ジョン・マカフィー

アメリカ合衆国のコンピュータプログラマ、マカフィーの創業者

ジョン・マカフィー(John McAfee、1945年9月18日 - 2021年6月23日)は、アメリカ合衆国のコンピュータプログラママカフィーの創業者。アンチウイルスソフトウェア・デザイン・ウイルススキャナ開発の先駆者。イギリス生まれ。

ジョン・マカフィー
John McAfee
DEF CON英語版にてスピーチを行うマカフィー(2014年8月)
生誕 John David McAfee
(1945-09-18) 1945年9月18日
イングランドの旗 イングランドグロスタシャー
死没 2021年6月23日(2021-06-23)(75歳)
スペインの旗 スペインバルセロナ県
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
出身校 ロアノーク・カレッジ英語版
職業 ソフトウェア開発者
マカフィー創業者
MGT Capital Investments Inc. CEO
著名な実績 マカフィー
政党 リバタリアン党 (2015-)
配偶者 Janice Dyson (m. 2013)
公式サイト www.whoismcafee.com
テンプレートを表示

来歴 編集

イングランドの米軍基地でアメリカ人の兵の父とアイルランド系イギリス人の母の子として生まれ[1]バージニア州セイラムで育つ[2]1967年ロアノーク・カレッジで数学の学士号を取得し、2008年には名誉博士号を授与された。

1968年から1970年までニューヨークにあるNASAゴダード宇宙科学研究所プログラマーとして勤務。その後、UNIVACのソフトウェアデザイナー、ゼロックスオペレーティングシステムアーキテクトを経て、1978年コンピュータ・サイエンシズ・コーポレーションへソフトウェアコンサルタントとして入社。のち、ロッキードに勤務していた1980年代、自身のコンピュータがBrainウイルスに感染したのをきっかけにウイルス対策ソフトウェアの開発を始める。

1987年にアンチウイルス会社、McAfee Associates(マカフィーアソシエイツ)を設立。彼はシェアウェアビジネスモデルを用いてアンチウイルスソフトウェアを配布した最初の人物となった[3]1989年にはロッキードを退職し、カリフォルニア州サンタクララの自宅でマカフィーの経営に専念し、同社をセキュリティ対策のリーディングカンパニーに育てた。1994年に持株を売却して退職した後、インスタントメッセージプログラムの先駆け的存在である[4]PowWow を開発したTribal Voiceなどの創業に関わった。

2009年8月に『ニューヨーク・タイムズ』紙は、ピーク時には1億ドルにまで達した彼の個人資産が、世界金融危機の影響で400万ドルにまで下落したと報じた[5]

ヨーガのインストラクターでもあり[6]、ヨーガに関する本も数冊執筆している。

2015年9月、次期アメリカ合衆国大統領選挙への出馬計画を公表した[7]

2020年10月6日に、米国での脱税によってスペインで拘束された[8][9]

2021年6月23日、収監中のスペインの刑務所にて死亡。死因は自殺と見られている[10][11]。米国への移送が決まった直後であった。

逮捕歴 編集

マカフィーは2008年ごろから、イギリスの旧植民地であるベリーズのリゾート地・アンバーグリス・キー(キーは島の一種)に住んでおり、近隣住民からは、銃と若い女が好きな変わり者として疎まれていた[12]。2011年11月11日、マカフィーの隣に住むアメリカ人男性が自宅で首を撃たれて死亡しているのが発見され、以前より被害者と揉めていたマカフィーが重要参考人として指名手配された[13][14]。この時点で関連性を否定していたが[15]、この数か月前にも、ベリーズ警察は武器の不法所持と不法薬物の製造の件でマカフィーの身柄拘束と家宅捜索を行なっているが、マカフィー自身は重症の薬物依存者であったことを認めながらも1983年以降は薬物を断っており[12]、地元政治家への献金を拒んだための報復だと主張していた[13]。被害者の隣人は生前、マカフィーの飼っている凶暴な犬や攻撃的な武装警備員についての苦情の手紙を市長に送り、地元当局に対策を求めていた[16]。マカフィーはこの隣人に飼い犬たちが毒を盛られていると疑い、自らの手で飼い犬を射殺していた[16]

捜査中は自宅敷地内で砂の中に体を埋め、息をするため頭だけ出して段ボールをかぶって隠れ[13]、その後3週間に渡って20歳の恋人とベリーズ国内を逃走[17]、同年12月、不法入国の疑いでグアテマラの拘留施設に収監された[16]。亡命申請は拒否されたが[16]、ベリーズへの引き渡しは免れ、アメリカへ送還された[17]。マカフィーはベリーズに引き渡されたら殺されると主張していたが、ベリーズの首相はパラノイアの妄想であると一蹴した[12]

2012年11月12日、ベリーズ警察に殺人容疑で指名手配された[18]

その後、2012年12月5日、グアテマラ市近郊のホテルに滞在していた際、不法入国容疑でグアテマラ警察に逮捕され[19][20]、アメリカに送還された。

2020年8月10日には、Covid-19のためのマスクではなく、口元に下着をつけて外出したため逮捕された[21]

2020年10月2日、スペインの空港で現地の警察当局により拘束される[22]

