サンアディユ(欧字名:Sans Adieu2002年3月26日 - 2008年3月9日)は、日本競走馬[1] 。主な勝ち鞍は2007年セントウルステークスアイビスサマーダッシュ京阪杯

サンアディユ
京葉Sパドック(2007年4月14日)
欧字表記 Sans Adieu[1]
品種 サラブレッド[1]
性別 [1]
毛色 鹿毛[1]
生誕 2002年3月26日[1]
死没 2008年3月9日(6歳没)
フレンチデピュティ[1]
シェリーザ[1]
母の父 Caerleon[1]
生国 日本の旗 日本北海道門別町[1]
生産者 下河辺牧場[1]
馬主 松岡隆雄[1]
調教師 音無秀孝栗東[1]
競走成績
生涯成績 18戦8勝[1]
獲得賞金 2億4212万4000円[1]
勝ち鞍
GII セントウルS 2007年
GIII アイビスサマーD 2007年
GIII 京阪杯 2007年
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馬名の意味は、「さよならは言わないで()」。

戦績 編集

2005年4月17日、阪神競馬場にて3歳で遅いデビューを迎え、4着。休養を経ての3戦目で初勝利を挙げ、以後一貫してダートの競走を走り続ける。その後しばらく条件クラスで低迷していたが、4歳夏からの3戦で3連勝を遂げてオープン昇格を果たす。しかし2007年に入り、ガーネットステークスで初の重賞に挑戦するもこのクラスではなかなか自分の型に持ち込むことができず、続く京葉ステークスとも立て続けに大敗を喫した。

引退(地方競馬移籍)も囁かれるなか、短期放牧を挟んで初めての芝コースとなるアイビスサマーダッシュに出走。鞍上の村田一誠が同馬初騎乗ということもあり13番人気の低評価であったが、それまで先行策一辺倒だったイメージを払拭する中団からの差し切りを演じて快勝。5歳にして初重賞制覇を果たした。

サマースプリントシリーズのチャンピオンを目指し臨んだ北九州記念は先行争いの速い流れに巻き込まれてしまい7着に終わったが、シリーズ最終戦となるセントウルステークスでは2番手から抜け出すと5馬身差の圧勝。鞍上の川田将雅は初騎乗であったものの、11番人気という低評価を再び覆す結果となった。勝ち時計1分07秒1は2002年ビリーヴが記録したものと並ぶレースレコードであり、この勝利でシリーズのチャンピオンとなり5000万円のボーナスを獲得した。その後、余勢を駆って第41回スプリンターズステークスに出走。1番人気に支持されてのレースとなったが、好スタートを切ったアストンマーチャンが逃げるなかその後ろの集団につけ、最後の直線で逃げるアストンマーチャンに迫ったものの最後はかわしきれず2着に敗れた。その後は香港スプリントへの挑戦が予定されていたが、検疫の都合で回避。京阪杯に出走し、1番人気の支持に応え重賞3勝目を挙げた。

2008年は春の目標を高松宮記念に据えて大井から移籍したばかりの内田博幸を鞍上に迎え、オーシャンステークスから始動する。単勝1.7倍の圧倒的1番人気に支持されていたもののスタートで隣りの枠に入っていたアイルラヴァゲインが後ろ扉を蹴ったことに驚き、サンアディユ自身もゲート内で前扉をくぐろうとするなど暴れてしまう。さらに発走態勢が整わないままゲートが開かれてしまったことにより大きく出遅れてしまい、そのまま最下位16着に敗れた。

ゲートが切られる前にゲートの後ろでは発走委員が、後ろ扉からサンアディユから出すことを相談していた。そのため一部の騎手からは、後ろ扉を開ける指示が出たと思い重心を下げた時にゲートが開いたと不満が出た[2]。またサンアディユがゲート内で長時間暴れ、ゲート入りをやり直すことの多い状況だったことから、スターター(発走委員の川崎由量)が「開けるぞ」と叫んだのを後ろ扉を開ける意味だと考えた騎手もいた[3]。スタートの切り方について川崎は、「開けるぞ」はゲートに駆け寄った厩務員に注意を促すためのもので、「結果的にはサンアディユ以外の馬は影響なくゲートを出てくれた」と正当性を強調した[4]。さらに川崎は「他の馬も動いていたし、あのタイミングしかなかった」「誤解を招いたのはしようがない」とも発言した[3]。一方川崎が所属するJRAは謝罪会見を開いた[5]

サンアディユは元来、音に敏感な面があり、驚くと体をこわばらせてしまう面があった。また以前に騎乗した川田は「ゲート内で固まってしまい出ないことがある」とも語っていた。2007年から本馬を担当した厩務員は様々な工夫を施し我慢させることを教え、克服させた結果が快進撃に結実していたが隣りゲートの物音により不運にもその悪癖が引き起こされてしまった。

翌日の3月9日、栗東トレセンの馬房で倒れ、正午過ぎに心不全により急死した[6]

