グンバイナズナ (遏藍菜[1]Thlaspi arvense) は、アブラナ科一年生植物 (越年草) である。ヨーロッパ原産である[2]が、日本北アメリカなどに帰化植物として定着している[3]

グンバイナズナ
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: フウチョウソウ目 Dilleniidae
: アブラナ科 Brassicaceae
: グンバイナズナ属 Thlaspi
: グンバイナズナ T. arvense
学名
Thlaspi arvense L.
和名
グンバイナズナ
英名
Field Penny-cress

特徴 編集

草高は約10-60cm[2]。葉は長卵形で、やや厚く光沢がある。葉柄は長く、葉全体は軍配型となる。冬期には葉はロゼットとなる。花期は4-6月で、花弁は2-5mm[2]。果実は広卵形または円形で、長さ1.0-1.8cm[2]

和名は果実が軍配の形に似ていることに由来する[4]

利害 編集

サラダの材料やサンドイッチの具などとして食用にされることがある。ただし生では苦いため、油通ししてから食されることもある。またバイオディーゼル燃料の原料にされることもある[5]

亜鉛を含む土壌を好む傾向があり、燃やした後に残った灰のうち16パーセントは亜鉛である。このような土壌に耐えられる植物は他にはあまり存在しないため、古来より中国ではグンバイナズナの群生地は亜鉛採取の指標とされた[6]

一方雑草として扱われることも多く、収穫された麦などの穀物の中にグンバイナズナの種子が混入する例も知られている[7]

脚注 編集

  1. ^ 『難訓辞典』東京堂出版、1956年。 
  2. ^ a b c d 佐竹義輔大井次三郎北村四郎『フィールド版 日本の野生植物 草本』(1985年、平凡社)II-p.54
  3. ^ 久志博信『「山野草の名前」1000がよくわかる図鑑』主婦と生活社、2010年、19ページ、ISBN 978-4-391-13849-8
  4. ^ 岩槻秀明『街でよく見かける雑草や野草がよーくわかる本』秀和システム、2006年11月5日。ISBN 4-7980-1485-0  p.135
  5. ^ Wild Pennycress Harvest Yields 1000 Lbs Per Acre(2011年7月21日閲覧)
  6. ^ ロバート・テンプル著、牛山輝代訳『中国の科学と文明』河出書房新社、2008年、改訂新版。ISBN 9784309224862、pp.265-266.
  7. ^ 浅井元朗,黒川俊二,清水矩宏 (2004) 「輸入冬作穀物原体に混入していた雑草種子の同定」Grassland Science, 50 pp.466-467