コンスタンス・ケニオー

コンスタンス・アドルフィン・ケニオー[注釈 1](Constance Adolphine Quéniaux、1832年7月9日 – 1908年4月7日)は、パリ・オペラ座バレエのダンサー。ギュスターヴ・クールベの絵画『世界の起源』のモデルと目されている。

コンスタンス・ケニオー

Constance Quéniaux
コンスタンス・ケニオー(1861年)
生誕 (1832-07-09) 1832年7月9日
フランスの旗 フランス王国エーヌ県サン=カンタン
死没 (1908-04-07) 1908年4月7日(75歳没)
フランスの旗 フランス共和国パリ
国籍 フランスの旗 フランス
職業 ダンサー、高級娼婦、慈善家、モデル
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来歴 編集

1832年7月9日、サン=カンタンでマリー・カトリーヌ・ケニオーの娘として生まれる[1]。母親はシングルマザーで、貧困の中で育った。1847年にパリ・オペラ座のバレエ団に加わり、端役を与えられた[2]。彼女はクラウディナ・クーキと共にセカンド・ソリストの地位にまで上ぼり、高評価を受けた[3]

彼女はダンスの仕事と売春を結びつけた。34歳でオペラ座を引退し、オスマン帝国の外交官ハリル・シェリフ・パシャ英語版の寵愛を得た[4]

ジュール=エミール・サンタン英語版による肖像画(1867年)などのモデルを務めた[5]

後半生のケニオーは裕福で、カブールに別荘を所有していた[6]。慈善家になり、例えば孤児になったり捨てられた芸術家の子供たちのための孤児院(L'Orphelinat des Arts)を積極的に支援した[7]

1908年4月7日、パリで死去。彼女の意向によりクールベの椿の絵が遺贈された。この花はアレクサンドル・デュマ・フィスの『椿姫』の出版以来、高級娼婦と関連付けられていた[4][8]

世界の起源 編集

ハリル・シェリフ・パシャは著名な美術コレクターであった。彼は自身が「幸運のお守り」と呼んだケニオーの絵をギュスターヴ・クールベに依頼した。『世界の起源』はモデルの顔を隠している。当時はモデルの身元は知られていたが、ケニオーが尊敬を集めるようになるにつれて情報は失われた。専門家は長年に亘り、クールベの恋人であったアイルランドのモデル、ジョアンナ・ヒファーナンを絵のモデルとして特定してきた[4]

2018年、この絵に言及したアレクサンドル・デュマ・フィスとジョルジュ・サンドの書簡が、フランスの歴史家クロード・ショップによって発見された。そこには「オペラ座のミス・ケニオーの最も繊細で、最も堂々とした秘部を描いた人はかつていなかった」と書かれている。これは、ケニオーがクールベの(遊女に関連する)椿の絵を遺贈したことと相まって、コンスタンス・ケニオーがクールベのモデルであったことを強く示唆している[4]

ギャラリー 編集

参考文献 編集

  • Claude Schopp (2018). L'Origine du Monde : Vie du Modèle. Paris: Phébus. ISBN 978-2-7529-1178-0 

注釈 編集

  1. ^ クニョーとも訳される。実際の発音はケニョーに近い。

脚注 編集

  1. ^ Constance L'origine du monde”. Geneanet. 2021年9月11日閲覧。
  2. ^ Théophile Gautier; Ivor Guest (1995). Ecrits sur la danse. Actes Sud. p. 254. ISBN 978-2-7427-0232-9. https://books.google.com/books?id=EiISecLFtrEC 
  3. ^ Edwin Binney (1965). Les Ballets de Théophile Gautier. Libr. Nizet. p. 296. https://books.google.com/books?id=GykoAAAAMAAJ 
  4. ^ a b c d “Mystery solved? Identity of Courbet's 19th-century nude revealed”. The Guardian. Agence France-Presse. (2018年9月25日). https://www.theguardian.com/artanddesign/2018/sep/25/origin-of-gustave-courbet-scandalous-painting-revealed 2021年9月11日閲覧。 
  5. ^ Explication des ouvrages de peinture, sculpture, architecture, gravure, dessins, modeles. Veuve Hérissany. (1867). p. 283. https://books.google.com/books?id=IsxPAQAAIAAJ&pg=PA283 
  6. ^ Mademoiselle Constance Quéniaux, la femme à "L'Origine du monde"”. France Culture (2018年9月25日). 2021年9月11日閲覧。
  7. ^ Ludivine Trichot (2018年9月26日). “Le fabuleux destin de Constance Quéniaux, la femme représentée dans L'Origine du monde”. Le Figaro. http://www.lefigaro.fr/arts-expositions/2018/09/25/03015-20180925ARTFIG00192-le-fabuleux-destin-de-constance-queniaux-la-femme-representee-dans-l-origine-du-monde.php 2021年9月11日閲覧。 
  8. ^ Adam Sage (2018年9月26日). “Riddle of Gustave Courbet's nude in L'Origine du Monde finally solved”. The Times. https://www.thetimes.co.uk/article/riddle-of-gustave-courbet-s-nude-in-l-origine-du-monde-finally-solved-ls7pp6hp6 2021年9月11日閲覧。