サンショウバラ(山椒薔薇[3]、学名:Rosa hirtula)は、バラ科バラ属落葉小高木。山地に生える。別名、ハコネバラ(箱根薔薇)ともいう。和名は、葉がサンショウに似るのがその由来である[4]

サンショウバラ
2009年5月 箱根湿生花園
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : バラ亜綱 Rosidae
: バラ目 Rosales
: バラ科 Rosaceae
亜科 : バラ亜科 Rosoideae
: バラ属 Rosa
: サンショウバラ R. hirtula
学名
Rosa hirtula (Regel) Nakai (1920)[1]
シノニム
和名
サンショウバラ(山椒薔薇)

分布と生育環境 編集

日本固有種[4]。分布域は狭く、本州神奈川県山梨県および静岡県にまたがる富士・箱根地区に分布し、山地に生育する[4][3]

箱根町の花として昭和51年(1976年)8月2日に制定されている。また、山梨県南都留郡山中湖村の「村の花」にもなっている。

形態・生態 編集

落葉広葉樹の小低木[3]は太く、バラの仲間では最も背が高く、6メートル (m) にもなる[4]はよく分枝し、稲妻形に屈曲し、扁平な強いトゲが対生する[3]。トゲは鋭く、横向きかやや下を向く[3]樹皮は淡灰褐色から茶褐色で、若木は滑らか、生長すると縦に裂けて薄く剥がれる[3]。老木になると、剥がれた痕が何層も重なり、独特の風合いになる[3]。一年枝は細く、紫褐色で無毛である[3]

奇数羽状複葉で、9 - 19個の小葉からなる。小葉は長楕円形で、先端は尖り、縁には細かい鋸歯があり、葉の羽軸と小葉の裏面の主脈に軟毛がある。

花期は5 - 6月[4]は単生し、小枝の先端に径5 - 6センチメートル (cm) になる淡紅色の5弁花をつけ、1日から2日で落花する[4]花柄にトゲが多い[4]果実は大きく、径2 cmの扁球状になり[4]、全体に蕾時から生える針状の硬い刺が多く残る[3]。実が黄橙色に熟すと甘い香りがある[4]。この果実は果実酒に利用できるが、内部が虫食いになっているものが非常に多いので要注意。

冬芽は円錐形や卵形で赤みがあり、芽鱗3 - 4枚に包まれている[3]。枝先に仮頂芽がつき、側芽が互生する[3]。葉痕は浅いV字形で、維管束痕は3個つく[3]

ギャラリー 編集

保全状況評価 編集

絶滅危惧II類 (VU)環境省レッドリスト

脚注 編集

参考文献 編集

  • 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、154頁。ISBN 978-4-416-61438-9 
  • 平野隆久監修 永岡書店編『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、208頁。ISBN 4-522-21557-6 
  • 佐竹義輔ほか編『日本の野生植物 木本Ⅰ』平凡社、1989年。