クロタル(Crotale)は、フランストムソンCSF社(現:タレス社)製の対空ミサイルである。

XA-180車体上のクロタル

短射程・軽量であることから、短距離防空ミサイルおよび個艦防空ミサイルとして運用される。

“Crotale”とはフランス語ガラガラヘビ、もしくはその名の元になった打楽器の一種を意味する。

概要 編集

イギリスによる開発を拒絶された南アフリカ国防軍の要請によって、移動式地対空ミサイルとして1964年より開発が開始された。マトラ社のミサイルトムソンCSFのシステムにより構成されたシステムが、1971年よりカクタス(Cactus)の名称で配備が開始された。なお、南アフリカ共和国が開発費用の85%を負担している。同時期にフランス空軍がカクタスのテストを行い、これを採用したものがR.440 クロタルである。その後、フランス海軍でもクロタル EDIR(クロタル Naval)として採用されている。

地上型のクロタルは、P-4 R(プジョー・P4とは無関係)と呼ばれる車両の上部にFCSを配し、FCSの左右に各2発のミサイルを装備して運用される。そして、2-3両につき1両のレーダー車両が加わり、対空戦闘を支援する形となっている。

艦船搭載型のクロタル EDIR (フランス語: Ecartométrie Différentielle InfraRouge:赤外線熱量差探知方式の意)は、8発の即応弾に18発の予備弾を組み合わせたシステムである。

バリエーション 編集

クロタルは、採用後も発展を続け、様々なバリエーションが存在する。

クロタル 1000/2000/3000/4000/5000
1000は初期型。2000以降は、IFFデータリンクなどの機能増強を行った発展型。
クロタル エヴォリュエ(Crotale évolué
電子戦に対応した発展型。
シャヒーンシステム(Système Shahine
サウジアラビア向け。AMX-30戦車車台を利用し、6連装化した装甲型。
クロタル NG(Crotale Nouvelle Génération
ミサイルをローランドと共通のタレス社製VT-1に変更して8連装化し、電子機器を一新した新世代型。

そのほか、中国HQ-7対空ミサイルはクロタルのコピーであるとされている。また、トムソンCSFの協力を得て1989年7月から開発した韓国KSAM天馬[1]はクロタル NGの派生型である。

要目 編集

R.440 クロタル クロタル NG
画像    
種類 短距離防空ミサイル/個艦防空ミサイル
ミサイル マトラ R.440 タレス VT-1
全長 2.89m 2.35m
直径 150mm 165mm
全幅 540mm
重量 84kg 76kg
弾頭 高性能炸薬(15kg) 高性能炸薬(13kg)
射程 13,000m 11,000m
射高 5,500m 6,000m
推進方式 固体燃料ロケット
誘導方式 CLOS誘導
速度 M2.3 M3.5

脚注 編集

  1. ^ KSAM自走地対空ミサイル「天馬」 - 日本周辺国の軍事兵器

関連項目 編集

外部リンク 編集