競走成績 編集

年月日 競馬場 競走名 人気 倍率 着順 距離 タイム 3F 騎手 勝ち馬 / (2着馬)
2005 4. 17 阪神 3歳未勝利 4人 20.7 04着 ダ1400m(良) 1:27.8 (38.5) 渡辺薫彦 ケイティーズギフト
5. 8 京都 3歳未勝利 2人 4.7 10着 ダ1400m(稍) 1:26.5 (38.5) 生野賢一 サクセスキーワード
9. 11 阪神 3歳未勝利 3人 7.2 01着 ダ1400m(良) 1:25.3 (37.7) 生野賢一 (シンプリシティー)
10. 1 阪神 3歳上500万下 2人 3.7 08着 ダ1400m(良) 1:27.2 (38.9) 生野賢一 フミノラピス
2006 3. 25 阪神 4歳上500万下 1人 3.3 01着 ダ1400m(良) 1:25.3 (37.7) 小牧太 (ノーストピア)
4. 23 京都 4歳上1000万下 4人 6.9 02着 ダ1400m(良) 1:23.6 (37.6) 小牧太 グランプリオーロラ
5. 27 中京 御嶽特別 1000万下 2人 4.5 16着 ダ1700m(良) 1:48.5 (41.2) 小牧太 セトノシェーバー
11. 8 新潟 3歳上500万下 1人 1.7 01着 ダ1200m(稍) 1:10.8 (37.3) 柴田善臣 (ガイヤール)
9. 10 中山 浦安特別 1000万下 1人 3.3 01着 ダ1200m(良) 1:11.9 (37.6) 柴田善臣 (ダイワインディアナ)
11. 26 京都 貴船S 1600万下 3人 6.8 01着 ダ1200m(良) 1:10.8 (36.5) 小牧太 (メイショウヨシヒサ)
2007 1. 7 中山 ガーネットS GIII 5人 11.8 16着 ダ1200m(不) 1:13.1 (40.2) 小牧太 スリーアベニュー
4. 14 中山 京葉S OP 10人 45.7 12着 ダ1200m(重) 1:11.4 (38.0) 菊沢隆徳 サチノスイーティー
7. 15 新潟 アイビスSD JpnIII 13人 77.1 01着 芝1000m(良) 0:55.1 (32.9) 村田一誠 (ナカヤマパラダイス)
8. 12 小倉 北九州記念 JpnIII 5人 14.8 07着 芝1200m(良) 1:08.2 (35.7) 村田一誠 キョウワロアリング
9. 9 阪神 セントウルS GII 11人 30.8 01着 芝1200m(良) 1:07.1 (33.6) 川田将雅 (カノヤザクラ)
9. 30 中山 スプリンターズS GI 1人 3.6 02着 芝1200m(不) 1:09.5 (36.1) 川田将雅 アストンマーチャン
11. 23 京都 京阪杯 GIII 1人 1.8 01着 芝1200m(良) 1:07.9 (34.0) 武豊 ペールギュント
2008 3. 8 中山 オーシャンS JpnIII 1人 1.7 16着 芝1200m(良) 1:10.4 (35.2) 内田博幸 プレミアムボックス

血統表 編集

サンアディユ血統ヴァイスリージェント系 / Northern Dancer4×4=12.50%、Round Table4×5=9.38%) (血統表の出典)

*フレンチデピュティ
French Deputy 1992
栗毛 アメリカ
父の父
Deputy Minister 1979
黒鹿毛 アメリカ
Vice Regent Northern Dancer
Victoria Regina
Mint Copy Bunty's Flight
Shakney
父の母
Mitterand 1981
鹿毛
Hold Your Peace Speak John
Blue Moon
Laredo Lass Bold Ruler
Fortunate Isle

*シェリーザ
Sheriyza 1992
黒鹿毛 アイルランド
Caerleon 1980
鹿毛
Nijinsky II Northern Dancer
Flaming Page
Foreseer Round Table
Regal Gleam
母の母
Sharaya 1980
鹿毛 アメリカ
Youth Ack Ack
Gazala
Shanizadeh *ボールドリック
Safiah F-No.2-d

脚注 編集

注釈 編集

出典 編集

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o サンアディユ”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2022年11月19日閲覧。
  2. ^ 1番人気アディユ大出遅れ/オーシャンS (日刊スポーツ2008年3月9日)
  3. ^ a b アディユ発走前に“アクシデント発声”(スポニチアネックス 2008年03月09日)
  4. ^ サンアディユまさかのしんがり負け(馬三郎タイムズ2008年03月09日)
  5. ^ サンアディユが心不全で急死、JRAに責任はあるのか…(競馬評論家大谷内泰久のブログ「最強の男の競馬ブログ」2008年3月10日)
  6. ^ サンアディユが心不全で急死”. 日刊スポーツ. 2022年4月23日閲覧。

外部リンク 編集