ザルティス[2] (リトアニア語: Žaltys) またはザルテュス[3] (英語: Zaltys[3]) とは、バルト地方の古来の宗教英語版に基づいて信仰されていたである。

オラウス・マグヌス16世紀に制作した銅版画での、リトアニアの宗教儀式の様子。火の祭壇とザルティスを載せた祭壇が描かれている[1]

信仰 編集

古来より、リトアニアラトビアプロイセンの人々は、毒を持たず穏やかな気質の緑色の蛇[4]ヨーロッパヤマカガシを、かまどを守る神として崇拝していた[5]。豊穣をもたらすとされるザルティスは、ベッドの下や部屋の隅など家屋内のどこにでも居させてもらえた[4]太陽の女神サウレー(ザウレ)はかまどのの象徴でもあった[6]ため、家屋内の火のそばにも住むザルティスは女神サウレのお気に入りだと信じられ、この蛇を殺すことは冒涜とされた[4]

リトアニアでは14世紀にキリスト教を公認して改宗したが、その後も農民達はザルテュスを崇拝していた[4]。バルト地方の古来からの神々に関する記録を残した、キリスト教聖職者のラシキウス (Lasicius) によれば、16世紀当時[7]、来年の豊作を願うための年に1度の儀式の際には、飼われている蛇を神官が巣穴から出し、ご馳走を与えていたという[5]

リトアニアなどのバルト地域のみならず、スラヴ人にもザウレとザルティスは信仰された。[要出典]

ザルティスの異種 編集

ザルティスには、不思議な富を授け、空を飛び光るものがいると言われている。それらはまた別の生き物で、アイトヴァラス(アイトワラス)と呼ばれる[4]

脚注 編集

  1. ^ ヨーロッパ異教史』283頁。
  2. ^ 『ヨーロッパ異教史』で確認した表記。
  3. ^ a b 世界神話辞典』で確認した表記、綴り。
  4. ^ a b c d e 世界神話辞典』223頁(ザルテュスの項)。
  5. ^ a b 『ヨーロッパ異教史』284頁。
  6. ^ 『ヨーロッパ異教史』278頁。
  7. ^ 『ヨーロッパ異教史』282頁。

参考文献 編集

  • コッテル, アーサー『世界神話辞典』左近司祥子宮元啓一、瀬戸井厚子、伊藤克巳、山口拓夢、左近司彩子訳、柏書房、1993年9月。ISBN 978-4-7601-0922-7 
  • ジョーンズ, プルーデンス、ペニック, ナイジェル『ヨーロッパ異教史』山中朝晶訳、東京書籍、2005年8月。ISBN 978-4-487-79946-6 

関連項目 編集