ギ酸メチル(ギさんメチル、Methyl formate)とは、蟻酸メタノールとが脱水縮合してエステルを形成した化合物である。エーテル様の香りを持つ透明の液体で、蒸気圧は高く、表面張力は小さい。引火点が-19 ℃と極めて引火しやすく[1]、日本の消防法では第4類危険物の特殊引火物に該当する[2]またヒトに対して有毒である[1]

ギ酸メチル
識別情報
CAS登録番号 107-31-3 チェック
PubChem 7865
特性
化学式 C2H4O2
モル質量 60.05 g mol−1
密度 0.98 g/cm3
融点

-100 °C, 173 K, -148 °F

沸点

32.5 °C, 306 K, 91 °F

危険性
安全データシート(外部リンク) Oxford MSDS
EU分類 非常に強い可燃性(F+); 有害(Xn)
関連する物質
関連するギ酸エステル ギ酸エチル
ギ酸ブチル
ギ酸イソブチル
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

合成 編集

実験室レベルでは、ギ酸メチルはメタノールと蟻酸の縮合反応によって作られる。

 

しかし工場レベルでは、強塩基の存在下でメタノールと一酸化炭素を反応させて作られる。

 

利用 編集

ギ酸メチルはホルムアミドN,N-ジメチルホルムアミドの合成の原料として用いられる。高い蒸気圧を利用して速乾剤に用いられる他、殺虫剤やある種の薬剤の原料にも使われる。歴史的には冷却材としても用いられていた。より安全な冷却材が開発されるまで、ギ酸メチルは二酸化硫黄に代わって冷蔵庫用の冷却に使われた。

出典 編集

  1. ^ a b 安全データシート(ぎ酸メチル)
  2. ^ 法規情報 (東京化成工業株式会社)

参考文献 編集