スイスの地理(スイスのちり)ではスイス連邦における地形や自然など地理の概略を示す。

スイスの地図

概要 編集

 
シャフハウゼン近郊のライン滝

スイスはヨーロッパ中央部に位置する内陸国である。面積は41,290km²(日本九州よりもやや小さい)と小さな国で、うち96%の39,770km²が陸地である。周辺には東にオーストリアリヒテンシュタイン、南にイタリア、西にフランス、北にドイツと接する。

スイスは南のイタリアとの国境近くにアルプス山脈が聳えていることでも広く知られており、その北側には国の中央を東西にわたって台地が広がっている。国民の大半はこの台地(スイス高原)上に住んでおり、国の西側のフランスとの国境にはジュラ山脈レマン湖がある。ドイツとの国境は西側はライン川によって隔てられ、東側はボーデン湖が国境となっている。

現在スイスには23の(カントンと呼ぶ)があり、このうち3州はさらに2つずつの準州に分割される。スイス高原に位置する州は人口が多く産業が発展しておりプロテスタントの信者が多いのに対し、アルプス山脈に位置する州ではカトリックが信仰されており人口が少なく観光収入に依存する部分が多い傾向にある。またスイスでは4言語が公用語として定められており人口の60%がドイツ語、20%がフランス語、6.5%がイタリア語、0.5%がロマンシュ語を話している。首都ベルンを境に東ではドイツ語、西ではフランス語の話者が多く、南のティチーノ州ではイタリア語の話者が人口の過半数を占める。一方でロマンシュ語はグラウビュンデン州の一部などで話されているのみにとどまっており絶滅の危機にあると言われている。

地方 編集

 
ベルン近郊のスイス高原の代表的な風景

スイス高原 編集

スイスは国土の南西のレマン湖から北東部のボーデン湖まで標高600m前後のスイス高原が広がっており、高原上は緩やかな丘と湖や川によって形成されている。スイス最大の湖でありフランスとの国境になっているレマン湖やドイツとの国境になっている二番目に大きいボーデン湖をはじめ、全域がスイス領内にある湖としては最大であるヌーシャテル湖も高原上に位置している。また高原にはローヌ川ライン川アーレ川トゥール川の4本が流れておりいずれも源流はアルプス山脈にある。このうちシャフハウゼン近郊のライン川にあるライン滝はヨーロッパ最大級の滝としても有名。

現在この高原はスイスの面積の1/3を占め、人口の2/3が居住している。特にレマン湖チューリッヒ湖周辺に人口が集中し多くの産業の拠点ともなっており、高原における農業は小規模で非常に集約化されている。

 
スイスの象徴であるマッターホルン

アルプス山脈 編集

アルプス山脈はヨーロッパにおいて南欧北欧を隔てるようにスイスイタリアの国境付近にそびえている。スイスにはアルプスにおける交通の拠点がいくつもあり、これらを管理することがスイスの歴史上でも重要なこととされてきた。スイスの2/3の面積を占めるアルプス山脈の平均標高は1,700mで、このうち4,000mを超える山は48ある。アルプスは西欧において重要な水源となっており、北海に流れ込む水のうち2/3がアルプスから流れるライン川アーレ川によるものである。またドナウ川の支流であるイン川からは黒海に4.4%の水が供給されている。またアルプスを覆う氷河は1,200km²にものぼり中央ヨーロッパにある氷河の大部分を占める。

アルプス山脈はスイス最大の観光名所であり、またスイスの象徴である。スイス最高峰のモンテ・ローザのほか、マッターホルンなどはメディアがスイスを表現するにおいてもっとも頻繁に登場するものでもある。またアルプス山脈の南にあるティチーノ州は山脈によって他のスイスの地域と隔てられているため、スイス国内でも特にイタリアの影響が強い地域となっている。

ジュラ山脈 編集

ジュラ山脈はスイスとフランスの国境にある石灰岩でできた山脈で、レマン湖からライン川にかけて広がっている。この「ジュラ」という名前は地質時代ジュラ紀の由来となっており、石灰岩からは多くの恐竜化石や足跡が発見され考古学上もっとも重要な地域と位置付けられている。

気候 編集

 
スイスのケッペンの気候区分

スイスでは高原では比較的安定した気候であるが12月初旬から3月にかけては気温が低下し、アルプス山脈ジュラ山脈の標高の高い地域、特に氷河があるような場所ではより寒さが厳しさを増す。一方アルプス以南のティチーノ州ではスイス高原よりも気温が2度から4度高く亜熱帯の植物も自生している。

ケッペンの気候区分ではスイス高原は西岸海洋性気候、アルプス山脈はツンドラまたは高山気候に分類される。海洋性気候は天候が不安定でありスイス高原では曇りの日も多いが雲によっては涼しく、または穏やかになっている。ジュラ山脈ではスイス高原よりも若干涼しく、アルプス山脈では標高が高くなるにつれて気温がさがり降雪量が多くなる。

近年では大気汚染や酸性雨といった環境問題も起こっている。

土地利用 編集

  • 耕作地…10%
  • 穀倉地…2%
  • 牧草地…28%
  • 森林…32%
  • その他…28%

関連項目 編集

外部リンク 編集