ケル・キャラザースKelvin "Kel" Carruthers, 1938年1月3日 - )は、オーストラリアシドニー出身の元オートバイレーサー。1969年ロードレース世界選手権250ccクラスチャンピオンである[1]。現役引退後はメカニック、チーム・マネージャーとしても成功を収めた。

ケル・キャラザース
グランプリでの経歴
国籍 オーストラリアの旗 オーストラリア
活動期間 1966 - 1970
チーム アエルマッキベネリヤマハ
レース数 56
チャンピオン 250cc - 1969
優勝回数 7
表彰台回数 22
通算獲得ポイント 302
ポールポジション回数 0
ファステストラップ回数 8
初グランプリ 1966 350cc アルスター
初勝利 1969 250cc マン島
最終勝利 1970 250cc アルスター
最終グランプリ 1970 250cc スペイン
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経歴 編集

オートバイショップを営む両親のもとに生れたキャラザースは、幼い頃からオートバイに慣れ親しんで育った[2]

1960年代前半に125cc、250cc、350cc、500ccの各クラスのオーストラリア国内チャンピオンになった後、家族と共にヨーロッパに渡り、アエルマッキファクトリー・チームからロードレース世界選手権に参戦を開始した[2]

1969年ベネリのファクトリー・チームに移籍したキャラザースは、ケント・アンダーソンサンチャゴ・ヘレロとの熾烈なタイトル争いを制し、250ccクラスのワールドタイトルを獲得した[1][2]

1970年のシーズン終了後、キャラザースは活動の場をアメリカに移す。ケニー・ロバーツという若いアメリカ人ライダーを育てて欲しいという、ヤマハからのオファーに応えてのことだった[2]。1973年には現役ライダーとしては引退し、USヤマハチームでロバーツのチーフメカニックとなった。

キャラザースの指導を得てロバーツは1973年、1974年と2年連続でAMAグランドナショナルチャンピオンとなった。この時はダートトラックだけはハーレーダビッドソンのマシンの方が速かったのだが、ヤマハはハーレーと争う道を選ばず、やがてロードレース世界選手権を戦うためにロバーツとキャラザースをヨーロッパに送り込んだ[2]。そしてロバーツは1978年から3年連続で500ccクラスワールドタイトルを獲得したのである。

1978年のロバーツはコース習熟のために250ccクラスにもエントリーしていたが、この時乗っていた市販マシンTZ250にはフレームをはじめ随所にキャラザースの手が加えられていた。このスペシャルTZはヤマハの開発ライダーの評価も高く、次期モデルのフレームの参考にされた[3]

ロバーツの引退後は、エディ・ローソンの500ccタイトル獲得をサポートした。

1995年までいくつかのグランプリチームを渡り歩いたキャラザースは、1996年から水上バイクレースのシードゥー・ファクトリーチームに加わり、いくつかの国内タイトルや世界タイトルの獲得に貢献した[2]。1998年にはモーターサイクルレースの世界に戻り、モトクロスレースでヤマハのサテライトチームを運営した[2]

1985年にオーストラリア・スポーツ殿堂入り[4]、1999年にはAMAモーターサイクル殿堂入りを果たした[2]

ロードレース世界選手権での戦績 編集

  • 凡例
  • ボールド体のレースはポールポジション、イタリック体のレースはファステストラップを記録。
クラス チーム 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 ポイント 順位 勝利数
1966 125cc ホンダ SPA
-
GER
-
NED
-
DDR
-
CZE
-
FIN
8
ULS
8
IOM
12
ITA
7
JPN
-
0 - 0
350cc ノートン GER
-
FRA
-
NED
-
DDR
-
CZE
-
FIN
4
ULS
-
IOM
NC
ITA
-
JPN
-
3 18位 0
500cc ノートン GER
-
NED
-
BEL
-
DDR
-
CZE
-
FIN
-
ULS
-
IOM
11
ITA
-
0 - 0
1967 125cc ホンダ SPA
-
GER
-
FRA
-
IOM
5
NED
-
DDR
-
CZE
-
FIN
5
ULS
4
ITA
7
CAN
-
JPN
-
7 8位 0
250cc スズキ SPA
-
GER
-
FRA
-
IOM
12
NED
-
BEL
-
DDR
-
CZE
-
FIN
-
ULS
-
ITA
-
CAN
-
JPN
-
0 - 0
350cc アエルマッキ GER
5
IOM
10
NED
6
DDR
4
CZE
-
ULS
4
ITA
-
JPN
-
9 7位 0
500cc ノートン GER
-
IOM
NC
NED
-
DDR
-
CZE
-
ULS
-
ITA
-
JPN
-
0 - 0
1968 125cc ホンダ GER
6
SPA
-
IOM
3
NED
-
DDR
-
CZE
-
FIN
-
ULS
6
ITA
-
6 10位 0
250cc アエルマッキ GER
-
SPA
-
IOM
NC
NED
-
BEL
-
DDR
-
CZE
-
FIN
-
ULS
-
ITA
-
0 - 0
350cc アエルマッキ GER
3
IOM
NC
NED
-
DDR
3
CZE
4
ULS
2
ITA
-
17 3位 0
500cc ノートン GER
-
SPA
-
IOM
6
NED
5
BEL
5
DDR
-
CZE
-
FIN
-
ULS
6
ITA
6
7 11位 0
1969 125cc アエルマッキ SPA
6
GER
10
FRA
-
IOM
2
NED
-
BEL
-
DDR
-
CZE
9
FIN
-
ITA
-
YUG
-
20 10位 0
250cc ベネリ SPA
-
GER
-
FRA
-
IOM
1
NED
2
BEL
3
DDR
5
CZE
3
FIN
4
ULS
1
ITA
2
YUG
1
89 1位 3
350cc アエルマッキ SPA
2
GER
6
IOM
NC
NED
7
DDR
7
CZE
7
FIN
-
ULS
-
ITA
-
YUG
-
29 7位 0
500cc アエルマッキ SPA
-
GER
8
FRA
-
IOM
NC
NED
-
BEL
-
DDR
-
CZE
-
FIN
-
ULS
-
ITA
-
YUG
-
3 44位 0
1970 250cc ヤマハ GER
1
FRA
-
YUG
-
IOM
1
NED
-
BEL
2
DDR
-
CZE
1
FIN
-
ULS
1
ITA
2
SPA
-
84 2位 4
350cc ヤマハ GER
2
YUG
2
IOM
NC
NED
4
DDR
3
CZE
4
FIN
4
ULS
-
ITA
-
SPA
-
28 2位 0

脚注 編集

  1. ^ a b Kel Carruthers - The Official MotoGP Website
  2. ^ a b c d e f g h Kel Carruthers - Motorcycle Hall of Fame(英語)
  3. ^ 『レーサーズ Vol.02』(2009年、三栄書房)ISBN 978-4-7796-0821-6(p.72)
  4. ^ SPORT AUSTRALIA HALL OF FAME(英語)

関連項目 編集

外部リンク 編集