シャム国海軍水上偵察機

シャム国海軍水上偵察機(シャムこくかいぐんすいじょうていさつき)は、シャム海軍(現タイ王国海軍)からの発注を受けて日本の渡辺鉄工所が製作した水上偵察機。社内名称「WS-103S」。

概要 編集

1934年(昭和10年)にシャム海軍から日本に発注されたメクロン級スループ2隻の艦載機として、渡辺鉄工所に製作が発注された。設計は1934年10月に樋口良八郎技師を設計主務者として開始され、1937年(昭和13年)2月に試作一号機が完成した。6機がシャム海軍に納入されて良好な性能を示したほか、試作機1機が渡辺の社用実験機とされた。

機体は金属製骨組みに羽布張りの複葉機で、双フロートを有する。設計は渡辺で同時期に開発が進められていた九六式小型水上機のものを参考としており、形状や性能なども似通っていた。また、本機の設計経験は後の十一試水上中間練習機の開発に生かされている。

諸元 編集

  • 全長:8.10 m
  • 全幅:9.59 m
  • 全高:3.45 m
  • 主翼面積:20.97 m2
  • 自重:1,148 kg
  • 全備重量:1,420 kg
  • エンジン:瓦斯電 天風一二型 空冷星型9気筒(離昇340 hp) × 1
  • 最大速度:232 km/h
  • 巡航速度:151 km/h
  • 実用上昇限度:4,900 m
  • 航続距離:741 km
  • 武装:
    7.7mm固定機銃 × 1
    7.7mm旋回機銃 × 1
    30kg爆弾 × 2
  • 乗員:2名

参考文献 編集

  • 野沢正 『日本航空機総集 九州・日立・昭和・日飛・諸社篇』 出版協同社、1980年、32・33頁。全国書誌番号:81001674

関連項目 編集