2020年10月5日、アメリカ合衆国司法省は脱税等の罪で起訴したと発表。有罪となると5年以上の刑が課される可能性があった[23]

脚注 編集

  1. ^ “Software pioneer McAfee files paperwork to run for president” (英語). The Hill. (09/08/15). http://thehill.com/policy/technology/252987-software-pioneer-mcafee-files-paperwork-to-run-for-president 
  2. ^ Marshall Cavendish Corporation (2007). Inventors and Inventions. 4. Marshall Cavendish. pp. 1030. ISBN 0761477675. https://books.google.co.jp/books?id=YcPvV893aXgC&pg=PA1030&lpg=PA1030&dq=John+McAfee+grew+up+in+virginia&source=bl&ots=Ozyyg8mOa4&sig=fY-G015fg0CB0jQh1P3xxTww1xw&hl=en&ei=Xa0-S_fTJYeplAfV-dyWBw&sa=X&oi=book_result&ct=result&redir_esc=y#v=onepage&q=John%20McAfee%20grew%20up%20in%20virginia&f=false 
  3. ^ Brenoff, Ann (2009年1月29日). “John McAfee cuts price of Hawaiian home” (英語). ロサンゼルス・タイムズ. 2010年3月11日閲覧。
  4. ^ “From the Editor” (英語). Technology Review. オリジナルの2006年12月30日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20061230094758/http://www.technologyreview.com/BizTech/14405/ 
  5. ^ Leonhardt, David; Geraldine Fabrikant (2009年8月20日). “Rise of the Super-Rich Hits a Sobering Wall” (英語). ニューヨーク・タイムズ. 2010年3月11日閲覧。
  6. ^ アーカイブされたコピー”. 2012年7月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年11月15日閲覧。
  7. ^ “マカフィー創業者、米大統領選に出馬へ”. AFP. (2015年9月10日). https://www.afpbb.com/articles/-/3059888 
  8. ^ Tribune, Emea (2020年10月6日). “John McAfee Arrested: antivirus software giant, charged with tax evasion in US” (英語). EMEA Tribune. 2020年12月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年10月6日閲覧。
  9. ^ Tech millionaire John McAfee arrested in Spain for US tax evasion” (英語). Evening Standard (2020年10月6日). 2021年1月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年10月6日閲覧。
  10. ^ John McAfee: Anti-virus creator found dead in prison cell” (英語). BBC (2021年6月23日). 2021年6月24日閲覧。
  11. ^ ウイルス対策ソフト先駆者のマカフィー氏、スペインの勾留施設で死去”. ブルームバーグ (2021年6月24日 13:40 JST). 2021年7月3日閲覧。
  12. ^ a b c “Guatemala detains software guru McAfee, to expel him to Belize” (英語). Reuters. (2012年12月6日). http://in.reuters.com/article/2012/12/06/belize-mcafee-arrest-idINDEE8B501X20121206 
  13. ^ a b c “殺人事件に関連して米マカフィー創業者を手配、米誌インタビューに「命をねらわれている」”. AFP. (2012年11月14日). https://www.afpbb.com/articles/-/2911774 
  14. ^ “ベリーズに死す:IT業界の狂犬ジョン・マカフィーと頽廃の王国”. WIRED. (2013年6月8日). https://wired.jp/2013/06/08/john-mcafee/ 
  15. ^ “マカフィー創業者が殺人? ベリーズ、3人の身柄拘束”. MSN産経ニュース. (2012年11月15日). オリジナルの2012年11月15日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20121115163838/http://sankei.jp.msn.com/world/news/121115/amr12111509000001-n1.htm 2022年10月5日閲覧。 
  16. ^ a b c d “グアテマラ、マカフィー容疑者の亡命を拒否 ベリーズに身柄引き渡しへ”. AFP. (2012年12月7日). https://www.afpbb.com/articles/-/2915451 
  17. ^ a b “マカフィー容疑者、米国に送還 体験を「映画にする」とコメント”. AFP. (2012年12月13日). https://www.afpbb.com/articles/-/2916516 
  18. ^ マカフィー創業者が殺人容疑で指名手配”. ギズモード (2012年11月13日). 2012年11月13日閲覧。
  19. ^ “マカフィー創設者、グアテマラで逮捕-不法入国容疑”. ウォールストリートジャーナル. (2012年12月6日). http://jp.wsj.com/World/node_559503 
  20. ^ “マカフィー創業者を逮捕、グアテマラ警察”. MSN産経ニュース. (2012年12月7日). オリジナルの2012年12月6日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20121206170748/http://sankei.jp.msn.com/world/news/121207/amr12120700240000-n1.htm 2022年10月5日閲覧。 
  21. ^ He was arrested for what he believes.”. twitter.com. twitter.com. 2020年8月15日閲覧。
  22. ^ “マカフィー創業者、スペインの空港で逮捕=警察筋”. ロイター通信. (2020年10月6日). https://jp.reuters.com/article/spain-usa-mcafee-idJPKBN26R1GE 
  23. ^ John McAfee indicted for tax evasion, arrested in Spain” (英語). cnn.com (2020年10月6日). 2020年10月6日閲覧。

外部リンク 編集