シーリングライト: ceiling light)は、天井に取り付ける照明器具

シーリングライト
シーリングライトのタップと引掛シーリング

一般的な照明 編集

シーリングライトは天井面(ceiling)に直接取り付けるタイプの照明器具で、室内全体を明るくするために住宅などの居室事務所などの主照明(全般照明)として用いられることが多い。

日本では、一般的な住宅などの各部屋の天井には引掛シーリングという一種のコンセントが設置されている。引掛シーリングは照明器具を固定する役割を兼ねており、引掛シーリングに対応するシーリングライトでは、ほとんどの場合は工具などを必要とせず、また直接のネジ止めなどで天井面を傷つけることなく、一般の人でも簡単に設置できる。なお引掛シーリングがなく配線が天井より露出しているのみだったり、引掛シーリングがひび割れたり欠けている場合は「引掛シーリングの取り付けまたは交換を電器店や電気工事業者へ依頼」する必要がある(有料。壁・天井・床下への配線器具取付及び交換は電気工事士の資格を有する人が行うよう定められており、無資格者による配線工事は感電や欠陥工事による火災などを防ぐため禁止)。

光源LEDや環形の蛍光灯が多く用いられ、外側に光をやわらげるためのアクリル等のカバーがついている。設置する部屋の広さに応じて選択する。平らでない複雑形状の天井も多かったかつての新築住宅にはペンダント(吊り下げ)照明が多く取り付けられていたが、現代の新築住宅は平天井が主体のため・空間が広く使えて清掃も簡単な(埃が溜まりにくい)シーリングライトやダウンライトを取り付けるケースが殆どとなっており、ペンダント照明器具の需要は大幅に減少している(リモコン操作によりシーリングライト本体を電動ワイヤーで上下させる「リフタータイプ」や手動巻き取り式ワイヤーでペンダントライト本体の高さを変えられる機種を製造していたメーカーもあったが、現在は全て生産終了。ペンダント器具の現行モデルは引きひもや壁スイッチで操作する機種のみで、リモコン操作対応ペンダント器具は国内メーカー全社が生産終了)。

スイッチの入切は基本的には壁付スイッチで行うが、リモコンを用いるタイプ、プルスイッチ(ひも)を用いる機種もある。また、プルレススイッチ対応の器具は壁スイッチを数秒以内にOFF-ONする方法で調光が可能。現行モデルはリモコンで操作する機種が主体となっており、引きひもを用いる機種の生産は大幅に縮小。引きひもを用いない(リモコン操作の)機種は必ず「壁スイッチと組み合わせて使用」するよう指示されている(壁スイッチで主電源を切れないと「ランプ交換や清掃時などに感電する危険」・「停電からの復電時に異常動作」・「リモコン紛失時や電池消耗時に入/切と調光操作ができなくなる」などの不具合や事故が起きるおそれがあるため。壁スイッチのない部屋へは「引きひも式LEDシーリングライトまたはペンダント」のみ取付可)。また同一メーカー・同一&類似品番のシーリングライトを同じ部屋で用いる場合に混信を防げる「リモコンモード切替スイッチ」を本体・リモコン双方に搭載している。国内主要メーカーのシーリングライトを操作可能な汎用リモコンも発売されているが、LED・従来型両方の器具を操作可能なタイプはなく、「蛍光灯&白熱電球器具専用」と「LED器具専用」とに分けられている。上位機種のメーカー純正リモコンは液晶画面付きとなっており、(調光操作に加え)好みの時刻に照明を入/切可能な「オン・オフタイマー」を搭載(事前に時刻設定が必要。乾電池が消耗したり電池交換をすると時計やタイマーがリセットされる場合があるので、その場合は時刻合わせとタイマー設定をやり直す。壁スイッチで主電源を切るとオン・オフタイマーは動作しない)。乾電池は「アルカリの使用」が推奨されている(液晶画面なしの汎用リモコンはオフタイマーのみ)。

小型シーリングライトは小さな部屋に取り付ける照明で光源はLED、蛍光灯白熱灯に分かれる。大半の機種はアダプターを引掛シーリングに取り付けたのち器具本体を取り付けるが、アダプター不要で器具本体を90度回転させれば取り付け完了となる「シーリングユニ」を採用した機種もある。

なお、シーリングファン(天井扇)と一体化していたり、Bluetooth対応スピーカーを内蔵した製品もある(主電源の壁スイッチ「切」時は動作しない)。

照明器具の寿命は「製造から10年」とされており、設置から10年以上経過した器具は「最新モデルへの交換」が推奨されている(外観に異常がなくても内部の劣化が進行している場合があり、火災や漏電などの事故につながりかねないため)。

白熱電球・蛍光灯・電球型蛍光灯を用いる従来型シーリングライト&ペンダント器具は国内メーカー全社が2018年点灯管を用いる蛍光灯器具は2010年)限りで生産を終了。現行モデルはLEDに一本化された(LED電球器具の場合、従来型の白熱電球および電球型蛍光ランプは使用不可)。従来型ランプ類(ミニクリプトン白熱電球・電球形蛍光ランプ・直管&丸形蛍光ランプ)と点灯管は国内主要メーカーが「交換用途に絞って」生産を継続しているが、需要減や原材料価格高騰による生産コスト増大で製品の安定供給が困難となってきたため、蛍光ランプ・ミニクリプトン電球・点灯管製造からも撤退してLEDランプへ一本化するメーカーが相次いでいる(生産を継続するメーカーも「品番統合による蛍光ランプ製品リストラ」を強力推進)。

LEDシーリングライト 編集

2010年LED照明を光源に使ったシーリングライトが発売された[1]。蛍光灯と比較して発光効率はあまり差がないが、環境光センサーと組み合わせて自動的に調光するなどで省電力を謳った製品が多い。また、調色が可能なことは蛍光灯にはないメリットである(低価格な製品には調光・調色機能がない場合もある)。蛍光灯に比べて長寿命だが、LEDが直接埋め込まれているため、発光体(ランプ)のみを交換することはできない。そのため各メーカーでは電源部分に限って保証期間を長めに設定されている(5年。但し1日20時間を超えるような過酷な使用は2.5年)のが一般的である。2012年には普及価格帯の製品が増え、シーリングライト市場でLEDタイプの販売数量が蛍光灯を上回った[2]

舞台照明としてのシーリングライト 編集

客席の上、つまり舞台の斜め上からライトをあてることができるよう、観客席の天井に灯体を吊る照明。「前明かり」のひとつ。通称「シーリング」。図面等での略称「CL」。

日本国内のシーリングライトメーカー 編集

脚注 編集

関連項目 編集