コレペティートルドイツ語: Korrepetitor / フランス語: corépétiteur)は、歌劇場などでオペラ歌手バレエダンサーにピアノを弾きがら音楽稽古をつけるコーチを言う。日本では「コレペティトール」と呼称、表記されることも多い[1][2]。本来は裏方であり、本番の舞台に立つピアニストではないが、最近では伴奏ピアニスト兼任者も増えてきている。ドイツ語圏では、実際には「コレペティートーア[3][4]」と発音され、「レペティートーア[5]」(Repetitor)とも呼ぶ。英語圏ではフランス語に由来する「レペティトゥール」(繰り替えす人)という言い方が用いられる。給料の面ではソリスト扱いである。

オペラにおいては、各配役に対して実際の公演の際のオーケストラが奏でる音をピアノで演奏し、個人練習の伴奏と助言をすることで、歌手の譜読みや暗譜、更に発音矯正の手助けをし、音楽への理解を深めさせる仕事である。その職に必要とされる言語も最近はフランス語イタリア語ドイツ語だけではなくてロシア語までは最低要求される。ただ単にピアノ譜を弾くだけでは済まず、オーケストラ・スコアでの初見演奏・移調・プレストの弾き歌いや穴埋めまで要求される。

かつての名指揮者は、キャリアのスタートをこの職から始めることが多かった。ヴィルヘルム・フルトヴェングラーヘルベルト・フォン・カラヤンゲオルク・ショルティなどは、若い頃この職を経験している。現在の指揮者はコンクールでの入賞をきっかけに活動を行う人が多くなったが、それでも、ウルフ・シルマーファビオ・ルイジクリスティアン・ティーレマン、日本の児玉宏上岡敏之のように、この職からたたき上げた指揮者も存在する。

脚注 編集

  1. ^ ウィーン国立歌劇場コレペティトールのある日のスケジュール
  2. ^ ピアノという仕事 Vol.1 河原忠之
  3. ^ [kɔrepe'ti:to:ɐ] Duden Das Aussprachewörterbuch (6 ed.). Dudenverlag. (2005). p. 482. ISBN 978-3-411-04066-7 
  4. ^ Forvo. “Korrepetitor の ドイツ語 の発音”. Forvo.com. 2019年5月30日閲覧。
  5. ^ [repe'ti:to:ɐ] Duden Das Aussprachewörterbuch (6 ed.). Dudenverlag. (2005). p. 673. ISBN 978-3-411-04066-7