ギルギット・バルティスタン

パキスタンの行政区画

ギルギット・バルティスタンウルドゥー語: گلگت - بلتستان‎、英語: Gilgit-Baltistan)は、パキスタンの行政区画。カシミールの一地域にあたる。2009年8月29日までは北方地域ウルドゥー語: شمالی علاقہ جات‎、英語: Federally Administered Northern Areas、略称:FANA)と呼ばれていた[2]。首府はギルギット。人口は約150万人で、パキスタンの行政区画では最も少ない[1][2]

ギルギット・バルティスタン

گلگت بلتستان
Gilgit-Baltistān
東部にある三角地域(シアチェン氷河)は不明確。
東部にある三角地域(シアチェン氷河)は不明確。
北緯35度21分0秒 東経75度54分0秒 / 北緯35.35000度 東経75.90000度 / 35.35000; 75.90000
実効支配国 パキスタンの旗 パキスタン
設置 1970年7月1日
首府 ギルギット
政府
 • 種別 自治政府
 • 首長 ラジャ・ジャラル・フセイン・マクプーン英語版
 • 首相 ハリド・クルシッド英語版
面積
 • 合計 72,971 km2
人口
 • 合計 1,492,924人
 • 密度 20人/km2
等時帯 UTC+5 (パキスタン標準時)
ISO 3166コード PK-GB
ウェブサイト http://gilgitbaltistan.gov.pk/
Provincial symbols of Gilgit-Baltistan (unofficial)
Provincial sport
Provincial animal
Provincial bird
Provincial tree
Provincial flower
シアチェン氷河の位置

概要 編集

ギルギットバルティスタンから成り立ち、アザド・カシミールとともに「パキスタンの実効支配しているカシミール」(Pakistan-administered Kashmir)と呼ばれる。北側でアフガニスタン、北東側で中華人民共和国、南側でアザド・カシミール、南東側でインドジャンムー・カシミール連邦直轄領およびラダック連邦直轄領に境を接する。

パキスタン憲法ではギルギット・バルティスタンをパキスタンの一部として扱っておらず、法的には州ではない。2020年11月1日にパキスタンのイムラン・カーン首相が地域から準州への格上げを表明しているが、憲法改正を要する[3]。2021年に地域議会は準州昇格の支持を表明したが[4]、カーン首相の退陣によりプロセスは停滞している[5]

なお、ギルギット・バルティスタンとされている地域の東部にあるシアチェン氷河Siachen Glacier)はインド軍との最前線であり、ギルギット・バルティスタンとはまた別とされるとこがある。

地域全体にカラコルム山脈の急峻な山々が続き、その間をインダス川とその支流が流れる。地域の中央部を南北にカラコルムハイウェイが貫く。

歴史 編集

ナガル藩王国英語版14世紀-1974年)、フンザ藩王国英語版15世紀-1974年)が建国された。

1877年en:Gilgit Agencyを設置。 1891年イギリス領インド帝国がナガル藩王国とフンザ藩王国に侵攻したフンザ・ナガル戦争英語版が勃発。

行政区画 編集

ギルギット・バルティスタンは、バルティスタン、ディアミール、ギルギットの3つの管区に分けられ[6]、さらに14の県に分けられる。

管区 面積 (km2)[1] 県都 人口 (2017年)[1] 管区所在地
バルティスタン ガンチェ県英語版 8,531 カプルー英語版 160,000 スカルドゥ
シガール県英語版 8,900 シガール英語版 70,000
カルマン県英語版 2,700 カルマン英語版 50,000
スカルドゥ県英語版 7,100 スカルドゥ 260,000
ロンドゥ県英語版 NA Dambudas NA
ギルギット ギルギット県英語版 4,208 ギルギット 290,000 ギルギット
ギザル県英語版 12,381 ガクーチ英語版 170,000
フンザ県英語版 10,109 アリアバード英語版 50,000
ナガル県英語版 4,137 ナガル 70,000
グピス・ヤシーン県英語版 NA イシュコマン英語版 NA
ディアミール ディアミール県英語版 7,234 チラス 270,000 チラス
アストレ県英語版 5,411 Eidghah 100,000
ダレル県英語版 NA ダレル英語版 NA
タンギル県英語版 NA タンギル NA

主な都市 編集

経済 編集

 
スカルドゥ県英語版で産出するリシア電気石
 
ギルギット県英語版で産出するアクアマリン・ベリル

リシア電気石アクアマリン・ベリルなどが採れる。

住民 編集

民族 編集

ダルド人英語版(en:Shina people, en:Shin of Hindukush、Kohistani)、Yashkun、カシミール人、Kashgari、パシュトゥーン人(Pathan)。

言語 編集

ウルドゥー語リングワ・フランカで、ほとんどの住民が理解出来る。住民の60%は、シナー語(方言:Asturjaa, Kharuchaa, chilasi)を、ギルギット, アストレ, ディアミールのほとんど, ギザルのいくつかの地区で話す。バルティ語ワハン語コワール語ブルシャスキー語ドマー語パシュトー語

カシミール語も少数存在する。

宗教 編集

ほとんどがムスリムで、シーア派が多数。他にスンナ派イスマーイール派en:Sufia Nurbakhshiaがいる。

出典 編集


関連項目 編集

外部リンク 編集

座標: 北緯35度21分 東経75度54分 / 北緯35.35度 東経75.9度 / 35.35; 75.9