealD方式で行うことができる。

2D-3D変換においては、『とびだすアニメ!! ヒピラくん』が国際3Dアワード2011 Lumiere Japanをテレビ部門:アニメーションとして受賞、『キャプテンハーロック -SPACE PIRATE CAPTAIN HARLOCK-』が国際3D協会 ルミエール・ジャパン・アワード 2013にてグランプリを受賞した。[5]

主な3D撮影作品 編集

主な2D-3D変換作品 編集

FORS 編集

Faithful Original Signalの略称。当初は、マスタリング時の情報劣化を極限まで抑えるキュー・テック独自のオーサリングプロセスの名称として、2009年7月に発表された。

2013年9月、概念を拡大し、キュー・テックの高画質・高音質ブランドの総称とされた。その際、従来のオーサリングプロセスはFORS systemからFORSと改名され、その他にFORS MASTER PROCESSとFORS CINEMAが設けられた。

FORS MASTER PROCESSのカテゴリにはさらに、FORS EX PROCESS、FORS EX SOUND、FORS EX PICTUREがある。

FORS(高画質・高音質総合マスタリング・プレス技術) 編集

従来FORS systemと称されていた技術。マスタリング時の情報劣化を極限まで抑えるキュー・テック独自のオーサリングプロセス。

ハードディスクケースは筐体に中国産御影石の「山西黒」を3cm厚で採用し、振動による影響を低減。各機器間にはアイソレーショントランスを使用し、音や映像の信号以外をブロック。フルテック製コネクターを採用した電源ケーブルなどを使用している[6]

同社でオーサリングを行った一部の作品で使用されている。

2010年、Hiviグランプリ技術特別賞を受賞した[7]

主なFORS採用作品 編集

FORS EX PICTURE(高画質映像信号変換技術) 編集

従来、F.O.C.U.S(Fine Optimum Customization Up-convert System)=高画質HDリマスタリングアップコンと称されていた技術。FORSの定義拡大に伴い改名され(EX PICTURE HD)、同時にHDからHDの際にも採用可能になった他(EX PICTURE)、4Kへのアップコンバートにも対応した(EX PICTURE 4K)。独自のノウハウに基づいた技術で、ジャギーなどを極力排除したシャープな仕上がりになるとしている。SD映像を10項目以上にわたって診断し、作品特性にあわせた最適な方法でHD画質にアップコンバートを行うという。

そのプロセスが適用されている作品は以下の通り。

主なFORS EX PICTURE採用作品 編集

FORS EX SOUND(高音質音声エンコード技術) 編集

音質に特化したFORS。アップサンプリングにも対応。EX SOUNDとEX SOUND 96k、EX SOUND 128kがある。

主なFORS EX SOUND採用作品 編集

主なFORS EX SOUND 96k採用作品 編集

FORS CINEMA(高音質シネマ技術) 編集

デジタル原信号の高忠実伝送を追求したとのことで、ダビングステージで制作されたマスターサウンドクオリティをシアターで忠実に再現できるとしている。

主なFORS CINEMA採用作品 編集

CG / VFX 編集

Autodesk Maya、3DS Maxによる3DCG作成や、Autodesk Flameのコンポジット、Autodesk Smokeのフィニッシングなど。

子会社の株式会社グラフィニカでも、CG・VFX制作を行っている。

テレシネ / フィルムスキャン 編集

テレシネは、Spirit Data Cineによって行っているとしている。2011年にはARRISCANを導入し、4Kフィルムスキャンを推進している。4Kフィルムスキャンの採用作品は明らかにされていない。

なお、テレシネやフィルムスキャンと併せて、デジタルリマスタリングも行っている。

脚注 編集

  1. ^ 合併のお知らせ”. 株式会社キュー・テック、株式会社ポニーキャニオンエンタープライズ (2022年8月10日). 2023年1月13日閲覧。
  2. ^ キュー・テックが3D映像編集スタジオを導入”. ファイル・ウェブ. 2013年2月21日閲覧。
  3. ^ アニメモクロク”. 2022年3月31日閲覧。
  4. ^ アニメスタッフデータベース”. 2022年4月1日閲覧。
  5. ^ 先進映像協会 ルミエール・ジャパン・アワード 2013 受賞作品”. 先進映像協会 I3DAIS-J (2013年11月20日). 2013年2月21日閲覧。
  6. ^ 高音質&高画質を実現する「FORSシステム」で生まれ変わったブルーレイ「幻魔大戦」「ファイブスター物語」”. ファイル・ウェブ. 2013年2月21日閲覧。
  7. ^ キュー・テックのFORS systemがHiViグランプリ技術特別賞を受賞” (pdf). キュー・テック (2010年2月1日). 2013年2月21日閲覧。

関連項目 編集

外部リンク 編集