クロサンショウウオ(黒山椒魚、Hynobius nigrescens)は、両生綱有尾目サンショウウオ科サンショウウオ属に分類される有尾類。

クロサンショウウオ
クロサンショウウオの幼生・2010年8月
保全状況評価
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
 準絶滅危惧(NT)環境省レッドリスト
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 両生綱 Amphibia
: 有尾目 Urodela
亜目 : サンショウウオ亜目
Cryptobranchoidea
: サンショウウオ科 Hynobiidae
: サンショウウオ属 Hynobius
: クロサンショウウオ
H. nigrescens
学名
Hynobius nigrescens
Stejneger, 1907
和名
クロサンショウウオ
英名
Japanese black salamander

分布 編集

日本青森県秋田県石川県茨城県北部、岩手県岐阜県群馬県埼玉県北西部、栃木県富山県長野県佐渡島含む新潟県福井県福島県山形県固有種

形態 編集

 
成体

全長13-16cm。体色は暗褐色。種小名nigrescensは「黒っぽい、黒がかった」の意。胴体の左右側面にそれぞれ入る皺(肋条)は11本。尾は長く縦に平たい。四肢は長い。

いわゆる止水性のサンショウウオで幼体は3対の外鰓と眼下部にバランサーと呼ばれる器官を持つ。バランサーの用途は不明だが前肢が生えると消失する。

近年の研究ではカスミサンショウウオに近縁であることが判明している。

生態 編集

山地にある森林に生息する。夜行性で昼間は石や落ち葉の下に隠れて休む。天敵としては肉食性の鳥類哺乳類水生昆虫アメリカザリガニ等が挙げられる。

食性は肉食性で昆虫類節足動物ミミズ等を食べる。

繁殖形態は卵生で、2-7月に、水溜り、湿地等に、透明な層と白い層に包まれ、アケビの果実のような形で20-80個の卵を収めた卵のうを1対産む。このため卵のうは白色不透明であり、全体が透明な多くのサンショウウオのものと外見が異なる。卵のうの先端は柄のようになりこの部分を水草や枝等に付着させる。

生活環境 編集

卵は4-5週間で孵化し幼生になる。幼生は貪欲で小型の水生昆虫や甲殻類ミミズ等を食べるが、しばしば共食いをする。

通常年内に変態し幼体になり、陸上生活を送るようになる。しかし幼生のまま越冬し翌年に変態する個体もいる。

人間との関係 編集

環境破壊による生息場所や産卵場所の減少により生息数は激減している。またアライグマやアメリカザリガニといった、人間に持ちこまれた外来種による食害も生息数の減少の一因になっている。卵は止水にあるためか場所によってはたやすく発見できるが、それでも大規模な繁殖場所は少ない。

山形県鶴岡市の気比神社では池に産まれるクロサンショウウオの卵をカイコに見立ててまつる。

関連項目 編集

外部リンク 編集

  • Kaneko, Y. & Matsui, M. 2004. Hynobius nigrescens. In: IUCN 2006. 2006 IUCN Red List of Threatened Species.