キンボスポンディルス学名:Cymbospondylus)は、2億4000万年前から2億1000万年前にあたる中生代三畳紀中期から後期にかけ生息していた原始的な初期の魚竜である。以前はシャスタサウルス科に分類されていたが、後にさらに原始的な位置づけとされた[1]

キンボスポンディルス
生息年代: 240–210 Ma
三畳紀中期から後期
C. buchseriの骨格
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
亜綱 : ?広弓亜綱 Euryapsida
?双弓亜綱 Diapsida
: 魚竜目 Ichthyosauria
: キンボスポンディルス科
Cymbospondylidae
: キンボスポンディルス
Cymbospondylus
学名
Cymbospondylus
Leidy1868
  • C. natans
  • C. germanicus
  • C. nevadanus
  • C. parvus
  • C. piscosus
  • C. grandis
  • C. petrinus
  • C. buchseri

発見 編集

化石はドイツアメリカ合衆国ネバダ州から発見されており、最初の種は1868年ジョゼフ・ライディにより命名された。全身骨格が発見されたのは1900年代初頭である。

生態 編集

 
復元図

キンボスポンディルスの全長は6メートルから10メートルに達し、最大の魚竜の1つであった[2]。同時に最も魚らしくない姿をした魚竜でもあり、背ビレも尾ビレ状になった尾も無かったが、他の魚竜と同様の細長い吻部は存在した[3]

キンボスポンディルスの頭部は1メートルにも達し[2]、巨大な顎には魚類およびベレムナイトアンモナイトのような頭足類を捕獲し押さえつけるための歯が並んでいた。長い尾は遊泳に適しており、キンボスポンディルスは高速で泳いで魚群を効率的に狩ることができた。

成体のキンボスポンディルスは沖合の深い海域での狩りに多くの時間を費やし、浅瀬に関しては繁殖や季節的に得られる獲物の狩りのために利用していただけに過ぎないと考えられている。水中生活のため産卵が不可能であったゆえ、他の魚竜と同様に胎生であった可能性がある[2]。成体の大きさまで成長したキンボスポンディルスを襲うことのできる捕食動物はほぼ存在しなかった。

キンボスポンディルスのウナギのような尾は体のほぼ半分の長さを占めており、最重要の遊泳器官だったと考えられている。キンボスポンディルスは現在のウミヘビのように体を左右にくねらせて遊泳していたと推測されている。ヒレ状の四肢は水中で体を安定させる重要な役割があり、遊泳速度を抑制していたとみられている[3]

出典 編集

  1. ^ Motani, R. 1999: Phylogeny of the Ichthyopterygia. Journal of Vertebrate Paleontology. 19 (3): 473 – 496
  2. ^ a b c Cymbospondylus”. BBC – Science & Nature. 2009年5月25日閲覧。
  3. ^ a b Palmer, D., ed (1999). The Marshall Illustrated Encyclopedia of Dinosaurs and Prehistoric Animals. London: Marshall Editions. p. 78. ISBN 1-84028-152-9