p-クマル酸
IUPAC名3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロペノン酸
別名4-ヒドロキシケイ皮酸、
β-(4-ヒドロキシフェニル)アクリル酸
分子式C9H8O3
分子量164.15
CAS登録番号7400-08-0
融点210-213 °C
SMILESOC(/C=C/C1=CC=C(O)C=C1)=O

クマル酸(クマルさん、Coumaric acid)は、ケイ皮酸水酸基がついた構造を持つ有機化合物である。フェニル基の水酸基の位置によって、o-クマル酸、m-クマル酸、p-クマル酸の3種類の異性体がある。この中で、p-クマル酸が天然に最も多く存在する。o-クマル酸は別名:クマリン酸(Coumaric acid)と呼ばれることもあるが、英語名 Coumalic acid のクマリン酸とは異なる。

性質 編集

p-クマル酸は、結晶性で固く、水にはわずかしか溶けないが、エタノールジエチルエーテルには良く溶ける。

p-クマル酸には酸化防止剤の効果があるため、発癌性のあるニトロソアミンの生成を抑えることにより[1]胃癌のリスクを減らすと考えられている[2]

生合成 編集

p-クマル酸が還元されてできるp-クマリルアルコールは、シナピルアルコールコニフェリルアルコールとともにモノリグノールと呼ばれ、リグニンの主要モノマーである。チトクロームP450の一種である4-ケイ皮酸ヒドロキシラーゼ(CYP73A, trans-cinnamate 4-hydroxylase, trans-cinnamate 4-monooxygenase, EC 1.14.13.11, 反応)の作用により、p-クマル酸はケイ皮酸から生合成される。

存在 編集

p-クマル酸は、ピーナツ、トマト、ニンジン、ニンニクなどの食用植物中にも広く含まれている。

o-クマル酸は配糖体として植物に存在し、これが分解すると閉環してクマリンの葉などの香り)となる。

関連項目 編集

出典 編集

  1. ^ "Reaction of p-hydroxycinnamic acid derivatives with nitrite and its relevance to nitrosamine formation. Kikugawa, Kiyomi; Hakamada, Tomoko; Hasunuma, Makiko; Kurechi, Tsutao Journal of Agricultural and Food Chemistry (1983), 31(4), 780-5.
  2. ^ Antioxidant and antigenotoxic effects of plant cell wall hydroxycinnamic acids in cultured HT-29 cells. Ferguson Lynnette R; Zhu Shuo-tun; Harris Philip J. Molecular Nutrition & Food Research (2005), 49(6), 585-93.