ジョー・クラウン (Joe Krown) は、アメリカ合衆国ルイジアナ州ニューオーリンズを拠点に活動するキーボード奏者。晩年のクラレンス・"ゲイトマウス"・ブラウンのバンドへ10年以上の長きに渡って在籍していたことで知られる。ソロ・アーティストとしては、彼はいくつかの演奏スタイルを使い分けている。ピアノを弾くと伝統的なニューオーリンズ・スタイルを中心としたサウンドを展開し、また自身のバンド、ジョー・クラウン・オルガン・コンボでは全面的にハモンドB-3オルガンを弾き、そのサウンドはよりジャズっぽくファンキーである。

ジョー・クラウン
ニューオーリンズのジャズフェスでプレイするジョー・クラウン (2008)
基本情報
ジャンル R&B, ブルース, ファンク
職業 ミュージシャン
担当楽器 オルガン, ピアノ
活動期間 1980年代〜
レーベル STR Digital, ShortStack
共同作業者 クラレンス・"ゲイトマウス"・ブラウン、ルーサー"ギターJr."ジョンソン、ウォルター"ウルフマン"ワシントン
公式サイト JoeKrown.com

来歴 編集

初期 編集

クラウンは、ニューヨーク州のウェストベリー、およびロングアイランドで幼少期を過ごし、幼い頃からピアノに慣れ親しんで育った。ニューヨーク州立大学バッファロー校在学中にクラウンはハモンド・オルガンを弾くようになり、間もなくプロのミュージシャンの活動をするために大学を中退した[1]

1980年代にクラウンは当時の妻とともに自らのバンドを結成し、ニューヨークおよびニューイングランド地方で活動するようになった。また彼はチャック・ベリーのツアー用のバンドにも加入し、彼と東海岸のツアーを経験している[1]

1980年代後半になると、クラウンはマディ・ウォーターズとの活動でも知られるルーサー"ギターJr."ジョンソンのバンドに参加した。クラウンは在籍期間中、ジョンソンとツアーをともにし、また2枚のアルバムのレコーディングにも参加している。

ゲイトマウス・ブラウンのバンド時代 編集

1992年、クラウンはゲイトマウスのバンド、ゲイツ・エクスプレスに参加するため、ニューオーリンズに移住した。以後、彼はゲイトマウスが2005年に亡くなるまでの13年ほどの期間、彼のバンドで活動を続けた。クラウンはこの間ゲイトマウスと4枚のアルバムをレコーディングし、ゲイトマウスとともに全米および世界のツアーを経験した[2]1995年には、ゲイトマウスがエリック・クラプトンの世界ツアーの前座に抜擢され、クラウンもバンドの一員としてクラプトンとツアーをしている[2]

ソロ・アーティストとして 編集

クラウンがソロ・アーティストとしてデビューを果たしたのは1998年のことだった。この年、彼はSTRデジタル・レコードよりアルバム「Just the Piano...Just the Blues」をリリースしている。このアルバムは、伝統的なブルースやブギウギのスタイルによるピアノ・ソロ作だった。

1999年、クラウンはジョー・クラウン・オルガン・コンボを結成し、同年このバンド名義でアルバム「Down & Dirty」をリリースした。この作品で彼は全曲でオルガンをプレイし、前作よりも幅広い音楽性を披露した。3曲でゲイトマウスが特別ゲストとして参加している[3] 彼は続く2000年の作「Buckle Up」でも4曲に参加している[4]

オルガン・コンボは間もなくニューオーリンズで定期的活動を行うようになり、ヨーロッパサンフランシスコオタワなどの都市でも公演を行うようになった[2]。彼らは2002年、2作目にあたるFunk Yardをリリースしている。

オルガン・コンボとは別に、クラウンは2000年からギタリストのジョン・フォール(ドクター・ジョン・バンドでの活動で知られる)とハーモニカ/アコーディオン奏者のジャンピン・ジョニー・サンソンと組み、トリオでの活動も開始した。このユニットではフォールとサンソンがヴォーカルを取り、クラウンはピアノを担当。ストレートで伝統的なブルースをプレイした。2004年、このユニットはアルバム「Sansone, Krown & Fohl 」をサンソンのレーベル、ショートスタック・レコードからリリースしている[2]

