ジェームズ・A・シンクレア

ジェームズ・A・シンクレア (James A. Sinclair & Company Ltd) はイギリスロンドンにかつて存在したカメラメーカーである。

製品一覧 編集

  • ウナ(Una, 1904年発売[1]) - マホガニー製ボディー、黒モロッコ革張り、木製鳥居を備え、天井部開口式[1]の高級ハンドカメラ。多数あった同時期同種のカメラの中でホートンサンダーソンニューマン&ガーディアトレリスと並ぶ[2]名機として定評があり[3]、サンダーソンに美術的要素が少ないこと、トレリスは精巧精緻ではあっても全体的に華奢な箇所が見られることから北野邦雄は「ウナの工作がもっとも良いように思われる」と評している[2]。手札(8×10.5 cm)判[2]、4×5 in判[2]、ポストカード(10×14 cm)判[2]、キャビネ(12×16.5 cm)判[2]、5×7 in判[2]がある。レンズはロッスダルメイヤー、クック、カール・ツァイスゲルツなどが採用され、シャッターはフリードリヒ・デッケル製のコンパウンド、コンパーの他ニューマン&ガーディアのパテントシャッターのOEMを受けた自社ブランドパーフェクトシャッター付きもある[2]
    • ウナ・トロピカル(1910年頃発売[4]) - ボディーはチーク[5]ともマホガニー製[4][3]とも言われる。真鍮金具は透明ニス仕上げのトロピカル仕様[4][5]。初期製品は後の製品と比較にならないほど仕上げが粗く武骨であった[4]が、後の製品は「カメラのロールス・ロイス」と称されるほどに仕上げが向上[4][5]、1924年には改良の余地がないまでに完成され、高級カメラの代表的存在となった[4]。4×5 in判[4]、キャビネ(12×16.5 cm)判[4]がある。
    • トラベラー・ウナ (Traveller Una) - ボディーがジュラルミン[2][1]になっている軽量版で、表面に美しいキサゲ模様をあしらってある[2]。大名刺(6.5×9 cm)判[1]がある。第二次世界大戦イギリス軍がコンバットカメラとして使用した[1]

脚注 編集

  1. ^ a b c d e 『クラシックカメラ専科』p.143
  2. ^ a b c d e f g h i j 『現代カメラ新書』No.3「世界の珍品カメラ」p.50
  3. ^ a b 『現代カメラ新書』No.6「クラシックカメラ入門」p.63
  4. ^ a b c d e f g h 『クラシックカメラ専科』p.139
  5. ^ a b c 『クラシックカメラ専科』No.4「名機の系譜」p.83

参考文献 編集

  • 『クラシックカメラ専科』朝日ソノラマ
  • 『クラシックカメラ専科』No.4「名機の系譜」朝日ソノラマ
  • 北野邦雄『現代カメラ新書』No.3「世界の珍品カメラ」朝日ソノラマ
  • 鈴木八郎『現代カメラ新書』No.6「クラシックカメラ入門」朝日ソノラマ