サイシン(菜心、学名:Brassica rapa var. utilis)は、アブラナ科アブラナ属二年生植物ハクサイの変種[1]。中国では菜心(ツアイシン)、菜苔(ツアイタイ)、油菜心(イウツアイシン)などとよばれている中国野菜の一種で、花蕾がついた茎と葉を食べる。

サイシン
サイシン
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: フウチョウソウ目 Brassicales
: アブラナ科 Brassicaceae
: アブラナ属 Brassica
: ラパ B. rapa
変種 : サイシン B. r. var. utilis
学名
Brassica rapa var. utilis
シノニム
  • Brassica campestris var. utilis
和名
サイシン(菜心)
英名
Choy sum
Choi sum

原産地 編集

ヨーロッパ原産で、中国華中で分化した[1]中国では代に普及し、中国野菜となっている。

名称 編集

日本では菜心をそのまま日本式に発音し「サイシン」と読み、これは中国語での読み方(càixīn)とも対応する。英語ではChoy Sumと呼ばれるが、これは広東語での呼び方に由来する。

栽培 編集

種まきから花蕾が出るまで30 - 70日ほどかかる様々な品種があり、大別すると早生晩生に分けられる[1]。多くは早生種が栽培されている[1]。低温に合わせなくとも花芽を分化する性質があり、季節とは無関係に年間を通じで(とう)立ちする[1]。暑さに強く、夏でもよく育つ[1]。冬でも簡単な霜よけをすれば栽培できる[1]

畑は、良質な花茎を得るために、質のよい堆肥を十分に施しておく[2]。溝まきの場合は、60 cmほのど間隔で幅15 cmのまき溝をつくり、そこに種が重ならないようにまんべんなくまく[2]。条まき(筋まき)の場合は、平らな畝をつくって深さ1.5 cmほどの筋をつくり、そこに1.5 - 2 cm間隔で種をまく[2]。芽が出たら間引きをして、早取りでは10 cm間隔、大株どりでは20 cm間隔になるようにする[3]追肥本葉5 - 6枚ごろからはじめ、列の片側わきに肥料をばらまいて土と混ぜ合わせる[3]。2回目は草丈10 - 12 cmのころに行い、列の中央に肥料をばらまいて中耕する[3]。収穫は、薹が伸びて最初の花が1 - 2個咲いたころに株ごと抜いて行うのが一般的である[1]。また、株元の下葉を数枚残して刈り取ると、脇芽が伸びてくるので、これを収穫することで長期的に収穫することもできる[1]。花茎が伸ばし始めたころからの乾燥は禁物で、灌水を怠らないようにして、太くてやわらかい花茎を伸ばす[1]

温帯夏雨気候に属する広東省での生産が多い。日本では、夏から秋にかけて収穫できる。ただし、増城市で生産されるようになった「遅菜心」は栽培時期が遅く、冬場に出回る。[4]

料理 編集

花茎若葉蔬菜にする。薹立ちしての付いたを食したり、株ごと収穫したりして食べる。

くせがないので、炒め物和え物汁の実酢味噌和え酢の物漬物おひたしなど様々な料理に利用できる。

脚注 編集

  1. ^ a b c d e f g h i j 板木利隆 2020, p. 326.
  2. ^ a b c 板木利隆 2020, p. 327.
  3. ^ a b c 板木利隆 2020, p. 328.
  4. ^ 廣東增城出產新品質「遲菜心」 - aTV 亞視新聞

参考文献 編集

  • 板木利隆『決定版 野菜づくり大百科』家の光協会、2020年3月16日、326 - 329頁。ISBN 978-4-259-56650-0 

外部リンク 編集