その他のプロジェクトとしては2003年から活動しているジョー・クラウンズ・スウィング・バンド、オルガン・コンボのバンド・メンバー、ブリント・アンダーソン、マイク・バラスと結成したジョー・クラウン・トリオなどがある。このトリオは2007年にアルバム「Old Friends」をリリースしている。2007年からはウォルター"ウルフマン"ワシントンラッセル・バティストJr.と結成したクラウン・ワシントン・バティストでニューオーリンズのクラブ、メイプル・リーフ・バーで定期的に活動するようになった。2017年にはドラムスがバティストからウェイン・モローに交代[5]。活動は続いたものの、ワシントンの死去に伴い、このトリオの活動は終焉を迎えた。また、彼はファンク・バンド、ニューオーリンズ・ジュースのメンバーとしても活動し、2005年のライブ盤「Hey Buddy」にも参加している。

2008年には、クラウン・ワシントン・バティスト名義のライヴ盤「Live at the Maple Leaf」をリリース。同ユニットでは「Triple Threat」(2010年)、「Soul Understanding」(2013年)をリリースしている。

クラウンは、2017年6月にケニー・ウェイン・シェパードのバンドに加入。ソロ活動と並行して、シェパードのピアノ/オルガン奏者としてフル・タイムでツアー、レコーディングを行なっている[2]

2023年には、ドクター・ジョンアラン・トゥーサンジェイムズ・ブッカーらの楽曲に取り組んだアルバム「Tribute」をリリース。ゲストにアイヴァン・ネヴィル、ケニー・ウェイン・シェパード・バンドのヴォーカリスト、ノア・ハント、ミーターズのギタリスト、レオ・ノセンテリらが参加している[6]

ディスコグラフィー 編集

自己名義の作品 編集

  • 1997年Just The Piano Just The Blues (STR Digital) ピアノ・ソロ
  • 1999年 Down & Dirty (STR Digital) オルガン・コンボ
  • 2000年 Buckle Up (STR Digital)
  • 2002年 Funk Yard (STR Digital) オルガン・コンボ
  • 2003年 New Orleans Piano Rolls (STR Digital) ピアノ・ソロ
  • 2004年 Sansone, Krown & Fohl (ShortStack)
  • 2005年 Livin' Large (Joe Krown) オルガン・コンボ
  • 2007年 Old Friends (Independent) ジョー・クラウン・トリオ
  • 2008年 Live at the Maple Leaf (Independent) クラウン・ワシントン・バティスト
  • 2010年 Triple Threat (Independent) クラウン・ワシントン・バティスト
  • 2012年 Exposed (Independent) ソロ・ピアノ
  • 2013年 Soul Understanding (Independent) クラウン・ワシントン・バティスト
  • 2021年 City Country City (Gulf Coast) ジェイソン・リッチとのデュオ
  • 2023年 Tribute (Sledgehammer Blues)

ルーサー"ギターJr."ジョンソンの作品 編集

  • 1990年 I Want to Groove with You (Bullseye Blues)
  • 1992年 It's Good to Me (Bullseye Blues)[7]

ゲイトマウス・ブラウンの作品 編集

  • 1994年 The Man (Verve/Gitanes)
  • 1997年 Gate Swings (Verve/Gitanes)
  • 1999年 American Music, Texas Style (Verve/Blues Thumb)
  • 2001年 Back to Bogalusa (Verve/Blues Thumb)
  • 2003年 Clarence "Gatemouth" Brown" in Concert (in-akustik - DVD)
  • 2006年 Carlos Santana Presents Blues at Montreux 2004 (RED Distribution - DVD)[8]

ケニー・ウェイン・シェパード・バンドの作品 編集

  • 2017年 Kenny Wayne Shepherd / The Traveler (Concord)
  • 2020年 Kenny Wayne Shepherd / Straight To You: Live (ADA/Provogue)

その他参加作品 編集

  • 1998年 Bobby Charles / Secret of the Heart (Stony Plain)
  • 2000年 Kid Ramos / West Coast House Party (Evidence Music)
  • 2003年 Mathilda Jones / There's Something Inside Me and It's Called the Blues (Southland)
  • 2004年 Amanda Shaw / I'm Not A Bubble Gum Pop Princess (Little Fiddle Records)
  • 2004年 Bobby Charles / Last Train to Memphis (Rice 'n' Gravy)
  • 2005年 Juice / Hey Buddy (DJR)
  • 2008年 Bobby Charles / Homemade Songs (Rice 'n' Gravy)[9]

参考文献 編集

外部リンク 編集